目次
「1級と2級、どちらから取ればいいの?」「1級と2級の違いって何?」
建築施工管理技士を目指す方が必ず抱く疑問です。
結論から言うと、基本的には2級から取得することをおすすめしますが、条件によっては最初から1級を目指す選択肢もあります。
この記事では、1級と2級建築施工管理技士の違いを8つの観点から徹底比較し、あなたに最適な資格取得ルートを解説します。令和8年度の受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 1級と2級の違い(8つの比較軸)
- 令和6年度制度改正後の受験資格
- それぞれの合格難易度と合格率
- 年収・キャリアへの影響の違い
- あなたに最適な資格取得ルート
1級と2級の違い一覧表
まずは、1級と2級の主な違いを一覧表で確認しましょう。
| 比較項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 管理できる工事規模 | 制限なし | 4,000万円未満 |
| 配置できる技術者 | 監理技術者・主任技術者 | 主任技術者のみ |
| 第一次検定の受験資格 | 19歳以上 | 17歳以上 |
| 第二次検定の受験資格 | 実務経験1〜5年 | 実務経験1〜3年 |
| 合格率(第一次) | 約35〜50% | 約35〜45% |
| 合格率(第二次) | 約39〜45% | 約30〜40% |
| 経審の加点 | 5点 | 2点 |
| 平均年収 | 550〜750万円 | 420〜580万円 |
以下、それぞれの違いを詳しく解説していきます。
違い1:管理できる工事の規模
1級:あらゆる規模の工事を担当可能
1級建築施工管理技士は、管理できる工事の規模に上限がありません。
1級が担当できる工事の例:
- 超高層マンション(20階建て以上)
- 大型商業施設(ショッピングモール等)
- 公共施設(学校、病院、図書館)
- 工場・倉庫などの産業施設
- 請負金額が数十億円以上の大規模プロジェクト
特に、元請として外注総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の工事を請け負う場合、監理技術者の配置が義務付けられており、この役割を担えるのは1級保有者のみです。
2級:中小規模の工事を担当
2級建築施工管理技士は、外注総額4,000万円未満の工事で主任技術者として配置されます。
2級が担当できる工事の例:
- 一般住宅の新築・リフォーム
- 小規模店舗の内装・改装工事
- マンションの改修・修繕工事
- 下請業者としての専門工事
- 小規模オフィスビルの建設
建設業界の工事の大半は中小規模です。2級でも活躍できる現場は非常に多いのが実態です。
実務への影響
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| ゼネコンの現場所長 | 可能 | 小規模のみ可能 |
| 大手ゼネコンでの評価 | 必須 | 入口資格 |
| 独立時の受注範囲 | 広い | 限定的 |
| 公共工事の元請 | 有利 | 制限あり |
違い2:配置できる技術者の種類
監理技術者(1級のみ)
監理技術者は、特定建設業者が元請として大規模工事を請け負う際に、現場に配置が義務付けられる技術者です。
監理技術者の役割:
- 下請業者への適切な指導・監督
- 工事全体の品質管理・工程管理・安全管理
- 施主や設計者との折衝・調整
- 法令遵守の確認・指導
監理技術者になるためには、1級建築施工管理技士の資格に加えて、監理技術者講習の受講が必要です。
主任技術者(1級・2級どちらでも可)
主任技術者は、すべての建設工事で配置が必要な技術者です。
主任技術者の役割:
- 施工計画の作成
- 工程管理・品質管理・安全管理
- 下請業者との調整
- 技術的な指導
2級でも主任技術者として現場管理ができるため、いきなり1級がなくても施工管理の仕事は十分にこなせます。
技士補(新設資格)
令和3年度から、第一次検定合格者に「技士補」の資格が付与されるようになりました。
| 資格 | 付与条件 |
|---|---|
| 1級技士補 | 1級第一次検定合格 |
| 2級技士補 | 2級第一次検定合格 |
技士補は、監理技術者や主任技術者の補佐として現場に配置できます。
違い3:受験資格
令和6年度の制度改正により、受験資格が大幅に緩和されました。令和8年度もこの制度が継続されると予想されます。
第一次検定の受験資格
| 級 | 受験資格 |
|---|---|
| 1級 | 年度末時点で19歳以上 |
| 2級 | 年度末時点で17歳以上 |
以前は学歴による制限がありましたが、現在は年齢条件のみで第一次検定を受験できます。
第二次検定の受験資格
第二次検定には実務経験が必要です。
| 級 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 1級 | 1年〜5年(条件により異なる) |
| 2級 | 1年〜3年(条件により異なる) |
1級第二次検定の実務経験要件:
| 条件 | 必要年数 |
|---|---|
| 1級技士補 + 監理技術者補佐経験 | 1年以上 |
