目次
令和8年度の電気工事施工管理技士試験を検討している方へ。
「1級と2級の違いは何?」「どちらを先に取得すべき?」「2級を飛ばして1級を受験できる?」という疑問をお持ちではありませんか?
この記事では、1級と2級電気工事施工管理技士の違いを、試験内容、難易度、受験資格、仕事内容、年収など、あらゆる観点から徹底比較します。
この記事でわかること
- 1級と2級の受験資格・試験制度の違い
- 難易度・合格率の比較
- 担当できる工事規模の違い
- 年収・キャリアパスの違い
- どちらを先に取得すべきかの判断基準
1級と2級の基本的な違い
資格の位置づけ
電気工事施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格です。1級と2級では、担当できる工事の規模や役割が異なります。
担当できる工事規模の違い
1級電気工事施工管理技士
- 規模の制限なし
- 大型商業施設、高層ビル、プラント設備などの大規模電気工事を担当可能
- 元請として4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の下請契約を結ぶ工事で必要な監理技術者になれる
2級電気工事施工管理技士
- 一般建設業の主任技術者として活動
- 中小規模の電気工事を担当
- 下請金額4,500万円未満の工事が対象
具体的な工事例
| 工事規模 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 大規模商業施設の新築電気工事(10億円規模) | ◎ | × |
| オフィスビルの受変電設備工事(3億円規模) | ◎ | △(元請以外) |
| 工場の動力設備増設工事(1億円規模) | ◎ | ◎ |
| マンションの電気設備工事(5,000万円規模) | ◎ | ◎ |
| 店舗の照明設備工事(2,000万円規模) | ◎ | ◎ |
受験資格の違い【令和8年度版】
第一次検定の受験資格
令和6年度の制度改正により、第一次検定の受験資格が大幅に緩和されました。
| 級 | 受験資格 |
|---|---|
| 1級 | 19歳以上(受験年度末時点) |
| 2級 | 17歳以上(受験年度末時点) |
重要な変更点
- 従来は学歴・実務経験が必要でしたが、第一次検定は年齢のみで受験可能
- 2級第一次検定は高校2年生から受験可能
第二次検定の受験資格
第二次検定は、従来通り実務経験が必要です。
1級第二次検定の受験資格
| 区分 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 1級第一次検定合格後 | 5年以上 |
| 1級第一次検定合格+2級第二次検定合格後 | 3年以上 |
| 2級第二次検定合格後(2級技士補含む) | 5年以上 |
2級第二次検定の受験資格
| 学歴 | 指定学科卒業 | 指定学科以外卒業 |
|---|---|---|
| 大学・専門学校(高度専門士) | 1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
| 短大・高専・専門学校(専門士) | 2年以上 | 3年以上 |
| 高校・中等教育学校・専門学校 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
| その他 | 8年以上 | 8年以上 |
2級を飛ばして1級を受験できる?
第一次検定は可能です。
令和6年度からの制度改正により、19歳以上であれば1級第一次検定を受験できます。つまり、2級を取得せずに1級第一次検定に合格し、「1級技士補」になることは可能です。
ただし、1級第二次検定には実務経験が必要なため、多くの場合は以下のルートが現実的です。
推奨ルート1:2級から段階的に取得
- 2級第一次検定に合格(17歳以上)
- 実務経験を積んで2級第二次検定に合格
- 実務経験3年以上で1級第二次検定に挑戦
推奨ルート2:1級に直接挑戦
- 1級第一次検定に合格(19歳以上)
- 実務経験5年以上で1級第二次検定に合格
試験内容の違い
第一次検定の比較
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 午前2時間30分+午後2時間 | 2時間30分 |
| 問題数 | 92問(60問選択解答) | 62問(40問選択解答) |
| 合格基準 | 60%以上 | 60%以上 |
| 出題範囲 | 幅広い+高度な内容 | 基礎的な内容 |
1級特有の出題分野
- 高圧・特別高圧の電気設備(変電所、送電設備)
- 大規模施設の電気設備計画
- 電力系統の保護協調
- 高度な施工管理技術
第二次検定の比較
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 3時間 | 2時間 |
| 問題数 | 6問 | 5問 |
| 合格基準 | 60%以上 | 60%以上 |
| 記述の深さ | より詳細な記述が求められる | 基本的な記述力 |
記述問題の違い
- 1級:経験記述の字数が多く、技術的な深さが求められる
