目次
「1級と2級の施工管理技士、どう違うの?」
「いきなり1級を受けてもいい?」
「2級から取るべき?」
施工管理技士の資格取得を考えている方なら、誰もが抱く疑問ではないでしょうか。
結論から言うと、1級と2級では「管理できる工事の規模」と「なれる技術者の種類」が大きく異なります。 そしてほとんどの方は、まず2級から取得することをおすすめします。
この記事では、施工管理技士7種類すべてについて1級と2級の違いを徹底解説し、あなたに最適な資格取得ルートをご提案します。
この記事でわかること
- 1級と2級施工管理技士の違い(6つの観点で比較)
- 施工管理技士7種類それぞれの1級・2級比較
- どちらから取るべきかの判断基準
- 令和6年度制度改正による変更点
施工管理技士の全7種類を確認
まず、施工管理技士には以下の7種類があることを確認しましょう。
| 資格名 | 主な対象工事 |
|---|---|
| 建築施工管理技士 | ビル・マンション・住宅などの建築工事 |
| 土木施工管理技士 | 道路・橋・ダムなどの土木工事 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気設備の設置・配線工事 |
| 管工事施工管理技士 | 空調・給排水・ガス配管工事 |
| 電気通信工事施工管理技士 | 通信設備・ネットワーク工事 |
| 造園施工管理技士 | 公園・庭園・緑化工事 |
| 建設機械施工管理技士 | 建設機械を使用する工事 |
すべての施工管理技士に1級と2級があり、それぞれ管理できる工事規模や求められる責任が異なります。
1級と2級の違い一覧表【全種類共通】
7種類すべてに共通する1級と2級の主な違いを見ていきましょう。
| 比較項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 管理できる工事規模 | 制限なし | 一般建設業(4,000万円未満が目安) |
| 配置できる技術者 | 監理技術者 | 主任技術者 |
| 経審での評価点 | 5点 | 2点 |
| 資格手当の相場 | 月1〜3万円 | 月5,000〜1万5,000円 |
| 受験資格(第一次) | 19歳以上 | 17歳以上 |
| 第二次検定の実務経験 | 1〜5年 | 1〜3年 |
| 試験難易度 | 高い | 中程度 |
以下、各項目を詳しく解説します。
違い1:管理できる工事規模
1級:特定建設業の大規模工事も担当可能
1級施工管理技士は、管理できる工事の規模に上限がありません。
特定建設業として元請工事を請け負う場合、下請に出す金額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)になると「監理技術者」の配置が必要です。この監理技術者になれるのは1級保有者のみです。
1級が担当できる工事の例:
- 超高層マンション建築工事
- 大規模商業施設建築工事
- 高速道路・橋梁工事
- 大型プラント建設工事
- 請負金額が数億〜数十億円規模の工事
2級:一般建設業の工事を担当
2級施工管理技士は、一般建設業の範囲内で「主任技術者」として配置されます。
2級が担当できる工事の例:
- 一般住宅の新築・リフォーム工事
- 小規模店舗の内装工事
- マンションの改修工事
- 中小規模の設備工事
- 下請として担当する専門工事
建設業界の工事の大半は2級でも対応可能な規模です。2級でも十分に活躍できる現場は多くあります。
違い2:配置できる技術者の種類
監理技術者と主任技術者の違い
| 技術者の種類 | 配置要件 | 資格要件 |
|---|---|---|
| 監理技術者 | 特定建設業の元請工事(下請総額4,500万円以上) | 1級施工管理技士のみ |
| 主任技術者 | すべての建設工事 | 1級または2級施工管理技士 |
監理技術者の役割(1級のみ):
- 下請業者の指導・監督
- 工事全体の品質・安全・工程管理
- 発注者・設計者との折衝
- 複数現場の統括管理
主任技術者の役割(1級・2級どちらでも可):
- 施工計画の作成
- 工程管理・品質管理・安全管理
- 作業員への技術的指導
- 下請業者との調整
ポイント:2級でも主任技術者として現場管理ができます。必ずしも1級がなくても、施工管理の仕事は十分にこなせます。
違い3:受験資格と実務経験
令和6年度の制度改正により、受験資格が大幅に緩和されました。
第一次検定の受験資格
| 級 | 受験資格 |
|---|---|
