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令和8年度の1級管工事施工管理技士 第二次検定で、経験記述に不安を感じている方へ。
「1級は2級と比べて何が違うの?」「より高度な記述が求められると聞いて不安」という声をよく聞きます。
1級管工事施工管理技士の経験記述では、より大規模な工事、複雑な施工管理、高度な技術的判断について、具体的な数値と専門知識を交えて記述することが求められます。
この記事では、令和8年度の新形式に対応した経験記述の例文を3テーマ別に多数紹介し、1級合格を勝ち取るための書き方のコツを解説します。
この記事でわかること
- 1級と2級の経験記述の違い
- 品質管理・工程管理・安全管理の各テーマ別例文
- 1級で求められる高度な記述のポイント
- よくある減点ポイントと対策
1級と2級の経験記述の違い
求められるレベルの違い
1級管工事施工管理技士の経験記述では、2級よりも高度な内容が求められます。
| 項目 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 工事規模 | 大規模・複雑な工事 | 中小規模の工事 |
| 技術的深度 | 高度な技術的判断を含む | 基本的な施工管理 |
| 数値の具体性 | より詳細な数値・根拠 | 基本的な数値 |
| 管理範囲 | 工事全体の統括管理 | 担当範囲の管理 |
| 関係者調整 | 多くの関係者との高度な調整 | 基本的な調整 |
1級で高評価される記述の特徴
1級の経験記述で高評価を得るためには、以下の要素を含めることが重要です。
- 工事全体を俯瞰した管理:担当工事だけでなく、プロジェクト全体への影響を考慮
- 技術的根拠の明示:なぜその対策を選んだのか、技術的な根拠を記述
- 定量的な評価:対策の効果を数値で明確に示す
- PDCAサイクル:計画→実行→確認→改善のサイクルを意識した記述
品質管理の例文集【1級レベル】
例文1:大規模ビルの冷温水配管システム
工事概要:RC造地上15階建て複合商業施設、冷温水配管延長5,000m、工期18ヶ月
課題の背景
地上15階建ての大規模複合商業施設における冷温水配管システムの構築において、配管延長が5,000mに及び、系統数も20系統を超える複雑なシステムであった。長距離配管における温度損失と、多数の分岐点での流量バランスの確保が品質管理上の重要課題であった。
検討内容
冷温水配管システムの品質確保について、以下の技術的検討を行った。
- 配管系統ごとの圧力損失計算と流量バランス
- 保温仕様の決定と温度損失の許容範囲
- 自動バルブによる流量制御の導入
- 試運転調整時の流量・温度測定方法
実施した対策
配管設計段階で、各系統の圧力損失計算を詳細に行い、最遠端での差圧が0.05MPa以上確保できるよう主管径を選定した。各空調機接続部には自動流量調整弁(PICV)を設置し、設計流量の±5%以内で自動調整できる仕様とした。保温材は40mm厚のポリスチレンフォームを採用し、計算上の温度損失を1度/100m以内に抑制した。フランジ部やバルブ部は着脱式保温カバーで隙間なく被覆した。
施工品質の確認として、配管完了後に水圧試験(1.5MPa、24時間保持)を全系統で実施し、圧力低下がないことを確認した。試運転時には超音波流量計を用いて各系統の流量を測定し、設計流量との差異を±3%以内に調整した。
得られた結果
20系統全てで設計流量との差異を±3%以内に調整し、末端空調機での冷温水温度も設計値(冷水7度、温水45度)との差異を±1度以内に確保した。竣工後1年間の運用において、流量不足や温度異常による空調能力不足は発生せず、テナントからのクレームもゼロであった。
例文2:病院のクリーンルーム空調
工事概要:RC造地上8階建て総合病院、手術室・ICU空調設備、クラス10,000対応
課題の背景
総合病院の手術室およびICUにおいて、クリーンルームクラス10,000(0.5μm以上の粒子が10,000個/立方フィート以下)を達成する空調システムの構築が求められた。清浄度の確保は患者の感染リスクに直結するため、空気清浄度と陽圧維持の品質管理が極めて重要であった。