| 1級技士補 + 主任技術者経験 | 3年以上 |
| 1級技士補のみ | 5年以上 |
2級第二次検定の実務経験要件:
| 条件 | 必要年数 |
|---|---|
| 2級技士補 + 主任技術者経験 | 1年以上 |
| 2級技士補のみ | 3年以上 |
最短取得ルートの比較
1級を最短で取得する場合:
- 19歳:1級第一次検定合格(1級技士補取得)
- 20〜21歳:監理技術者補佐として実務経験1年
- 21歳:1級第二次検定合格(1級取得)
2級を最短で取得する場合:
- 17歳:2級第一次検定合格(2級技士補取得)
- 18歳:主任技術者として実務経験1年
- 18〜19歳:2級第二次検定合格(2級取得)
制度改正により、最短21歳で1級取得、最短18〜19歳で2級取得が可能になりました。
違い4:試験の難易度と合格率
合格率の比較
| 試験 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 第一次検定 | 約35〜50% | 約35〜45% |
| 第二次検定 | 約39〜45% | 約30〜40% |
| 両方ストレート合格 | 約16〜20% | 約10〜18% |
数字だけ見ると大きな差はありませんが、受験者層が異なるため単純比較は難しいです。
1級が難しい理由
- 出題範囲が広い:建築全般の深い専門知識が必要
- 経験記述のハードルが高い:大規模工事の管理経験を踏まえた記述が求められる
- 受験者のレベルが高い:一定の実務経験者が受験するため
- 応用問題が多い:単なる暗記では対応できない
2級の特徴
- 基礎的な内容が中心:初学者でも取り組みやすい
- 出題パターンが決まっている:過去問の繰り返しで対応可能
- 経験記述の要求水準が低い:中小規模工事の経験でも対応可能
- 合格への道筋が明確:3ヶ月程度の勉強で合格する方も多い
必要な勉強時間の目安
| 級 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| 1級 | 200〜300時間 | 100〜150時間 |
| 2級 | 100〜200時間 | 50〜100時間 |
1級は2級の約1.5〜2倍の勉強時間が必要です。
違い5:試験内容の違い
出題形式の比較
第一次検定:
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 問題数 | 82問(60問解答) | 50問(40問解答) |
| 試験時間 | 午前2時間30分+午後2時間 | 2時間30分 |
| 出題範囲 | 建築学、施工管理法、法規 | 同左(基礎レベル) |
第二次検定:
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 問題数 | 6問 | 5問 |
| 試験時間 | 3時間 | 2時間 |
| 経験記述 | 大規模工事の経験が必要 | 中小規模でも対応可 |
出題範囲の違い
1級は2級の範囲に加えて、以下の内容が追加されます。
違い6:年収・キャリアへの影響
資格手当の比較
| 資格 | 月額手当の相場 | 年間換算 |
|---|---|---|
| 1級 | 1万〜3万円 | 12〜36万円 |
| 2級 | 5,000〜1万5,000円 | 6〜18万円 |
年間で約6万円〜20万円の差があります。
平均年収の比較
| 資格 | 平均年収 | 年収の幅 |
|---|---|---|
| 1級 | 550〜750万円 | 450〜1,000万円以上 |
| 2級 | 420〜580万円 | 350〜700万円 |
| 無資格 | 350〜450万円 | 300〜550万円 |
1級と2級の年収差は約100万円〜150万円です。
キャリアパスの違い
1級取得後のキャリア:
- 大手ゼネコンへの転職が有利
- 現場所長・統括所長への昇進
- 監理技術者として大規模プロジェクト担当
- 独立・起業時の受注範囲が広い
2級取得後のキャリア:
- 中小建設会社での主任技術者
- 住宅メーカー・リフォーム会社での施工管理
- 1級取得へのステップアップ
- 専門工事業者での技術者
違い7:経営事項審査での評価
公共工事の入札に参加する際、企業の技術力を評価する「経営事項審査(経審)」があります。
| 資格 | 技術職員の評点 |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士 | 5点 |
| 2級建築施工管理技士 | 2点 |
| 1級技士補 | 4点 |
| 2級技士補 | 1点 |
会社から見ると、1級保有者は2級保有者の2.5倍の価値があります。そのため、1級取得者は会社からの評価が高く、昇給や手当増額につながりやすい傾向があります。
違い8:試験日程
令和8年度の試験日程(予想)は以下の通りです。
1級建築施工管理技士:
| 試験 | 申込期間 | 試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 第一次 | 2月〜3月頃 | 6月頃 | 7月頃 |
| 第二次 | 7月〜8月頃 | 10月頃 | 1月頃 |
2級建築施工管理技士:
