目次
「施工管理技士を複数取得すると、どんなメリットがある?」
「どの組み合わせがおすすめ?」
「どんな順番で取得すればいい?」
施工管理技士の資格を1つ取得すると、次に気になるのが「ダブルライセンス」ではないでしょうか。
結論から言うと、施工管理技士のダブルライセンスは年収アップとキャリアアップに非常に効果的です。 組み合わせ次第で、年収100万円以上のアップも現実的に可能です。
この記事では、施工管理技士のダブルライセンスのメリット、おすすめの組み合わせ、効率的な取得戦略を詳しく解説します。
この記事でわかること
- ダブルライセンスで得られる5つのメリット
- おすすめの組み合わせ7パターン
- 効率的な取得スケジュールの立て方
- 他資格との組み合わせ戦略
ダブルライセンスとは?
ダブルライセンスとは、複数の国家資格を取得することを指します。
施工管理技士の場合、以下の7種類の中から複数を取得することが一般的です。
| 資格名 | 対象工事 |
|---|---|
| 建築施工管理技士 | 建築工事全般 |
| 土木施工管理技士 | 土木工事全般 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気設備工事 |
| 管工事施工管理技士 | 空調・給排水工事 |
| 電気通信工事施工管理技士 | 通信設備工事 |
| 造園施工管理技士 | 緑化・造園工事 |
| 建設機械施工管理技士 | 建設機械使用工事 |
さらに、施工管理技士以外の資格(建築士、電気工事士、宅建など)との組み合わせも「ダブルライセンス」と呼ばれます。
ダブルライセンスで得られる5つのメリット
メリット1:年収が大幅にアップする
最も分かりやすいメリットは年収アップです。
資格手当の例(月額):
| 保有資格 | 資格手当(例) |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士のみ | 20,000円 |
| 1級建築+1級土木 | 35,000円 |
| 1級建築+1級土木+1級管工事 | 50,000円 |
年間換算すると:
- 1資格のみ:24万円
- 2資格:42万円
- 3資格:60万円
ダブルライセンスで年間18万円〜36万円の収入増が見込めます。
さらに、ダブルライセンス保有者は昇進・昇給の対象になりやすく、基本給アップも期待できます。総合すると、年収100万円以上のアップも珍しくありません。
メリット2:転職市場での価値が上がる
ダブルライセンス保有者は、転職市場で非常に高く評価されます。
求人条件の比較:
| 条件 | 年収レンジ |
|---|---|
| 1級施工管理技士(1種類) | 500〜600万円 |
| 1級施工管理技士(2種類以上) | 600〜800万円 |
| 1級施工管理技士+建築士 | 700〜1,000万円 |
特に、建築と土木、建築と管工事など、複合的な工事を管理できる人材は希少価値が高く、好条件での転職が可能です。
メリット3:担当できる工事の幅が広がる
ダブルライセンスがあると、複数の種類の工事を担当できます。
例:建築+土木のダブルライセンスの場合
1つの資格だけでは担当できなかった工事も、ダブルライセンスなら対応可能。仕事の幅が大きく広がります。
メリット4:会社での評価が高まる
ダブルライセンス保有者は、会社からの評価が格段に高まります。
評価が高まる理由:
-
経営事項審査(経審)での加点
- 1級は1人あたり5点の加点
- 複数資格で複数の業種に加点可能
-
入札参加資格の幅が広がる
- 建築+土木で両方の公共工事に入札可能
-
人員配置の柔軟性が増す
- 1人で複数種類の現場を担当可能
会社にとって「1人で2人分の仕事ができる」人材は貴重であり、昇進・重要プロジェクトへの抜擢につながります。
メリット5:独立・開業時に有利
将来的に独立・開業を考えている場合、ダブルライセンスは大きな武器になります。
独立時のメリット:
| 資格数 | 開業できる業種 |
|---|---|
| 1種類 | 1業種のみ |
| 2種類 | 2業種(複合受注可能) |
| 3種類以上 | 総合建設業として対応可能 |
複数の許可業種を持つことで、ワンストップで工事を受注できるようになり、顧客からの信頼も高まります。
おすすめの組み合わせ7パターン
ダブルライセンスの組み合わせには、相性の良いパターンがあります。おすすめの7つの組み合わせを紹介します。