検討内容
クリーンルーム空調の品質確保について、以下の技術的検討を行った。
- HEPAフィルター(0.3μm粒子を99.97%以上捕集)の選定と配置
- 室内気流パターンと換気回数の設計
- 室間差圧の設定と維持方法
- ダクト工事の気密性確保
実施した対策
手術室の給気にはHEPAフィルター(捕集効率99.99%)を採用し、天井全面を層流式吹出しとした。換気回数は35回/時以上を確保し、室内の空気がフィルターを通過する回数を増やすことで清浄度を維持した。
室間差圧は手術室が廊下に対して+15Paとなるよう、排気量を給気量より少なく設定し、差圧計で常時監視できるシステムを構築した。ダクト工事では、全継目にシール材を塗布し、気密試験で漏れ量がダクト表面積あたり0.005m3/(m2・分)以下であることを確認した。
竣工前には、パーティクルカウンターを用いて清浄度測定を実施し、クラス10,000の基準を満たすことを確認した。また、フィルターリークテストをDOP法(ジオクチルフタレート法)で実施し、フィルター取付け部からの漏れがないことを確認した。
得られた結果
清浄度測定の結果、全ての手術室・ICUでクラス10,000(0.5μm以上の粒子が8,500個/立方フィート以下)を達成した。室間差圧も設計値+15Pa±2Paの範囲で安定維持され、開業後の定期測定においても基準を継続して満たしている。
例文3:地域冷暖房システムの配管工事
工事概要:地域冷暖房プラント、冷温水配管(管径500A)延長2,000m、熱供給能力50,000kW
課題の背景
地域冷暖房システムの冷温水配管工事において、管径500Aの大口径配管を2,000mにわたって敷設する必要があった。大口径配管の溶接品質と、長距離配管での熱膨張対策が品質管理上の重要課題であった。配管内の冷温水は7度から60度の温度変動があり、配管の伸縮量は計算上最大400mmに達するため、適切な伸縮対策が不可欠であった。
検討内容
大口径配管の品質確保について、以下の技術的検討を行った。
- 溶接施工要領書の作成と溶接士の資格確認
- 非破壊検査(RT検査)の実施範囲と判定基準
- 伸縮継手の種類と配置間隔
- 固定点とガイドの設計
実施した対策
溶接工はJIS Z 3801の溶接技能者資格(B-2F、B-2V)保有者のみとし、溶接施工要領書(WPS)に基づく施工を徹底した。全溶接部に対し、外観検査に加えて放射線透過試験(RT検査)を実施し、JIS B 8285の2類以上の合格基準を適用した。不合格箇所は切除・再溶接を行い、再検査で合格を確認した。
伸縮対策として、ベローズ型伸縮継手(許容伸縮量±100mm)を100m間隔で設置した。配管の固定点はコンクリート架台にUボルト固定とし、ガイドは配管の水平方向の移動を拘束しつつ、軸方向の伸縮を許容する構造とした。
水圧試験は設計圧力の1.5倍(2.25MPa)で24時間保持し、圧力低下がないことを確認した。
得られた結果
RT検査の合格率は98.5%であり、不合格箇所の補修後に全数合格を確認した。水圧試験でも圧力低下はなく、完全な気密性を確保した。運用開始後の温度変化による伸縮も、伸縮継手で問題なく吸収され、配管システムとして設計通りの性能を発揮している。
工程管理の例文集【1級レベル】
例文1:データセンターの設備工事
工事概要:S造2階建てデータセンター、空調・電気・給排水設備一式、工期12ヶ月
課題の背景
データセンター新築工事において、空調設備・電気設備・給排水設備を並行して施工する必要があり、各設備間の工程調整が複雑であった。特に、サーバールームの精密空調設備は、電気設備(分電盤、UPS)の施工完了を前提とするため、両者の工程を適切に連携させることが工程管理上の重要課題であった。
検討内容
複数設備の工程調整について、以下の検討を行った。
実施した対策
工程管理にはネットワーク工程表(PERT図)を作成し、クリティカルパスを明確化した。分析の結果、「電気設備(UPS設置)→精密空調機設置→試運転調整」がクリティカルパスであることを特定し、この工程に遅延が発生しないよう重点管理した。
週1回の工程会議を設計・建築・電気・空調の4者で開催し、向こう4週間の作業予定を詳細に調整した。工程表はクラウド上で共有し、リアルタイムで進捗を更新できる体制を構築した。