- 2級:基本的な課題と対策の記述ができればOK
難易度・合格率の比較
第一次検定の合格率推移
| 年度 | 1級合格率 | 2級合格率 |
|---|---|---|
| 令和6年度(2024年) | 39.5% | 47.4% |
| 令和5年度(2023年) | 40.6% | 54.3% |
| 令和4年度(2022年) | 38.3% | 56.1% |
| 令和3年度(2021年) | 53.3% | 60.0% |
| 令和2年度(2020年) | 38.1% | 57.3% |
分析
- 1級は合格率約35〜55%で推移(平均約40%)
- 2級は合格率約50〜60%で推移(平均約55%)
- 1級の方が約15ポイント低い
第二次検定の合格率推移
| 年度 | 1級合格率 | 2級合格率 |
|---|---|---|
| 令和6年度(2024年) | 53.0% | 51.4% |
| 令和5年度(2023年) | 53.1% | 64.6% |
| 令和4年度(2022年) | 62.0% | 62.0% |
| 令和3年度(2021年) | 58.8% | 60.0% |
| 令和2年度(2020年) | 66.3% | 62.2% |
分析
- 第二次検定は1級・2級ともに合格率50〜65%で大差なし
- 1級は第一次検定で絞り込まれるため、第二次検定の合格率は比較的高い
最終合格率(両検定突破)
| 級 | 推定最終合格率 |
|---|---|
| 1級電気工事施工管理技士 | 約20〜25% |
| 2級電気工事施工管理技士 | 約25〜35% |
1級の方が難易度は高いですが、差は圧倒的ではありません。
難易度の要因分析
1級が難しい理由
- 出題範囲が広い:高圧・特別高圧設備、大規模施設の内容を含む
- 問題数が多い:1日で92問(2級は62問)
- 求められる知識の深さ:より専門的・実践的な知識が必要
- 記述量が多い:経験記述の字数・内容ともに高度
2級が比較的取り組みやすい理由
- 基礎的な内容中心:電気工事の基本知識で対応可能
- 選択問題が多い:苦手分野を回避しやすい
- 試験時間に余裕:2時間30分で40問選択
必要な勉強時間の違い
目安の学習時間
| 級 | 第一次検定 | 第二次検定 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1級(電気工事経験者) | 150〜200時間 | 80〜100時間 | 230〜300時間 |
| 1級(他分野経験者) | 200〜300時間 | 100〜150時間 | 300〜450時間 |
| 2級(電気工事経験者) | 100〜150時間 | 50〜80時間 | 150〜230時間 |
| 2級(電気初学者) | 150〜200時間 | 80〜100時間 | 230〜300時間 |
ポイント
- 1級は2級の約1.5倍の学習時間が目安
- 電気の基礎知識があると学習効率が大幅に向上
仕事内容・役割の違い
現場での役割
1級電気工事施工管理技士の役割
- 大規模現場の監理技術者として施工管理全体を統括
- 元請会社として下請業者を管理・指導
- 発注者との折衝、設計変更への対応
- 複数現場の技術的な総括
2級電気工事施工管理技士の役割
- 中小規模現場の主任技術者として施工管理を担当
- 担当工区の施工計画、安全管理、品質管理
- 職人への技術指導
- 工程管理、材料管理
具体的な業務の違い
年収・待遇の違い
平均年収の比較
| 資格 | 年収目安 | 資格手当(月額) |
|---|---|---|
| 1級電気工事施工管理技士 | 550〜800万円 | 15,000〜30,000円 |
| 2級電気工事施工管理技士 | 450〜600万円 | 5,000〜15,000円 |
| 資格なし(電気工事経験者) | 350〜500万円 | なし |
ポイント
- 1級取得で年収100〜200万円アップの可能性
- 資格手当は会社により大きく異なる
- 監理技術者として現場を統括すると更に高収入
転職市場での評価
| 評価項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 求人数 | 非常に多い | 多い |
| 転職時の年収アップ | 期待できる | ある程度期待できる |
| 大手ゼネコンへの転職 | 有利 | やや有利 |
| 独立・起業 | 有利(監理技術者として) | 可能(一般建設業) |
キャリアパスの違い
1級取得後のキャリア
1級電気工事施工管理技士取得
↓
監理技術者として大規模現場を担当
↓
現場所長・工事部長
↓
技術部門の責任者
↓
役員・経営者
1級の強み
- 大規模プロジェクトのマネジメント経験
- 発注者、設計事務所との折衝経験
- 特定建設業の専任技術者として独立可能
2級取得後のキャリア
2級電気工事施工管理技士取得
↓
主任技術者として現場経験を積む
↓
1級取得を目指す
↓
監理技術者としてキャリアアップ
2級の位置づけ
- 施工管理のキャリアのスタートライン
- 実務経験を積みながら1級を目指す足がかり
- 中小企業では2級でも十分に活躍可能
どちらを先に取得すべきか?