パターン1:建築×土木(王道の組み合わせ)
おすすめ度:★★★★★
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | ゼネコン・総合建設会社勤務者 |
| メリット | 建物+外構・基礎を一貫管理 |
| 需要 | 非常に高い |
| 難易度 | 高め(両方とも範囲が広い) |
この組み合わせが強い理由:
建築工事と土木工事は、一つの現場で同時に発生することが多いです。例えば、マンション建設では建物本体(建築)と外構・基礎(土木)が必要になります。
両方の資格を持っていれば、現場全体を統括管理できるため、ゼネコンでの評価が非常に高くなります。
取得順序のおすすめ:
- 建築2級 → 建築1級 → 土木2級 → 土木1級
- または、建築2級 → 土木2級 → 建築1級 → 土木1級
パターン2:建築×管工事(設備強化型)
おすすめ度:★★★★★
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 設備工事会社・サブコン勤務者 |
| メリット | 建物+設備を一貫管理 |
| 需要 | 高い(特にリフォーム市場) |
| 難易度 | 中程度 |
この組み合わせが強い理由:
現代の建築工事では、空調・給排水・ガス配管などの設備工事が非常に重要です。建築と管工事の両方を理解していれば、設備と躯体の取り合いをスムーズに調整できます。
特に、リフォーム・リノベーション市場では、建物の構造と設備の両方が分かる人材が重宝されます。
取得順序のおすすめ:
- 建築2級 → 管工事2級 → 建築1級 → 管工事1級
パターン3:建築×電気工事(オールラウンド型)
おすすめ度:★★★★☆
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 中小ゼネコン・住宅会社勤務者 |
| メリット | 建物+電気設備を一貫管理 |
| 需要 | 高い |
| 難易度 | 中程度 |
この組み合わせが強い理由:
電気工事は、どんな建築物にも必ず発生します。建築と電気の両方を理解していれば、電気設備の配線計画を建築設計の段階から考慮でき、効率的な施工が可能です。
スマートハウスやZEH(ゼロエネルギーハウス)など、電気設備が複雑化する現代では、この組み合わせの価値が高まっています。
パターン4:土木×建設機械(土工専門型)
おすすめ度:★★★★☆
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 土木会社・重機オペレーター |
| メリット | 土木工事+重機操作を統括 |
| 需要 | 高い(地方で特に重宝) |
| 難易度 | 中程度 |
この組み合わせが強い理由:
土木工事では、ブルドーザーやショベルカーなどの建設機械が必須です。土木と建設機械の両方の資格があれば、工事計画から機械配置まで一貫して管理できます。
特に、地方の土木会社では、この組み合わせを持つ人材が非常に重宝されます。
パターン5:電気工事×電気通信工事(電気系特化型)
おすすめ度:★★★★☆
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 電気設備会社・通信工事会社勤務者 |
| メリット | 電気+通信を一括受注 |
| 需要 | 急増中(5G・IoT関連) |
| 難易度 | 低め(分野が近い) |
この組み合わせが強い理由:
5G、IoT、スマートビルディングの普及により、電気工事と電気通信工事の境界が曖昧になっています。両方の資格があれば、次世代インフラの工事を一括で受注できます。
試験範囲に重複する部分が多いため、効率的に取得しやすい組み合わせでもあります。
パターン6:管工事×電気工事(設備専門型)
おすすめ度:★★★★☆
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 設備工事会社・ビルメンテナンス会社勤務者 |
| メリット | 機械設備+電気設備を統括 |
| 需要 | 高い(サブコンで重宝) |
| 難易度 | 中程度 |
この組み合わせが強い理由:
空調設備には電気制御が不可欠であり、管工事と電気工事は密接に関連しています。両方を理解していれば、設備全体の最適化を図ることができます。
大型ビルやプラントの設備工事では、この組み合わせを持つ人材の評価が非常に高いです。
