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令和8年度の2級管工事施工管理技士 第二次検定で、安全管理テーマの経験記述に不安を感じている方へ。
「安全管理って管工事だと具体的にどう書けばいいの?」「品質管理や工程管理との違いがわからない」という声をよく聞きます。
管工事における安全管理の経験記述では、高所作業時の墜落防止、酸素欠乏症の防止、重量物取扱い時の事故防止、火気使用時の火災防止について、具体的な対策と数値を交えて記述することが求められます。
この記事では、令和8年度の新形式に対応した安全管理の例文を複数パターン紹介し、高得点を狙うための書き方のコツを解説します。
この記事でわかること
- 安全管理テーマで求められる記述内容
- 状況別の経験記述例文(高所作業、酸欠防止、重量物など)
- 安全管理と品質管理・工程管理の違い
- 高得点を取るための記述テクニック
安全管理の経験記述で求められること
管工事における安全管理とは
管工事における安全管理とは、工事に従事する作業員の安全と健康を守るために、危険源を特定し、適切な安全対策を実施する管理活動のことです。
管工事特有の安全管理項目として、以下の内容が挙げられます。
| 危険要因 | 具体的なリスク |
|---|---|
| 高所作業 | 天井内配管、ダクト吊り込み時の墜落 |
| 酸素欠乏 | ピット、マンホール内作業での酸欠 |
| 重量物 | 機器搬入、配管吊り込み時の挟まれ・落下 |
| 火気使用 | ろう付け、溶接作業時の火災・やけど |
| 感電 | 電動工具使用時、既設設備近傍での作業 |
| 有害物質 | 保温材撤去時のアスベスト飛散 |
品質管理・工程管理との違い
| 項目 | 安全管理 | 品質管理 | 工程管理 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 労働災害を防止する | 所定の品質を確保する | 工期内に完成させる |
| 着目点 | 危険源、保護具、安全設備 | 材料、施工精度、検査 | 日数、人員、作業順序 |
| 数値例 | 安全帯使用、酸素濃度18%以上 | 0.75MPa、勾配1/100 | 5日短縮、2班体制 |
| キーワード | 墜落防止、酸欠防止、KY活動 | 気密試験、水圧試験 | 遅延防止、並行作業 |
第二次検定での出題パターン
令和8年度の第二次検定では、提示された工事概要に対して安全管理上の課題と対策を記述します。
安全管理では、以下のような視点が求められます。
- 危険要因の特定:どのような作業で、どのような危険があるか
- 対策の検討:危険を排除・軽減するための具体的な方法
- 結果の確認:対策により安全が確保されたことの確認
安全管理の例文集【状況別】
例文1:天井内配管作業(墜落防止)
想定される工事概要:RC造5階建て事務所ビル、空調配管工事、天井高さ3.5m
課題の背景
天井内での冷温水配管作業において、作業床となる脚立の上や天井下地上での作業が発生する。高さ2m以上の作業であり、墜落による重大災害のリスクがあるため、墜落防止対策が安全管理上の重要課題であった。
検討内容
天井内配管作業の墜落防止について、以下の点を検討した。
- 作業床の確保方法
- 墜落防止措置の種類と選定
- 作業手順と安全教育
実施した対策
高さ2m以上の作業箇所には、幅40cm以上の足場板を設置し、安定した作業床を確保した。作業員全員にフルハーネス型墜落制止用器具を着用させ、天井スラブに設置した親綱にランヤードを接続した。脚立使用時は、天板に乗らないことを徹底し、アウトリガー付きの安定した脚立を使用した。作業開始前には毎日KY(危険予知)活動を実施し、当日の作業内容に応じた危険ポイントを全員で確認した。
得られた結果
これらの対策により、天井内配管作業において墜落・転落災害は発生せず、無災害で工事を完了することができた。フルハーネス型墜落制止用器具の着用率は100%を維持した。
例文2:ピット内作業(酸素欠乏防止)
想定される工事概要:RC造3階建て事務所ビル、地下ピット内排水配管工事
課題の背景
地下ピット内での排水配管作業において、換気が不十分な閉鎖空間での作業となるため、酸素欠乏症のリスクがある。酸素欠乏は短時間で意識喪失・死亡に至る重大災害につながるため、酸欠防止対策が安全管理上の重要課題であった。
検討内容
ピット内作業の酸欠防止について、以下の点を検討した。