2級から取得すべき人
以下に当てはまる場合は2級からの取得がおすすめ
-
電気工事の実務経験が3年未満
- 実務経験を積みながら学習できる
- 基礎から体系的に学べる
-
電気の基礎知識に不安がある
- 2級の学習で基礎を固められる
- 1級の学習がスムーズになる
-
確実に資格を取得したい
- 2級は合格率が高く、取得しやすい
- 成功体験がモチベーションになる
-
現在の仕事で主任技術者が必要
- 2級でも主任技術者になれる
- 早く資格を取得して活かしたい
1級に直接挑戦すべき人
以下に当てはまる場合は1級から受験も選択肢
-
電気工事の実務経験が5年以上
- 第二次検定の受験資格を満たしている
- 実務知識があるため学習効率が高い
-
電気工事士(第一種)を取得済み
- 電気の基礎知識がある
- 高圧設備の知識もある程度ある
-
大規模工事の経験がある
- 1級の出題内容に馴染みがある
- 経験記述のネタが豊富
-
キャリアアップを急いでいる
- 監理技術者の資格が早急に必要
- 転職・独立を視野に入れている
最も効率的なルート
一般的に最も効率的なのは「2級→1級」の段階的取得です。
理由
- 2級の学習が1級の基礎になる:知識の積み重ねで効率的
- 学習習慣が身につく:試験勉強のコツを掴める
- 2級第二次検定合格で実務経験が3年に短縮:1級取得が早まる
- 早い段階で資格を取得できる:キャリアに活かせる
電気工事士との関係
電気工事士と施工管理技士の違い
| 資格 | 役割 | 試験内容 |
|---|---|---|
| 電気工事士 | 電気工事の施工 | 筆記+実技 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気工事の管理 | 筆記+記述(実技なし) |
両方取得するメリット
電気工事士と施工管理技士の両方を取得することで、以下のメリットがあります。
- 現場での信頼度アップ:施工も管理もできる
- 学習の相乗効果:共通する知識が多い
- キャリアの幅が広がる:職人としても管理者としても活躍可能
おすすめの取得順序
第二種電気工事士 → 2級電気工事施工管理技士 → 第一種電気工事士 → 1級電気工事施工管理技士
令和8年度の試験日程(予定)
2級電気工事施工管理技士
| 検定 | 試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 第一次検定(前期) | 令和8年6月上旬 | 令和8年7月上旬 |
| 第一次検定・第二次検定(後期) | 令和8年11月中旬 | 令和9年1月中旬 |
1級電気工事施工管理技士
| 検定 | 試験日 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 第一次検定 | 令和8年6月上旬 | 令和8年7月中旬 |
| 第二次検定 | 令和8年10月中旬 | 令和8年12月下旬 |
FAQ|1級と2級の違いについてよくある質問
Q1:2級に合格してから1級を受験するまでに何年かかりますか?
A:2級第二次検定合格後、最短3年の実務経験で1級第二次検定を受験できます。1級第一次検定は19歳以上なら受験可能です。
Q2:1級と2級を同時に受験できますか?
A:試験日程が重なっていなければ、同時期に受験することは可能です。ただし、学習負担が大きくなるため、どちらかに集中することをおすすめします。
Q3:2級を取得せずに1級に合格する人はどれくらいいますか?
A:正確な統計はありませんが、実務経験が豊富な方や他の施工管理技士資格を持っている方は、2級を飛ばして1級に合格するケースもあります。ただし、少数派です。
Q4:年収アップを目指すなら、どちらを優先すべきですか?
A:最終的には1級を目指すべきですが、まずは2級を取得して「有資格者」になることで、転職市場での評価が上がり、年収アップにつながります。
Q5:電気工事の経験がなくても受験できますか?
A:第一次検定は年齢条件のみで受験可能です。ただし、第二次検定は実務経験が必要なため、電気工事の仕事に就いてから受験することになります。
まとめ:目標に合わせて選択しよう
1級と2級電気工事施工管理技士の違いをまとめると以下の通りです。
| 比較項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 難易度 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
| 合格率 | 約20〜25%(最終) | 約25〜35%(最終) |
| 担当工事規模 | 制限なし | 一般建設業まで |
| 年収目安 | 550〜800万円 | 450〜600万円 |
| 監理技術者 | ◎ | × |
| おすすめ対象 | 大規模工事を担当したい人 | 施工管理のキャリアをスタートしたい人 |
結論
- 確実にキャリアを積みたいなら:まず2級を取得し、経験を積んで1級へ
- すでに実務経験が豊富なら:1級に直接挑戦も選択肢
- 最終目標は1級:電気工事施工管理のキャリアを極めるなら1級取得を目指す
令和8年度の試験に向けて、自分に合ったルートで合格を目指しましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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