精密空調機(重量3トン/台、計20台)の搬入は、鉄骨建方完了直後の2週間に集中させ、その後の屋根・外壁工事の前に全台搬入を完了した。UPS設置は空調機搬入と並行して実施し、待ち時間を最小化した。
得られた結果
ネットワーク工程表による管理と週次工程会議の実施により、クリティカルパス上の遅延はゼロであった。試運転調整期間として計画通り2ヶ月を確保し、データセンターとして必要な99.999%の稼働率を保証できる設備を引き渡すことができた。
例文2:ホテルの設備改修(営業継続工事)
工事概要:RC造地上20階建てホテル、空調設備全面改修、営業継続しながらの施工、工期24ヶ月
課題の背景
客室360室を有するホテルの空調設備全面改修工事において、営業を継続しながら2年間で全館を改修する必要があった。客室の稼働率を維持しながら改修を進めるため、フロアごとの改修スケジュールと客室の閉鎖期間を最小化することが工程管理上の重要課題であった。
検討内容
営業継続改修の工程計画について、以下の検討を行った。
- フロアごとの改修順序とローテーション
- 客室閉鎖期間の最小化
- 仮設空調の設置と運用
- 騒音・振動対策と作業時間制限
実施した対策
改修は3フロアを1ユニットとし、計7ユニットに分割して順次施工する計画とした。1ユニットあたりの工期は約12週間とし、常時3ユニット(9フロア)が改修中となる状態を維持した。これにより、改修中の客室閉鎖を全体の45%(162室)に抑え、残り55%(198室)で営業を継続できる計画とした。
改修中フロアには仮設パッケージエアコンを設置し、共用部(廊下、ロビー)の空調を維持した。騒音を伴う作業(はつり、コア抜き)は午前10時から午後4時に限定し、チェックアウト後・チェックイン前の時間帯に集中させた。
ホテル側とは週2回の定例会議を実施し、改修対象フロアの稼働率予測に基づいて工程を調整した。繁忙期(年末年始、GW)は改修作業を一時中断し、客室稼働率を最大化した。
得られた結果
2年間の改修期間中、ホテル側が設定した客室稼働率目標(平均60%以上)を全期間で達成した。騒音・振動に関する宿泊客からのクレームは計5件に抑えられ、いずれも軽微な内容であった。計画通り24ヶ月で全館の空調設備改修を完了した。
安全管理の例文集【1級レベル】
例文1:高層ビルの機械室工事
工事概要:RC造地上30階建てオフィスビル、屋上機械室の空調設備工事
課題の背景
地上30階建てオフィスビルの屋上機械室における空調設備工事において、高さ120mでの作業となり、強風時の作業中止基準の設定と、資材の飛散・落下防止対策が安全管理上の重要課題であった。また、揚重作業も高所での作業となるため、クレーン作業の安全確保も課題であった。
検討内容
高所作業の安全対策について、以下の検討を行った。
- 強風時の作業中止基準と気象監視体制
- 資材・工具の飛散・落下防止対策
- 揚重作業の安全計画
- 緊急時の避難経路と連絡体制
実施した対策
作業中止基準として、平均風速10m/s以上または瞬間風速15m/s以上の場合は全ての屋外作業を中止とした。屋上には風速計を設置し、リアルタイムで監視できる体制を構築した。毎朝の気象情報確認に加え、急な天候変化にも対応できるよう、2時間ごとに天気予報を確認した。
資材・工具の落下防止として、全ての工具にストラップを取り付け、作業員の腰ベルトに接続した。仮置きする資材はロープで固定し、作業終了時には屋内に撤収することを徹底した。屋上周囲には高さ1.8mの仮設防護壁を設置し、資材の飛散を防止した。
揚重作業は50トンタワークレーンを使用し、玉掛け作業は有資格者(玉掛け技能講習修了者)が行った。吊り荷の下には立入禁止区域を設定し、誘導員を配置した。風速8m/s以上ではクレーン作業を中止とし、より厳しい基準を適用した。
得られた結果
工事期間中、強風による作業中止は計15日間発生したが、資材の飛散・落下事故は発生しなかった。揚重作業も全て安全に完了し、高所作業に起因する労働災害はゼロであった。
例文2:プラント配管工事(有害物質取扱い)
工事概要:化学工場の冷却水配管工事、既設配管の撤去を含む、PCB含有塗料の除去作業あり