- 作業前の酸素濃度測定方法
- 換気方法と換気量
- 緊急時の救出体制
実施した対策
作業開始前に酸素濃度計で酸素濃度を測定し、18%以上であることを確認した。測定は作業開始前、休憩後の再開時、および1時間ごとに実施した。送風機(風量15m3/分以上)を設置し、ピット内の換気を継続して行った。ピット入口には監視員を常時配置し、作業員との連絡体制を確保した。また、空気呼吸器と救出用のロープを入口付近に備え、緊急時の救出訓練を事前に実施した。
得られた結果
酸素濃度測定と換気の徹底により、作業期間中の酸素濃度は常に20%以上を維持し、酸素欠乏症の発生はなかった。無災害で排水配管工事を完了することができた。
例文3:機器搬入作業(重量物取扱い)
想定される工事概要:S造2階建て工場、空調機器設置工事、パッケージエアコン室内機(重量200kg)8台
課題の背景
空調室内機(重量200kg/台)の搬入・据付作業において、重量物の取扱いによる挟まれ・落下事故のリスクがある。特に、天井吊り型機器の吊り上げ作業では、玉掛け作業の不備による落下事故が懸念されたため、重量物の安全な取扱いが安全管理上の重要課題であった。
検討内容
重量物取扱いの安全対策について、以下の点を検討した。
- 搬入・吊り上げ方法の選定
- 玉掛け作業の安全確保
- 作業員の配置と合図
実施した対策
室内機の搬入には電動リフトを使用し、人力での持ち上げを禁止した。吊り上げ作業には、機器重量の1.5倍以上の吊り能力を持つチェーンブロック(能力500kg)を使用した。玉掛けは有資格者(玉掛け技能講習修了者)が行い、4点吊りでバランスを確保した。吊り上げ中は機器の下に作業員が入らないよう立入禁止区域を設定し、吊り荷監視員を配置した。合図は専任の合図者が行い、笛と手信号で明確に伝達した。
得られた結果
玉掛け作業の安全対策と立入禁止区域の設定により、8台全ての室内機を安全に搬入・据付することができた。挟まれ・落下事故は発生せず、無災害で作業を完了した。
例文4:ろう付け作業(火災防止)
想定される工事概要:RC造4階建て病院、冷媒配管工事、銅管ろう付け
課題の背景
冷媒銅管のろう付け作業において、トーチによる火気を使用するため、周辺の可燃物への引火や作業員のやけどのリスクがある。特に、改修工事では既存の断熱材や内装材が近接しており、火災防止対策が安全管理上の重要課題であった。
検討内容
ろう付け作業の火災防止について、以下の点を検討した。
実施した対策
ろう付け作業箇所の周囲1m以内の可燃物を撤去し、撤去できない場合は不燃シート(耐熱温度1000度以上)で養生した。作業箇所には消火器(ABC粉末10型)を2本配置し、作業員全員が消火器の使用方法を確認した。作業員には革手袋と防火エプロンを着用させ、やけど防止を徹底した。作業終了後は30分間の火気監視を行い、残火がないことを確認した。火気使用許可書を発行し、作業場所・時間・責任者を明確にした。
得られた結果
火気養生と消火設備の準備、火気監視の徹底により、ろう付け作業による火災・やけど事故は発生しなかった。延べ50箇所以上のろう付け作業を無災害で完了した。
例文5:電動工具使用(感電防止)
想定される工事概要:RC造5階建て共同住宅、給排水配管工事、電動工具多数使用
課題の背景
給排水配管工事において、ハンドドリル、電動カッター、ねじ切り機など多数の電動工具を使用する。水回りの作業環境で電動工具を使用するため、感電事故のリスクが高く、感電防止対策が安全管理上の重要課題であった。
検討内容
電動工具使用時の感電防止について、以下の点を検討した。
- 電動工具の点検・管理方法
- 漏電対策の実施
- 作業環境の整備
実施した対策
全ての電動工具に対し、使用前点検(電源コードの損傷、アース線の接続確認)を実施し、点検記録を残した。分電盤には漏電遮断器(感度電流30mA、動作時間0.1秒以内)を設置し、漏電時に即座に電源が遮断される状態とした。濡れた手で電動工具を操作しないことを徹底し、作業場所の水たまりは速やかに除去した。電源コードは通路から離して配置し、踏みつけや巻き込みによる損傷を防止した。
得られた結果
電動工具の点検徹底と漏電遮断器の設置により、感電事故は発生しなかった。工事期間中、漏電遮断器が作動した事例もなく、電気設備の安全管理が適切に行われた。
例文6:改修工事(アスベスト対策)
想定される工事概要:RC造6階建てオフィスビル、空調設備改修工事、既設保温材撤去を含む
課題の背景
