目次
建設業界でキャリアアップを目指すなら、施工管理技士の資格取得は避けて通れません。
しかし、「施工管理技士って何?」「7種類もあるけど、どれを取ればいいの?」と迷う方も多いはずです。
施工管理技士は、建設工事の品質・工程・安全・原価を管理する国家資格です。 全7種類あり、それぞれ専門分野が異なります。
この記事では、施工管理技士の基本から、7種類すべての特徴、受験資格、試験内容、合格率、年収、キャリアパスまでを一つの記事で網羅的に解説します。
この記事でわかること
- 施工管理技士とは何か、なぜ必要なのか
- 7種類の施工管理技士の特徴と違い
- 1級と2級の違い、技士補制度の概要
- 各資格の受験資格と試験内容
- 合格率と難易度の比較
- 年収の実態とキャリアパス
- 自分に合った資格の選び方
施工管理技士とは
施工管理技士は、建設業法第27条に基づく国家資格です。建設現場における施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理を担う技術者として位置づけられています。
なぜ施工管理技士が必要なのか
建設業法では、一定規模以上の工事を請け負う場合、現場に主任技術者または監理技術者の配置が義務付けられています。この要件を満たすのが施工管理技士の資格です。
具体的には以下の場面で資格が必要です。
- 公共工事の入札参加:経営事項審査で1級は5点、2級は2点の加点
- 現場への技術者配置:元請・下請を問わず工事現場に配置が必須
- 建設業許可の要件:営業所ごとに専任技術者を配置する必要あり
建設業界の人手不足と資格者の需要
国土交通省の推計では、2030年には建設技能者が約90万人不足するとされています。特に施工管理技士の有資格者は慢性的に足りておらず、求人倍率は5倍を超える売り手市場が続いています。
資格を取得すれば、転職市場での価値が大きく上がります。建設業界の人手不足と需要の詳しいデータは「データで見る施工管理技士の価値」で紹介しています。
1級と2級の違い
施工管理技士には、すべての種類に1級と2級があります。
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 配置できる技術者 | 監理技術者・主任技術者 | 主任技術者 |
| 管理できる工事規模 | 制限なし | 4,500万円未満(建築は7,000万円未満) |
| 経営事項審査の加点 | 5点 | 2点 |
| 受験資格 | 19歳以上(第一次検定) | 17歳以上(第一次検定) |
| 難易度 | 高い | 中程度 |
1級と2級の違いをさらに詳しく知りたい方は「1級と2級施工管理技士の違いを全種類比較」をご覧ください。
技士補制度とは
2021年の建設業法改正により、施工管理技士補の制度が創設されました。第一次検定に合格した時点で「技士補」の資格が付与されます。
技士補のメリットは以下の通りです。
- 合格は一生有効(第二次検定は何度でも挑戦可能)
- 1級技士補は監理技術者の補佐として配置可能
- 企業の経営事項審査でも加点対象
技士補制度の詳細は「施工管理技士補とは?制度の概要・メリット・取得方法」で解説しています。
施工管理技士 全7種類の一覧
施工管理技士は以下の7種類に分かれています。
| 資格名 | 対象工事 | 1級合格率(第一次) | 平均年収 |
|---|---|---|---|
| 建築施工管理技士 | 建築工事全般 | 約48% | 500〜700万円 |
| 土木施工管理技士 | 土木工事全般 | 約43% | 450〜650万円 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気設備工事 | 約40% | 480〜680万円 |
| 管工事施工管理技士 | 空調・給排水設備 | 約39% | 450〜650万円 |
| 電気通信工事施工管理技士 | 通信設備工事 | 約45% | 450〜650万円 |
| 造園施工管理技士 | 造園工事 | 約35% | 400〜550万円 |
| 建設機械施工管理技士 | 建設機械を使う工事 | 約25% | 450〜600万円 |
7種類の詳しい比較は「施工管理技士の種類一覧」で確認できます。
1. 建築施工管理技士
マンション、オフィスビル、商業施設など建築物全般の施工管理を担当します。施工管理技士の中で最も受験者数が多く、建設業界で幅広く活躍できる資格です。
- 1級の合格率:第一次検定 約48%、第二次検定 約39%
- 年収目安:1級で600〜700万円、大手ゼネコンなら1,000万円超も
- こんな方におすすめ:ゼネコン、ハウスメーカー、内装会社で働く方
