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「1級と2級、どちらから取ればいいの?」「管工事施工管理技士の1級と2級の違いって何?」
管工事施工管理技士を目指す方が必ず抱く疑問です。
結論から言うと、基本的には2級から取得することをおすすめしますが、条件によっては最初から1級を目指す選択肢もあります。
この記事では、1級と2級管工事施工管理技士の違いを8つの観点から徹底比較し、あなたに最適な資格取得ルートを解説します。令和8年度の受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 1級と2級の違い(8つの比較軸)
- 令和6年度制度改正後の受験資格
- それぞれの合格難易度と合格率
- 年収・キャリアへの影響の違い
- あなたに最適な資格取得ルート
1級と2級の違い一覧表
まずは、1級と2級管工事施工管理技士の主な違いを一覧表で確認しましょう。
| 比較項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 管理できる工事規模 | 制限なし | 4,500万円未満 |
| 配置できる技術者 | 監理技術者・主任技術者 | 主任技術者のみ |
| 第一次検定の受験資格 | 19歳以上 | 17歳以上 |
| 第二次検定の受験資格 | 実務経験1〜5年 | 実務経験1〜3年 |
| 合格率(第一次) | 約35〜55% | 約55〜70% |
| 合格率(第二次) | 約50〜65% | 約40〜55% |
| 経審の加点 | 5点 | 2点 |
| 平均年収 | 500〜700万円 | 400〜550万円 |
以下、それぞれの違いを詳しく解説していきます。
違い1:管理できる工事の規模
1級:あらゆる規模の管工事を担当可能
1級管工事施工管理技士は、管理できる工事の規模に上限がありません。
1級が担当できる工事の例:
- 大規模ビルの空調設備工事
- 病院・工場の給排水衛生設備工事
- 地域冷暖房プラント設備工事
- 大規模マンションの配管設備更新工事
- 請負金額が数億円以上の大規模プロジェクト
特に、元請として外注総額が4,500万円以上の工事を請け負う場合、監理技術者の配置が義務付けられており、この役割を担えるのは1級保有者のみです。
2級:中小規模の管工事を担当
2級管工事施工管理技士は、外注総額4,500万円未満の工事で主任技術者として配置されます。
2級が担当できる工事の例:
- 一般住宅の給排水・空調設備工事
- 小規模店舗・事務所の空調設備工事
- マンションの改修・修繕工事(衛生設備)
- 下請業者としての専門工事
- 小規模オフィスビルの配管工事
管工事の現場では、中小規模の工事が大半を占めています。2級でも活躍できる現場は非常に多いのが実態です。
管工事における実務への影響
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 大規模ビルの空調工事 | 可能(監理技術者) | 小規模のみ可能 |
| 病院・工場の設備工事 | 元請可能 | 下請中心 |
| 独立時の受注範囲 | 広い | 限定的 |
| 公共工事の元請 | 有利 | 制限あり |
違い2:配置できる技術者の種類
監理技術者(1級のみ)
監理技術者は、特定建設業者が元請として大規模工事を請け負う際に、現場に配置が義務付けられる技術者です。
管工事における監理技術者の役割:
- 給排水・空調設備の施工全体を統括管理
- 下請業者(配管業者、ダクト業者など)への適切な指導・監督
- 設計者・建築業者との調整
- 試運転調整・検査立会いの管理
監理技術者になるためには、1級管工事施工管理技士の資格に加えて、監理技術者講習の受講が必要です。
主任技術者(1級・2級どちらでも可)
主任技術者は、すべての建設工事で配置が必要な技術者です。
管工事における主任技術者の役割:
- 施工計画の作成(配管ルート、機器配置など)
- 工程管理・品質管理・安全管理
- 下請業者との調整
- 配管の勾配・接合などの技術的な指導
2級でも主任技術者として現場管理ができるため、いきなり1級がなくても施工管理の仕事は十分にこなせます。