課題の背景
化学工場の冷却水配管改修工事において、既設配管の塗装にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含有されていることが判明した。PCBは人体への有害性が高く、法令で厳格な取扱いが定められているため、作業員の健康保護と適正処理が安全管理上の重要課題であった。
検討内容
PCB含有塗料の除去について、以下の検討を行った。
- PCB特別措置法に基づく届出と作業計画
- 作業員の保護具と健康管理
- 作業区域の隔離と飛散防止
- PCB廃棄物の保管と処理
実施した対策
工事着手前に、都道府県知事へPCB廃棄物の発生届を提出し、作業計画書を作成して労働基準監督署に届け出た。作業は特定化学物質作業主任者の指揮のもと実施した。
作業員には、送気マスク(エアラインマスク)、化学防護服(タイベックスーツ)、化学防護手袋を着用させた。作業区域はポリエチレンシートで完全に隔離し、負圧に維持して粉じんの飛散を防止した。作業区域の出入り口にはエアシャワーを設置し、防護服に付着した粉じんを除去してから退出させた。
除去した塗装片はドラム缶に密封し、PCB廃棄物として登録された保管場所に一時保管した。最終処分はPCB処理施設(JESCO)に委託し、マニフェストで適正処理を確認した。
作業員には、作業開始前と終了後に特殊健康診断(血中PCB濃度測定)を実施し、健康影響がないことを確認した。
得られた結果
PCB含有塗料の除去作業を法令に基づき適正に実施し、作業員の血中PCB濃度に異常は認められなかった。PCB廃棄物も全量を適正に処理し、化学工場の配管改修工事を安全に完了した。
1級経験記述で高得点を取るコツ
1. 技術的根拠を明確にする
1級では、対策を選んだ技術的根拠を記述することが重要です。
悪い例:
保温材を厚くした
良い例:
保温材は計算上の温度損失を1度/100m以内に抑制するため、40mm厚のポリスチレンフォーム(熱伝導率0.028W/m・K)を採用した
2. 定量的な結果を示す
対策の効果を数値で明確に示しましょう。
悪い例:
流量調整を行い、品質を確保した
良い例:
20系統全てで設計流量との差異を±3%以内に調整し、末端空調機での冷温水温度も設計値との差異を±1度以内に確保した
3. PDCAサイクルを意識する
計画→実行→確認→改善のサイクルを記述に含めましょう。
- Plan(計画):技術的検討、施工計画の立案
- Do(実行):具体的な対策の実施
- Check(確認):試験・測定による効果確認
- Act(改善):不具合時の是正、次工程への反映
4. 関係者との調整を記述する
1級では、多くの関係者との調整能力も評価されます。
- 「設計者と協議し、仕様変更を決定した」
- 「建築・電気・空調の4者で週次工程会議を実施した」
- 「ホテル側と客室稼働率を調整しながら工程を計画した」
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1級管工事施工管理技士の第二次検定対策に、以下の記事もご活用ください。
- 1級管工事施工管理技士 第二次検定の攻略法 - 経験記述以外の対策も含めた完全ガイドです
- 1級管工事施工管理技士に独学で合格する方法 - 独学での学習プランを紹介しています
- 1級管工事施工管理技士の過去問活用法 - 出題パターンの分析に役立ちます
まとめ
令和8年度の1級管工事施工管理技士 第二次検定では、2級よりも高度な経験記述が求められます。
1級経験記述のポイント
- 大規模・複雑な工事を題材に選ぶ
- 技術的根拠を明確に記述する
- 定量的な数値で結果を示す
- PDCAサイクルを意識した記述構成
- 関係者との調整を含める
品質管理、工程管理、安全管理の3テーマについて、それぞれ複数パターンの記述案を用意しておきましょう。
この記事で紹介した例文を参考に、ご自身の経験を1級レベルの記述にブラッシュアップしてください。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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