築30年以上のオフィスビルの空調設備改修工事において、既設配管・ダクトの保温材にアスベストが含有されている可能性があった。アスベストの飛散は作業員の健康障害につながるため、アスベスト対策が安全管理上の重要課題であった。
検討内容
アスベスト含有保温材の撤去について、以下の点を検討した。
- アスベスト含有の有無の確認方法
- 含有が確認された場合の撤去方法
- 作業員の健康管理
実施した対策
工事着手前に既設保温材のサンプルを採取し、専門機関でアスベスト分析を実施した。分析の結果、一部の保温材からクリソタイル(アスベストの一種)が検出されたため、石綿障害予防規則に基づく措置を講じた。撤去作業はアスベスト作業主任者の指揮のもと、隔離養生を行った区域内で実施した。作業員は電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)と防護服を着用し、撤去した保温材は特別管理産業廃棄物として処理した。
得られた結果
アスベスト含有保温材の撤去作業を法令に基づき適切に実施し、粉じん濃度測定でも基準値以下を確認した。作業員の健康診断でも異常は認められず、安全に改修工事を完了した。
安全管理の記述で高得点を取るコツ
1. 具体的な安全対策を数値で示す
安全管理では、対策の具体性が重要です。
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 換気を行った | 風量15m3/分以上の送風機で換気した |
| 酸素濃度を確認した | 酸素濃度18%以上を確認した |
| 消火器を配置した | ABC粉末10型消火器を2本配置した |
| 安全帯を使用した | フルハーネス型墜落制止用器具を着用した |
2. 法令・規則に基づく対策を記述する
安全管理では、関連法令を意識した対策が評価されます。
3. 危険源と対策の因果関係を明確にする
「どのような危険があるか」→「どう対策したか」→「結果どうなったか」を明確にします。
テンプレート:
〇〇という作業において、△△による災害リスクがあった。そのため、□□という対策を実施した。その結果、災害を発生させることなく工事を完了した。
4. 安全管理特有のキーワードを使う
安全管理でよく使うキーワードを適切に使用しましょう。
- KY活動(危険予知活動):作業前に危険を予測し、対策を確認する活動
- フルハーネス型墜落制止用器具:胴ベルト型より安全な墜落防止器具
- 酸素欠乏危険作業主任者:酸欠危険場所での作業を指揮する有資格者
- 玉掛け技能講習修了者:吊り荷作業の有資格者
- 特別管理産業廃棄物:アスベストなど特別な管理が必要な廃棄物
よくある減点ポイントと対策
減点1:品質管理・工程管理との混同
NG例:「水圧試験を実施して品質を確保した」(品質管理の内容)
対策:安全管理は「労働災害の防止」に関する内容のみを記述する
減点2:対策の具体性不足
NG例:「安全対策を徹底した」
対策:何を、どのように対策したかを具体的に記述する(フルハーネス着用、酸素濃度測定など)
減点3:数値が曖昧
NG例:「十分な換気を行った」
対策:「風量15m3/分以上の送風機で換気した」など具体的な数値を入れる
減点4:結果の記述がない
NG例:対策の記述で終わり、結果がない
対策:「無災害で工事を完了した」「災害は発生しなかった」など結果を明記する
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まとめ
令和8年度の2級管工事施工管理技士 第二次検定では、管工事特有の安全管理について具体的に記述することが求められます。
安全管理テーマで高得点を取るためのポイントをまとめます。
記述のポイント
- 危険要因(墜落、酸欠、重量物、火気など)を明確に特定する
- 具体的な安全対策を数値で示す(酸素濃度18%以上、風量15m3/分以上など)
- 法令・規則に基づく対策(フルハーネス、酸欠主任者など)を記述する
- 対策の実施により災害が発生しなかった結果を明記する
安全管理は品質管理・工程管理と混同しやすいテーマですが、「労働災害の防止」「危険源の特定と対策」に着目すれば区別できます。
この記事で紹介した例文を参考に、自分なりのパターンを複数用意しておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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