技士補(新設資格)
令和3年度から、第一次検定合格者に「技士補」の資格が付与されるようになりました。
| 資格 | 付与条件 |
|---|---|
| 1級管工事施工管理技士補 | 1級第一次検定合格 |
| 2級管工事施工管理技士補 | 2級第一次検定合格 |
技士補は、監理技術者や主任技術者の補佐として現場に配置できます。
違い3:受験資格
令和6年度の制度改正により、受験資格が大幅に緩和されました。令和8年度もこの制度が継続されます。
第一次検定の受験資格
| 級 | 受験資格 |
|---|---|
| 1級 | 年度末時点で19歳以上 |
| 2級 | 年度末時点で17歳以上 |
以前は学歴による制限がありましたが、現在は年齢条件のみで第一次検定を受験できます。
第二次検定の受験資格
第二次検定には実務経験が必要です。
| 級 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 1級 | 1年〜5年(条件により異なる) |
| 2級 | 1年〜3年(条件により異なる) |
1級第二次検定の実務経験要件:
| 条件 | 必要年数 |
|---|---|
| 1級技士補 + 監理技術者補佐経験 | 1年以上 |
| 1級技士補 + 主任技術者経験 | 3年以上 |
| 1級技士補のみ | 5年以上 |
2級第二次検定の実務経験要件:
| 条件 | 必要年数 |
|---|---|
| 2級技士補 + 主任技術者経験 | 1年以上 |
| 2級技士補のみ | 3年以上 |
管工事の実務経験として認められる工事
管工事施工管理技士の受験に必要な実務経験は、以下のような工事が対象となります。
認められる管工事の例:
- 冷暖房設備工事(空調機器、チラー、ボイラーなど)
- 給排水衛生設備工事(給水管、排水管、衛生器具)
- 空気調和設備工事(ダクト、換気設備)
- 給湯設備工事
- ガス配管設備工事
- 消火設備工事(スプリンクラー、消火栓)
- 浄化槽工事
違い4:試験の難易度と合格率
合格率の比較
| 試験 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 第一次検定 | 約35〜55% | 約55〜70% |
| 第二次検定 | 約50〜65% | 約40〜55% |
| 両方ストレート合格 | 約18〜35% | 約22〜38% |
2級の方が第一次検定の合格率は高いですが、第二次検定では1級と2級で大きな差はありません。
1級が難しい理由
- 出題範囲が広い:空調・給排水・衛生設備全般の深い専門知識が必要
- 経験記述のハードルが高い:大規模管工事の管理経験を踏まえた記述が求められる
- 計算問題が難しい:空調負荷計算、配管のサイズ選定など
- 応用問題が多い:単なる暗記では対応できない
2級の特徴
- 基礎的な内容が中心:初学者でも取り組みやすい
- 出題パターンが決まっている:過去問の繰り返しで対応可能
- 経験記述の要求水準が低い:中小規模工事の経験でも対応可能
- 合格への道筋が明確:3ヶ月程度の勉強で合格する方も多い
必要な勉強時間の目安
| 級 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| 1級 | 150〜250時間 | 80〜120時間 |
| 2級 | 60〜120時間 | 50〜100時間 |
1級は2級の約1.5〜2倍の勉強時間が必要です。
違い5:試験内容の違い
出題形式の比較
第一次検定:
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 問題数 | 73問(60問解答) | 52問(40問解答) |
| 試験時間 | 午前2時間15分+午後2時間 | 2時間10分 |
| 出題範囲 | 管工事全般(空調・衛生・原論) | 同左(基礎レベル) |
第二次検定:
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 問題数 | 6問 | 5問 |
| 試験時間 | 2時間45分 | 2時間 |