1級と2級の違いは「1級と2級建築施工管理技士の完全比較」、難易度の詳細は「1級建築施工管理技士の難易度と合格率」で解説しています。年収については「1級建築施工管理技士の年収」もご覧ください。
2. 土木施工管理技士
道路、橋梁、トンネル、河川、上下水道など土木工事全般の施工管理を行います。公共工事の比率が高いのが特徴です。
- 1級の合格率:第一次検定 約43%、第二次検定 約39%
- 年収目安:1級で500〜650万円
- こんな方におすすめ:道路・河川工事の現場、公共事業に携わる方
難易度の詳細は「1級土木施工管理技士の難易度と合格率」、受験資格は「1級土木施工管理技士の受験資格」で確認できます。建築施工管理技士との比較は「建築と土木の比較」をご覧ください。
3. 電気工事施工管理技士
電気設備工事の施工管理を担当します。高圧受電設備、幹線工事、照明設備など、電気に関するあらゆる工事が対象です。
- 1級の合格率:第一次検定 約40%、第二次検定 約50%
- 年収目安:1級で550〜700万円
- こんな方におすすめ:電気工事会社、設備工事会社で働く方
電気工事士との違いは「電気工事士と電気工事施工管理技士の違い」、1級と2級の比較は「1級と2級電気工事施工管理技士の違い」で解説しています。年収の詳細は「1級電気工事施工管理技士の年収」をご覧ください。
4. 管工事施工管理技士
空調設備、給排水衛生設備、ガス配管など管工事全般の施工管理を行います。建築物の快適性に直結する重要な分野です。
- 1級の合格率:第一次検定 約39%、第二次検定 約66%
- 年収目安:1級で500〜650万円
- こんな方におすすめ:空調・衛生設備会社、ビルメンテナンス会社で働く方
1級と2級の違いは「1級と2級管工事施工管理技士の違い」、難易度は「1級管工事施工管理技士の難易度」で解説しています。
5. 電気通信工事施工管理技士
光ファイバー、LAN配線、5G基地局、放送設備など通信設備工事の施工管理を行います。2019年に新設された比較的新しい資格で、デジタルインフラ需要の拡大に伴い注目を集めています。
- 1級の合格率:第一次検定 約45%、第二次検定 約30%
- 年収目安:1級で500〜650万円
- こんな方におすすめ:通信工事会社、IT・ネットワーク関連企業で働く方
1級と2級の違いは「1級と2級電気通信工事施工管理技士の違い」、難易度は「1級電気通信工事施工管理技士の難易度」で解説しています。
6. 造園施工管理技士
公園、庭園、緑地、屋上緑化など造園工事全般の施工管理を行います。受験者数は少ないですが、公共緑化事業やまちづくりで需要があります。
- 1級の合格率:第一次検定 約35%、第二次検定 約35%
- 年収目安:1級で400〜550万円
- こんな方におすすめ:造園会社、公園管理会社、外構工事会社で働く方
7. 建設機械施工管理技士
ブルドーザー、油圧ショベル、クレーンなど建設機械を使った工事の施工管理を行います。第一次検定に加えて実技試験があるのが特徴です。
- 1級の合格率:第一次検定 約25%、第二次検定(実技)約60%
- 年収目安:1級で450〜600万円
- こんな方におすすめ:大規模造成工事、道路建設に携わる方
合格率と難易度の比較
7種類の施工管理技士の難易度をランキングで比較します。
| 順位 | 資格名 | 必要勉強時間(目安) | 合格の難しさ |
|---|---|---|---|
| 1位 | 1級建設機械施工管理技士 | 500〜700時間 | 実技試験あり |
| 2位 | 1級建築施工管理技士 | 300〜500時間 | 出題範囲が広い |
| 3位 | 1級土木施工管理技士 | 300〜500時間 | 経験記述が厳しい |
| 4位 | 1級管工事施工管理技士 | 300〜400時間 | 専門性が高い |
| 5位 | 1級電気通信工事施工管理技士 | 250〜400時間 | 技術進歩が速い |
| 6位 | 1級電気工事施工管理技士 | 250〜400時間 | 第二次合格率が高い |
| 7位 | 1級造園施工管理技士 | 200〜300時間 | 受験者数が少ない |
より詳しい難易度比較は「施工管理技士の難易度ランキング」で、年収比較は「施工管理技士の年収比較」で確認できます。
受験資格(令和6年度からの新制度)
令和6年度の制度改正により、受験資格が大幅に緩和されました。
第一次検定の受験資格
| 級 | 受験資格 |
|---|---|
| 1級 | 19歳以上であれば誰でも受験可能 |
| 2級 | 17歳以上であれば誰でも受験可能 |
学歴や実務経験が不要になったのが大きな変更点です。