| 試験 | 申込期間 | 試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 前期(第一次のみ) | 2月〜3月頃 | 6月頃 | 7月頃 |
| 後期(第一次・第二次) | 7月〜8月頃 | 11月頃 | 1〜2月頃 |
2級は年2回の受験機会があり、挑戦しやすいメリットがあります。
どちらから取るべき?判断フローチャート
以下のフローチャートで、あなたに最適なルートを確認しましょう。
2級から取るべき人
以下に当てはまる方は、まず2級から取得することをおすすめします。
- 建設業界での経験が3年未満
- 施工管理の試験を受けるのが初めて
- 小〜中規模の工事経験しかない
- 確実に資格を取りたい
- 中小企業で働いており、大規模工事の機会が少ない
2級から取るメリット:
- 合格のハードルが低く、自信がつく
- 2級技士補から早めにキャリアアップできる
- 2級の勉強が1級の基礎固めになる
- 不合格時のリスクが小さい
いきなり1級を目指してもいい人
以下に当てはまる方は、最初から1級を目指す選択肢もあります。
- 建設業界での経験が5年以上
- 大規模工事(10億円以上)の経験がある
- 大手ゼネコンで働いている
- 勉強時間を十分に確保できる
- 過去に他の施工管理技士試験に合格している
いきなり1級を目指すメリット:
- 2級を飛ばして時間を短縮できる
- 早めに年収アップを実現できる
- 転職市場で高く評価される
- 監理技術者として活躍できる
迷ったら2級から
判断に迷う場合は、2級から始めることを強くおすすめします。
理由:
- 不合格のリスクが低い
- 2級合格で「技士補」が取れ、経審でも評価される
- 1級の勉強の土台になる
- 2級に合格すると自信がつく
- 実務経験を積みながらステップアップできる
1級・2級の取得ロードマップ
標準的なルート(2級から1級へ)
- 17歳〜:2級第一次検定に合格(2級技士補取得)
- 18〜20歳頃:実務経験を積み、2級第二次検定に合格(2級取得)
- 20〜24歳頃:1級第一次検定に合格(1級技士補取得)
- 24〜28歳頃:1級第二次検定に合格(1級取得)
最短ルート(制度改正後)
- 19歳:1級第一次検定に合格(1級技士補取得)
- 20〜21歳:監理技術者補佐として実務経験1年
- 21歳:1級第二次検定に合格(1級取得)
社会人からの取得ルート
- 入社1〜2年目:2級第一次検定に合格(2級技士補取得)
- 入社2〜4年目:2級第二次検定に合格(2級取得)
- 入社4〜6年目:1級第一次検定に合格(1級技士補取得)
- 入社6〜10年目:1級第二次検定に合格(1級取得)
よくある質問(FAQ)
Q:2級を取らずにいきなり1級を受けられますか?
A:はい、受験できます。
令和6年度からの制度改正により、19歳以上であれば1級の第一次検定を受験可能です。第二次検定には実務経験が必要ですが、2級を経由する必要はありません。
Q:2級を持っていると1級の試験が免除になりますか?
A:一部免除される場合があります。
2級第一次検定に合格していると、1級第一次検定の「施工管理法(基礎的な能力)」の一部が免除されるケースがあります。詳細は試験実施機関の最新情報を確認してください。
Q:1級と2級を同時に受験できますか?
A:試験日程が異なれば可能です。
ただし、両方の試験対策を並行して行うのは負担が大きいため、どちらかに集中することをおすすめします。
Q:2級取得後、何年で1級を取得できますか?
A:最短で2〜3年、一般的には4〜6年程度です。
2級取得後、実務経験を積みながら1級の勉強を進め、第二次検定の受験資格を満たしたタイミングで挑戦するのが一般的です。
Q:1級と2級、どちらの方が就職・転職に有利ですか?
A:1級の方が有利ですが、2級でも十分に評価されます。
1級は大手ゼネコンへの転職で特に有利です。一方、2級でも中小建設会社や住宅メーカーでは十分に評価され、施工管理職への転職に困ることはありません。
あわせて読みたい
まとめ
1級と2級建築施工管理技士の違いをまとめます。
主な違い:
- 工事規模:1級は制限なし、2級は4,000万円未満
- 技術者資格:1級は監理技術者になれる、2級は主任技術者
- 受験資格:1級は19歳以上、2級は17歳以上
- 難易度:1級の方が出題範囲が広く難しい
- 年収差:約100万円〜150万円(1級が高い)
- 経審加点:1級は5点、2級は2点
どちらから取るべきか:
- 基本は2級からがおすすめ
- 経験3年未満、試験初心者は2級から
- 経験5年以上、大規模工事経験者は1級から挑戦も可
令和8年度の目標:
- まずは2級(または1級)の第一次検定合格を目指す
- 技士補を取得してキャリアアップの第一歩を踏み出す
当サイトでは、1級建築施工管理技士の過去問や2級建築施工管理技士の過去問を無料で提供しています。また、建築施工管理の用語集も学習にお役立てください。
あなたの資格取得を応援しています。
関連する資格ページ
監修・執筆
sekocan 編集部
施工管理技士の資格取得支援に特化した学習プラットフォーム。現役の施工管理技士や建設業界の専門家が監修した正確で実践的な情報を提供しています。