パターン7:建築×造園(外装・緑化特化型)
おすすめ度:★★★☆☆
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | ハウスメーカー・外構工事会社勤務者 |
| メリット | 建物+緑化・外構を一貫管理 |
| 需要 | 中程度(環境意識の高まりで増加傾向) |
| 難易度 | 中程度 |
この組み合わせが強い理由:
環境配慮型の建築が増える中、緑化・造園の重要性が高まっています。建築と造園の両方を理解していれば、エコ建築・グリーンビルディングのプロジェクトで活躍できます。
ハウスメーカーや外構工事会社では、この組み合わせが重宝されます。
効率的な取得スケジュール
基本戦略:2級→2級→1級→1級
最も効率的な取得順序は、同じ級を先に取得する方法です。
理由:
- 2級の勉強内容は、別の施工管理技士でも共通する部分が多い
- 短期間で複数の2級を取得できる
- 2級を複数持っていれば、転職・昇進で有利
- 1級は時間をかけて順番に取得
モデルスケジュール(建築×土木の場合):
| 年次 | 取得目標 | 備考 |
|---|---|---|
| 1年目 | 2級建築施工管理技士 | 基礎固め |
| 2年目 | 2級土木施工管理技士 | 共通知識を活かす |
| 3〜4年目 | 1級建築施工管理技士 | 主資格を強化 |
| 5〜6年目 | 1級土木施工管理技士 | ダブル1級達成 |
試験日程を考慮した計画
施工管理技士の試験は、資格ごとに試験日が異なります。計画的にスケジュールを組めば、1年で複数の資格に挑戦することも可能です。
令和8年度試験日程(予定):
| 資格 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| 建築 | 6月(前期)、11月(後期) | 11月 |
| 土木 | 7月(前期)、10月(後期) | 10月 |
| 電気工事 | 6月(前期)、11月(後期) | 11月 |
| 管工事 | 9月 | 12月 |
例:同一年度に2つの資格を受験
- 6月:建築第一次検定
- 7月:土木第一次検定
- 10月:土木第二次検定
- 11月:建築第二次検定
ただし、2つの試験を同時に対策するのは負担が大きいため、ある程度の学習経験がある方におすすめです。
実務経験を効率的に積む
ダブルライセンスの第二次検定には、それぞれの実務経験が必要です。効率的に経験を積む方法を紹介します。
1. 複合工事の現場を選ぶ 建築と土木が同時に発生する現場(マンション建設など)を選べば、両方の実務経験を同時に積めます。
2. 部署異動を活用 社内で部署異動を希望し、異なる種類の工事を経験する方法もあります。
3. 転職で経験の幅を広げる 現在の会社で経験できない工事がある場合、転職も選択肢の一つです。
施工管理技士以外との組み合わせ
施工管理技士と他の資格を組み合わせることで、さらにキャリアの幅が広がります。
施工管理技士×建築士
| 組み合わせ | メリット |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士+1級建築士 | 設計から施工まで一貫対応、年収1,000万円超も |
| 1級建築施工管理技士+2級建築士 | 小規模設計+施工管理が可能 |
建築士と施工管理技士の両方を持つ人材は非常に希少で、設計事務所と施工会社の両方から引く手あまたです。
施工管理技士×電気工事士
| 組み合わせ | メリット |
|---|---|
| 電気工事施工管理技士+第一種電気工事士 | 管理+実作業の両方が可能 |
| 建築施工管理技士+第二種電気工事士 | 住宅現場での対応力アップ |
電気工事士は実技試験がありますが、施工管理技士との相性は抜群です。
施工管理技士×宅建士
| 組み合わせ | メリット |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士+宅建士 | 不動産開発・デベロッパーへの転職に有利 |
| 2級建築施工管理技士+宅建士 | リフォーム×不動産で独立可能 |
宅建士は、施工管理技士とは全く異なる分野ですが、不動産業界への転職や独立開業を考えている方にはおすすめの組み合わせです。
施工管理技士×技術士
| 組み合わせ | メリット |
|---|---|
| 1級土木施工管理技士+技術士(建設部門) | コンサルタント転身に有利、年収800万円〜 |