第二次検定の受験資格
第二次検定は実務経験が必要です。主なルートは以下の通りです。
1級の場合:
- 1級第一次検定合格 + 実務経験5年以上
- 1級第一次検定合格 + 特定実務経験1年 + 実務経験3年以上
- 2級第二次検定合格 + 実務経験5年以上
2級の場合:
- 2級第一次検定合格 + 実務経験3年以上(ただし令和10年度まで経過措置あり)
各資格の受験資格の詳細は以下の記事をご覧ください。
試験内容と対策のポイント
第一次検定(学科試験)
全種類共通で、四肢択一のマークシート方式です。合格基準は得点率60%以上。
主な出題分野は以下の通りです。
- 建設工学等の専門知識
- 施工管理法(品質・工程・安全・原価)
- 法規(建設業法、労働安全衛生法など)
第一次検定の対策法は各資格の記事で解説しています。
第二次検定(実地試験)
記述式を中心とした試験です。最大の特徴は経験記述で、自身が携わった工事の施工管理経験を具体的に記述する必要があります。
配点の約40%を占める経験記述は、品質管理・工程管理・安全管理のいずれかのテーマで出題されます。
経験記述の書き方は以下の記事で詳しく解説しています。
年収とキャリアパス
年収の実態
施工管理技士の年収は、資格の級・種類・企業規模によって大きく異なります。
| 区分 | 年収目安 |
|---|---|
| 2級取得(中小企業) | 350〜500万円 |
| 1級取得(中堅企業) | 500〜700万円 |
| 1級取得(大手ゼネコン) | 700〜1,000万円以上 |
| ダブルライセンス | +50〜100万円 |
年収の詳しいデータは「施工管理技士の年収比較」で紹介しています。
キャリアパスの選択肢
施工管理技士を取得すると、以下のようなキャリアパスが開けます。
- 社内昇進 — 現場所長、工事部長への昇進
- 転職によるキャリアアップ — より条件の良い企業へ
- 独立・フリーランス — 個人事業主として活躍
- ダブルライセンス — 複数の資格で市場価値を高める
- 発注者側への転職 — 不動産デベロッパー、公務員など
キャリアパスの詳細は「施工管理技士のキャリアパス7つの選択肢」、独立については「施工管理技士で独立・フリーランス」をご覧ください。
ダブルライセンスの組み合わせは「ダブルライセンスで年収100万円アップ」で紹介しています。
将来性
施工管理技士の将来性は非常に高いと言えます。その理由は以下の通りです。
- 建設技能者の高齢化と若手不足
- インフラ老朽化による更新工事の増加
- 大阪万博後も続く大型プロジェクト
- AI時代でも代替されにくい現場判断業務
将来性の詳細は「施工管理技士の将来性」で解説しています。
自分に合った資格の選び方
現在の仕事内容から選ぶ
- 建築会社・ハウスメーカー → 建築施工管理技士
- 道路・河川工事の会社 → 土木施工管理技士
- 電気工事会社 → 電気工事施工管理技士
- 空調・設備会社 → 管工事施工管理技士
- 通信工事会社 → 電気通信工事施工管理技士
未経験から目指す場合
建設業界が未経験の方には、以下の順番がおすすめです。
- まず2級を取得して基礎を固める
- 実務経験を積みながら1級を目指す
- 余裕があれば関連資格のダブルライセンスも検討
資格の取得順番は「施工管理技士を取得する順番のおすすめ」、おすすめ資格は「施工管理技士おすすめランキング」で紹介しています。
未経験からの取得ロードマップは「未経験から施工管理技士を取得するには」をご覧ください。
関連する電気系資格
施工管理技士とあわせて取得を検討される方が多い電気系資格も紹介します。
- 第二種電気工事士の難易度 — 入門資格として人気
- 第一種電気工事士の難易度 — 高圧工事を扱える上位資格
- 給水装置工事主任技術者の受験資格 — 上下水道分野の資格
まとめ
施工管理技士は建設業界で必須の国家資格です。7種類それぞれに専門分野があり、自分の仕事内容やキャリア目標に合った資格を選ぶことが重要です。
令和6年度の制度改正により、第一次検定は年齢要件のみで受験可能になりました。資格取得のハードルは下がっています。
まずは自分の分野に合った2級から取得し、実務経験を積みながら1級を目指すのが王道のルートです。
施工管理技士の勉強法について知りたい方は「施工管理技士の勉強法 完全ガイド」を、試験制度と難易度の全体像は「施工管理技士の試験制度・難易度まとめ」をご覧ください。
監修・執筆
sekocan 編集部
施工管理技士の資格取得支援に特化した学習プラットフォーム。現役の施工管理技士や建設業界の専門家が監修した正確で実践的な情報を提供しています。