| 1級 | 試験年度末時点で19歳以上 |
| 2級 | 試験年度末時点で17歳以上 |
学歴による制限は撤廃されました。 年齢条件さえ満たせば、誰でも第一次検定を受験できます。
第二次検定に必要な実務経験
| 級 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 1級 | 第一次検定合格後1〜5年(種類による) |
| 2級 | 第一次検定合格後1〜3年(種類による) |
以前は学歴によって必要な実務経験年数が細かく分かれていましたが、新制度ではシンプルになりました。
最短取得ルートの例
2級を最短で取得する場合:
- 17歳で第一次検定合格(2級技士補取得)
- 高校卒業後に建設会社へ就職
- 実務経験3年を経て第二次検定合格
- 20歳で2級施工管理技士取得
1級を最短で取得する場合:
- 19歳で第一次検定合格(1級技士補取得)
- 建設会社で実務経験を積む
- 実務経験5年を経て第二次検定合格
- 24歳で1級施工管理技士取得
違い4:試験の難易度
合格率の比較(建築施工管理技士の場合)
| 試験 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 第一次検定 | 約40〜45% | 約40〜50% |
| 第二次検定 | 約40〜50% | 約30〜40% |
数字だけ見ると大きな差はないように見えますが、受験者層が異なるため単純比較はできません。
1級の方が難しい理由
1. 出題範囲が広い 1級は専門分野だけでなく、建設業法、労働安全衛生法、環境関連法規など、管理者として必要な知識が幅広く問われます。
2. 経験記述の要求水準が高い 第二次検定の経験記述では、大規模工事における管理上の工夫や判断を具体的に記述する必要があります。
3. 受験者のレベルが高い 1級を受験するのは、ある程度の実務経験を積んだ人が中心。その中での競争になります。
2級が取り組みやすい理由
1. 基礎的な内容が中心 出題される内容は施工管理の基礎知識が中心で、初学者でも取り組みやすい難易度です。
2. 過去問対策が有効 過去問からの類似出題が多く、過去5年分を繰り返し解けば合格ラインに到達できます。
3. 実務経験が浅くても対応可能 経験記述の要求水準が1級ほど高くないため、実務経験が比較的浅くても対策可能です。
違い5:年収への影響
資格手当の相場
| 級 | 資格手当の相場(月額) | 年間換算 |
|---|---|---|
| 1級 | 10,000〜30,000円 | 12〜36万円 |
| 2級 | 5,000〜15,000円 | 6〜18万円 |
1級を取得すると、2級に比べて年間で6〜18万円の収入増が期待できます。
平均年収の違い
| 資格 | 平均年収(目安) |
|---|---|
| 1級施工管理技士 | 550〜700万円 |
| 2級施工管理技士 | 400〜550万円 |
| 資格なし | 350〜450万円 |
1級と2級では100〜150万円の年収差があるケースも珍しくありません。
キャリアへの影響
| 級 | キャリアへの影響 |
|---|---|
| 1級 | 大手ゼネコンへの転職に有利、現場所長への昇進条件になることも、独立時の信頼性が高い |
| 2級 | 中小企業での評価が高い、施工管理職への転職に有利、まずは現場経験を積むのに最適 |
違い6:経営事項審査での評価
公共工事の入札に参加する際、企業の技術力を評価する「経営事項審査(経審)」があります。
| 級 | 経審での加点 |
|---|---|
| 1級 | 5点 |
| 2級 | 2点 |
会社にとって、1級保有者は2級保有者の2.5倍の価値があります。
そのため、1級取得者は会社からの評価が高く、昇給や手当増額につながりやすい傾向があります。特に公共工事を多く受注している企業では、1級保有者は非常に重宝されます。
施工管理技士7種類別の1級・2級比較
ここからは、7種類の施工管理技士それぞれの特徴を見ていきましょう。
建築施工管理技士
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | すべての建築工事 | 小〜中規模建築工事 |
| 合格率(第一次) | 約40〜45% | 約40〜50% |
| 合格率(第二次) | 約40〜50% | 約30〜40% |
| 特徴 | 最も取得者が多い | 住宅・リフォーム分野で重宝 |