技術士は難関資格ですが、取得すれば建設コンサルタントとしてのキャリアが開けます。
ダブルライセンス取得者の年収事例
実際にダブルライセンスを取得した方の年収事例を紹介します。
事例1:建築×土木(30代・ゼネコン勤務)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保有資格 | 1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士 |
| 勤務先 | 中堅ゼネコン |
| 年収 | 720万円 |
| 資格手当 | 月35,000円(年42万円) |
「建築と土木の両方が分かるので、現場所長として複合工事を任せてもらえるようになりました。」
事例2:建築×管工事×電気(40代・設備会社勤務)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保有資格 | 1級建築、1級管工事、1級電気工事施工管理技士 |
| 勤務先 | 大手設備会社 |
| 年収 | 850万円 |
| 資格手当 | 月50,000円(年60万円) |
「3つの資格で、ビルの設備工事全体を統括できます。会社からの評価も高く、管理職に昇進しました。」
事例3:土木×建設機械(50代・独立)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保有資格 | 1級土木施工管理技士、1級建設機械施工管理技士 |
| 勤務形態 | 独立(一人親方) |
| 年収 | 900万円 |
「独立してから、両方の資格が役立っています。土木工事の現場で重機も扱えるので、仕事の幅が広いです。」
よくある質問
Q1. ダブルライセンスは何年くらいで取得できますか?
A. 一般的には4〜6年が目安です。2級を2つ取得するのに2〜3年、1級を2つ取得するのに2〜3年というペースが現実的です。
Q2. 実務経験は共通でカウントできますか?
A. 一部重複する場合があります。例えば、建築工事の現場で電気設備工事も行っていた場合、両方の実務経験としてカウントできることがあります。詳細は試験機関に確認してください。
Q3. 3つ以上の資格を取得するメリットはありますか?
A. あります。3つ以上の1級施工管理技士を持つ人材は非常に希少で、総合建設業として独立する際に大きな武器になります。ただし、取得にかなりの時間がかかるため、キャリアプランと照らし合わせて判断しましょう。
Q4. どの組み合わせが最も年収アップにつながりますか?
A. 一般的には建築×土木の組み合わせが最も評価されます。ただし、勤務先の業種によって異なるため、自分の会社でどの資格が評価されるかを確認することをおすすめします。
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ダブルライセンスの取得計画を立てる際に、以下の記事も参考になります。
- 施工管理技士の年収比較|7種類・年代別の給与相場 - 資格ごとの年収データを確認できます
- 施工管理技士の難易度ランキング|7種類を徹底比較 - どの資格から挑戦すべきか判断できます
- 施工管理技士の将来性|AIに仕事を奪われない理由 - 長期的なキャリア設計の参考になります
まとめ
施工管理技士のダブルライセンスは、キャリアアップの強力な武器です。
ダブルライセンスの5つのメリット:
- 年収が大幅にアップ(年間18〜36万円+α)
- 転職市場での価値が上がる
- 担当できる工事の幅が広がる
- 会社での評価が高まる
- 独立・開業時に有利
おすすめの組み合わせ:
- 建築×土木(王道の組み合わせ)
- 建築×管工事(設備強化型)
- 建築×電気工事(オールラウンド型)
- 土木×建設機械(土工専門型)
- 電気工事×電気通信工事(電気系特化型)
- 管工事×電気工事(設備専門型)
- 建築×造園(外装・緑化特化型)
取得戦略:
- 2級→2級→1級→1級の順で効率的に取得
- 試験日程を考慮した計画を立てる
- 実務経験を効率的に積む
まずは1つ目の資格をしっかり取得し、その後、計画的にダブルライセンスを目指しましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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