| 経験記述 | 大規模工事の経験が有利 | 中小規模でも対応可 |
管工事特有の出題範囲
1級・2級ともに以下の分野から出題されます。
| 分野 | 出題内容 |
|---|---|
| 原論 | 流体力学、熱力学、電気工学 |
| 空調設備 | 冷凍機、ボイラー、空調方式、ダクト |
| 衛生設備 | 給水方式、排水・通気、給湯、消火 |
| 設備機器 | ポンプ、送風機、配管材料、弁類 |
| 施工管理 | 工程管理、品質管理、安全管理 |
| 法規 | 建設業法、労働安全衛生法、建築基準法 |
違い6:年収・キャリアへの影響
資格手当の比較
| 資格 | 月額手当の相場 | 年間換算 |
|---|---|---|
| 1級 | 1万〜3万円 | 12〜36万円 |
| 2級 | 5,000〜1万5,000円 | 6〜18万円 |
年間で約6万円〜20万円の差があります。
平均年収の比較
| 資格 | 平均年収 | 年収の幅 |
|---|---|---|
| 1級 | 500〜700万円 | 450〜900万円以上 |
| 2級 | 400〜550万円 | 350〜650万円 |
| 無資格 | 330〜420万円 | 280〜500万円 |
1級と2級の年収差は約80万円〜150万円です。
管工事業界でのキャリアパス
1級取得後のキャリア:
- 大手サブコン(設備会社)への転職が有利
- 大規模ビル・プラントの設備工事責任者
- 監理技術者として複数現場を統括
- 設備設計事務所への転職も可能
- 独立・起業時の受注範囲が広い
2級取得後のキャリア:
- 中小設備会社での主任技術者
- ビルメンテナンス会社での技術者
- 住宅設備会社での施工管理
- 1級取得へのステップアップ
- 専門工事業者(配管・空調)での技術者
違い7:経営事項審査での評価
公共工事の入札に参加する際、企業の技術力を評価する「経営事項審査(経審)」があります。
| 資格 | 技術職員の評点 |
|---|---|
| 1級管工事施工管理技士 | 5点 |
| 2級管工事施工管理技士 | 2点 |
| 1級技士補 | 4点 |
| 2級技士補 | 1点 |
会社から見ると、1級保有者は2級保有者の2.5倍の価値があります。そのため、1級取得者は会社からの評価が高く、昇給や手当増額につながりやすい傾向があります。
違い8:試験日程
令和8年度の試験日程(予定)は以下の通りです。
1級管工事施工管理技士:
| 試験 | 申込期間 | 試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 第一次 | 3月〜4月頃 | 6月頃 | 7月頃 |
| 第二次 | 7月〜8月頃 | 11月頃 | 3月頃 |
2級管工事施工管理技士:
| 試験 | 申込期間 | 試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 前期(第一次のみ) | 3月〜4月頃 | 6月頃 | 7月頃 |
| 後期(第一次・第二次) | 7月〜8月頃 | 11月頃 | 1〜3月頃 |
2級は年2回の受験機会があり、挑戦しやすいメリットがあります。
どちらから取るべき?判断フローチャート
以下のフローチャートで、あなたに最適なルートを確認しましょう。
2級から取るべき人
以下に当てはまる方は、まず2級から取得することをおすすめします。
- 設備業界での経験が3年未満
- 施工管理の試験を受けるのが初めて
- 小〜中規模の配管・空調工事経験しかない
- 確実に資格を取りたい
- 中小設備会社で働いており、大規模工事の機会が少ない
2級から取るメリット:
- 合格のハードルが低く、自信がつく
- 2級技士補から早めにキャリアアップできる
- 2級の勉強が1級の基礎固めになる
- 不合格時のリスクが小さい
いきなり1級を目指してもいい人
以下に当てはまる方は、最初から1級を目指す選択肢もあります。
- 設備業界での経験が5年以上
- 大規模ビルの空調・衛生設備工事の経験がある
- 大手サブコン(設備会社)で働いている
- 勉強時間を十分に確保できる
- 過去に他の施工管理技士試験に合格している
いきなり1級を目指すメリット:
- 2級を飛ばして時間を短縮できる
- 早めに年収アップを実現できる
- 転職市場で高く評価される
- 監理技術者として大規模現場を担当できる
迷ったら2級から
判断に迷う場合は、2級から始めることを強くおすすめします。
理由:
- 不合格のリスクが低い
- 2級合格で「技士補」が取れ、経審でも評価される
- 1級の勉強の土台になる
- 2級に合格すると自信がつく
- 実務経験を積みながらステップアップできる
管工事特有のポイント
空調設備と衛生設備の両方が出題される
管工事施工管理技士の試験では、空調設備と**衛生設備(給排水)**の両方から出題されます。
空調設備の出題例:
- 冷凍サイクル、冷凍機の種類
- ボイラーの種類と特徴
- 空調方式(単一ダクト、ファンコイル等)
- ダクトの設計・施工
衛生設備の出題例:
普段の業務が空調中心の方は衛生設備の学習が、衛生中心の方は空調設備の学習が必要になります。
配管材料・機器の知識が重要
管工事では、配管材料と機器に関する知識が非常に重要です。
よく出題される配管材料:
- 鋼管(白管、黒管、SGP)
- 銅管(冷媒配管、給湯管)
- 樹脂管(HIVP、架橋ポリエチレン管)
- ステンレス鋼管
よく出題される機器:
- ポンプ(渦巻ポンプ、水中ポンプ)
- 送風機(シロッコファン、軸流ファン)
- 弁類(仕切弁、玉形弁、逆止弁)
- 冷凍機(ターボ冷凍機、吸収式冷凍機)
よくある質問(FAQ)
Q:2級を取らずにいきなり1級を受けられますか?
A:はい、受験できます。
令和6年度からの制度改正により、19歳以上であれば1級の第一次検定を受験可能です。第二次検定には実務経験が必要ですが、2級を経由する必要はありません。
Q:電気工事や建築の経験は管工事の実務経験になりますか?
A:基本的には認められません。
管工事の実務経験は、空調設備・給排水衛生設備・ガス配管設備などの工事に従事した経験が必要です。ただし、電気設備と管工事を並行して担当していた場合は、管工事部分が実務経験として認められる可能性があります。
Q:1級と2級を同時に受験できますか?
A:試験日程が異なれば可能です。
ただし、両方の試験対策を並行して行うのは負担が大きいため、どちらかに集中することをおすすめします。
Q:2級取得後、何年で1級を取得できますか?
A:最短で2〜3年、一般的には3〜5年程度です。
2級取得後、実務経験を積みながら1級の勉強を進め、第二次検定の受験資格を満たしたタイミングで挑戦するのが一般的です。
Q:設備設計の仕事でも管工事施工管理技士は役立ちますか?
A:はい、役立ちます。
施工管理技士の知識は、設計図面の作成や施工性を考慮した設計に活かせます。設備設計事務所でも、施工管理技士の資格取得を推奨しているところは多いです。
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まとめ
1級と2級管工事施工管理技士の違いをまとめます。
主な違い:
- 工事規模:1級は制限なし、2級は4,500万円未満
- 技術者資格:1級は監理技術者になれる、2級は主任技術者
- 受験資格:1級は19歳以上、2級は17歳以上
- 難易度:1級の方が出題範囲が広く難しい
- 年収差:約80万円〜150万円(1級が高い)
- 経審加点:1級は5点、2級は2点
どちらから取るべきか:
- 基本は2級からがおすすめ
- 経験3年未満、試験初心者は2級から
- 経験5年以上、大規模工事経験者は1級から挑戦も可
管工事特有のポイント:
- 空調設備と衛生設備の両方を学習する必要がある
- 配管材料・機器の知識が重要
- 実務経験は管工事(空調・給排水・消火等)に限られる
令和8年度の目標:
- まずは2級(または1級)の第一次検定合格を目指す
- 技士補を取得してキャリアアップの第一歩を踏み出す
給排水・空調設備の現場で活躍するためにも、ぜひ管工事施工管理技士の取得を目指してください。
あなたの資格取得を応援しています。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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