建築施工管理技士は、施工管理技士の中で最も受験者数・取得者数が多い資格です。ビル、マンション、住宅など、建築物全般の施工管理を行います。
土木施工管理技士
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | すべての土木工事 | 小〜中規模土木工事 |
| 合格率(第一次) | 約50〜60% | 約55〜65% |
| 合格率(第二次) | 約35〜45% | 約35〜45% |
| 特徴 | 公共工事で必須 | 地方の工事で活躍 |
土木施工管理技士は、道路、橋、ダム、トンネルなどの土木工事を担当します。公共工事が多いため、経審での評価が重視される傾向があります。
電気工事施工管理技士
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | すべての電気工事 | 小〜中規模電気工事 |
| 合格率(第一次) | 約40〜50% | 約55〜65% |
| 合格率(第二次) | 約55〜65% | 約60〜70% |
| 特徴 | 大規模プラントで必須 | 設備会社で活躍 |
電気工事施工管理技士は、ビルや工場の電気設備工事を担当します。電気工事士の資格と組み合わせることで、より幅広い業務に対応できます。
管工事施工管理技士
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | すべての管工事 | 小〜中規模管工事 |
| 合格率(第一次) | 約40〜50% | 約50〜60% |
| 合格率(第二次) | 約50〜60% | 約45〜55% |
| 特徴 | 空調・衛生設備で重要 | 設備メンテナンス会社で活躍 |
管工事施工管理技士は、空調設備、給排水設備、ガス配管などの工事を担当します。建物の快適性に直結する重要な役割です。
電気通信工事施工管理技士
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | すべての電気通信工事 | 小〜中規模電気通信工事 |
| 合格率(第一次) | 約45〜55% | 約60〜70% |
| 合格率(第二次) | 約30〜40% | 約35〜45% |
| 特徴 | 5G・IoT時代に需要増 | 通信インフラ会社で活躍 |
電気通信工事施工管理技士は、2019年に新設された比較的新しい資格です。5G、IoTの普及に伴い、今後も需要が高まることが予想されます。
造園施工管理技士
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | すべての造園工事 | 小〜中規模造園工事 |
| 合格率(第一次) | 約40〜50% | 約50〜60% |
| 合格率(第二次) | 約35〜45% | 約40〜50% |
| 特徴 | 大規模公園・緑化事業 | 個人庭園・小規模緑化 |
造園施工管理技士は、公園、庭園、道路の緑化など、植栽を含む工事を担当します。環境への関心の高まりとともに、需要が増えています。
建設機械施工管理技士
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | すべての建設機械を使う工事 | 特定の建設機械を使う工事 |
| 合格率(第一次) | 約25〜35% | 約40〜50% |
| 合格率(第二次) | 約60〜70% | 約80〜90% |
| 特徴 | 大規模土木工事で必須 | 機械オペレーターの証明 |
建設機械施工管理技士は、ブルドーザー、ショベルカーなどの建設機械を使用する工事を管理します。2級は機種ごとに区分があり、操作する機械に応じた資格が必要です。
どちらから取るべき?判断基準
まず2級から取得すべき人
以下に当てはまる方は、2級から取得することを強くおすすめします。
- 建設業界での実務経験が3年未満
- 資格試験の勉強に不安がある
- まずは確実に資格を取りたい
- 中小企業で働いている
- 将来のキャリアがまだ明確でない
2級から始めるメリット:
- 合格しやすく、自信がつく
- 「技士補」の資格で早めにキャリアアップ
- 2級の勉強内容が1級の基礎になる
- 失敗のリスクが低い
いきなり1級を目指してもいい人
以下に当てはまる方は、最初から1級に挑戦することも選択肢です。
- 建設業界での実務経験が5年以上
- 大規模工事の経験がある
- 大手ゼネコンへの転職を考えている
- 資格試験に自信がある
- 1日2時間以上の勉強時間を確保できる
1級から始めるメリット:
- 2級を取る時間と費用が省ける
- より大きな年収アップが見込める
- 転職市場での評価が高い
- 監理技術者として早く活躍できる
迷ったら2級から
迷っている場合は、2級から始めることをおすすめします。
理由は以下の通りです。
- 不合格のリスクが低い:2級の方が合格しやすい
- 早く資格が取れる:技士補として早く現場で評価される
- 勉強のペースがつかめる:1級に向けた準備になる
- 挫折しにくい:段階的なステップアップで自信がつく
令和6年度制度改正の影響
令和6年度から施行された制度改正について、1級・2級それぞれへの影響を確認しましょう。
改正のポイント
| 項目 | 旧制度 | 新制度 |
|---|---|---|
| 第一次検定の受験資格 | 学歴・実務経験が必要 | 年齢のみ(1級:19歳、2級:17歳) |
| 第二次検定の受験資格 | 学歴+実務経験 | 第一次合格+実務経験 |
| 技士補制度 | なし | 第一次合格で付与 |
1級・2級選択への影響
この制度改正により、以下のような変化が起きています。
若い人にとって有利に:
- 17歳で2級第一次検定を受験可能
- 19歳で1級第一次検定を受験可能
- 早期に「技士補」として評価される
学歴に関係なく挑戦可能に:
- 指定学科卒業でなくても受験OK
- 独学でも資格取得を目指せる
ステップアップが明確に:
- 2級技士補 → 2級 → 1級技士補 → 1級というルートが分かりやすい
- 各段階で資格が付与されるため、モチベーションを維持しやすい
1級・2級の取得ロードマップ
最後に、一般的なキャリアパスを示します。
標準的なルート(2級から)
- 17歳〜:2級第一次検定に合格(2級技士補取得)
- 20歳頃:実務経験を積み、2級第二次検定に合格(2級取得)
- 22歳〜25歳頃:1級第一次検定に合格(1級技士補取得)
- 25歳〜30歳頃:1級第二次検定に合格(1級取得)
最短ルート(1級直接挑戦)
- 19歳:1級第一次検定に合格(1級技士補取得)
- 24歳:1級第二次検定に合格(1級取得)
ダブルライセンスルート
複数の施工管理技士を取得する場合:
- 20歳:建築2級取得
- 23歳:建築1級取得
- 25歳:土木2級取得
- 28歳:土木1級取得
複数の施工管理技士を持つことで、より幅広い現場で活躍できます。
よくある質問
Q1. 2級を取らずにいきなり1級を受けられますか?
A. はい、受験できます。令和6年度からの制度改正により、19歳以上であれば1級の第一次検定を受験可能です。ただし、第二次検定には実務経験が必要です。
Q2. 2級を持っていると1級の試験が免除になりますか?
A. 試験自体の免除はありませんが、2級の学習内容は1級の基礎になります。また、経過措置期間中は一部の免除制度がある場合もあります。
Q3. 1級と2級を同時に受験できますか?
A. 試験日程が異なれば可能です。ただし、両方の試験対策を並行して行うのは負担が大きいため、どちらかに集中することをおすすめします。
Q4. 複数の種類の施工管理技士を取得するメリットは?
A. 仕事の幅が広がり、転職や独立で有利になります。特に建築と土木、建築と管工事などの組み合わせは、総合的な施工管理ができる人材として評価されます。
まとめ
1級と2級施工管理技士の違いと、どちらから取るべきかをまとめます。
1級と2級の主な違い:
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 工事規模 | 制限なし | 4,000万円未満が目安 |
| 技術者 | 監理技術者になれる | 主任技術者になれる |
| 難易度 | 高い | 中程度 |
| 経審 | 5点 | 2点 |
| 年収差 | 年収100〜150万円高い | - |
取得の判断基準:
- 2級から取得:経験が浅い、勉強に不安がある、確実に資格を取りたい
- 1級から挑戦:経験が豊富、大手志望、勉強に自信がある
迷ったら2級からが基本方針です。
まずは令和8年度の2級施工管理技士試験を目標に、合格を目指しましょう。2級を取得すれば、1級への道も開けます。
あなたのキャリアアップを応援しています!
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監修・執筆
sekocan 編集部
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