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令和8年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定で、安全管理テーマの経験記述対策は万全ですか?
「安全管理って具体的にどんな内容を書けばいいの?」「墜落災害や感電災害の対策をどう書けばいい?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
1級電気工事施工管理技士の安全管理では、大規模電気設備工事における労働災害防止のための具体的な取り組みを、法令に基づいた対策とともに記述することが求められます。
この記事では、令和6年度からの新形式に対応した安全管理の例文を複数パターン紹介し、高得点を狙うための書き方のコツを解説します。
この記事でわかること
- 電気工事における安全管理の基本概念
- 1級特有の大規模工事での安全管理ポイント
- 災害種別の経験記述例文(墜落、感電、飛来落下など)
- 新形式での解答作成の手順
- よくある減点ポイントと対策
電気工事における安全管理とは
安全管理の定義
電気工事における安全管理とは、工事現場での労働災害を防止するために、作業環境の整備、安全教育、作業手順の管理などを行うことです。
1級電気工事施工管理技士として求められる安全管理は、2級よりも高度な内容となります。
| 項目 | 2級レベル | 1級レベル |
|---|---|---|
| 対象工事規模 | 小〜中規模工事 | 大規模工事(4,000万円以上) |
| 管理範囲 | 担当作業の安全管理 | 工事全体の安全管理体制構築 |
| 法令対応 | 基本的な労働安全衛生法 | 統括安全衛生責任者、元方事業者としての義務 |
| 協力会社管理 | 限定的 | 下請業者を含めた安全管理体制 |
電気工事の主な労働災害
電気工事では、以下の労働災害が発生しやすいとされています。
| 災害種別 | 発生状況 | 危険度 |
|---|---|---|
| 墜落・転落災害 | 高所作業(天井内、電柱、鉄塔) | 最高 |
| 感電災害 | 充電部への接触、活線作業 | 最高 |
| 飛来・落下災害 | 材料・工具の落下 | 高 |
| 挟まれ・巻き込まれ | 機器据付作業、ケーブルドラム | 中 |
| 転倒災害 | 床面の段差、ケーブル、濡れた床 | 中 |
令和6年度からの新形式
第二次検定の安全管理では、以下のような形式で出題されます。
出題例
- 「墜落災害または飛来落下災害」について、予測した事項とその理由、対策を記述
- 与えられた施工条件下での安全管理上の課題と対策を記述
1級特有の大規模工事での安全管理ポイント
大規模電気工事の特徴
1級電気工事施工管理技士が担当する大規模工事(ビル、工場、プラント)では、以下のような安全管理上の課題があります。
| 工事規模 | 安全管理上の課題 |
|---|---|
| 大規模ビル | 複数階での同時作業、多数の作業員管理 |
| 工場 | 運用中設備との接触、活線近接作業 |
| プラント | 特殊環境(防爆区域、高温区域)での作業 |
| 改修工事 | 既存設備の活線状態での作業 |
1級ならではの安全管理視点
1. 安全管理体制の構築
- 安全衛生管理計画の作成
- 統括安全衛生責任者としての責務
- 協議組織(安全衛生協議会)の設置・運営
2. 協力会社の安全管理
- 下請業者への安全教育の実施
- 作業手順書の確認・承認
- 安全パトロールの実施
3. 法令に基づく安全措置
- 労働安全衛生法の遵守
- 電気設備技術基準の遵守
- 作業主任者の選任・配置
安全管理の経験記述例文【災害種別】
例文1:墜落災害の防止(天井内作業)
想定される施工条件:大規模オフィスビルの電気設備工事、天井高4.5m、システム天井内での配線作業
予測した事項
天井高4.5mのオフィスフロアにおいて、システム天井内でのケーブルラック敷設および配線作業を行う際、脚立や可搬式作業台からの墜落災害が発生する危険性を予測した。
その理由
システム天井内での作業は、天井パネルを外して作業を行うため、足元が不安定になりやすい。また、天井内は暗く狭い空間であり、姿勢を崩しやすい。脚立や作業台の不適切な使用や、作業員の注意力低下により、墜落災害が発生するおそれがあった。
実施した対策
墜落災害を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、作業床高さが2m以上となる箇所には、幅40cm以上の作業床と高さ85cm以上の手すり、中桟を備えた移動式足場を使用し、脚立の単独使用を禁止した。第二に、天井開口部の周囲には「開口部あり」の表示と、高さ90cm以上の手すりを設置し、墜落防止措置を講じた。第三に、作業員全員に墜落制止用器具(フルハーネス型)を着用させ、天井スラブに設置したアンカーに安全帯を接続して作業を行った。作業開始前のKY活動で、当日の作業箇所と墜落リスクを確認し、安全意識の向上を図った。
得られた結果
これらの対策により、6ヶ月間の工事期間中、墜落・転落災害の発生はゼロであった。安全パトロールでも指摘事項なく、無災害で工事を完了できた。
例文2:墜落災害の防止(屋外高所作業)
想定される施工条件:工場敷地内の高圧配電線路工事、電柱高さ12m、活線近接作業あり
予測した事項
工場敷地内の高圧配電線路(6.6kV)の新設工事において、高さ12mの電柱上での腕金取付および高圧ケーブル敷設作業を行う際、電柱からの墜落災害が発生する危険性を予測した。
その理由
電柱上での作業は、片手で柱を保持しながらもう片方の手で工具を使用するため、バランスを崩しやすい。また、既設の高圧充電部(6.6kV)に近接した作業となり、感電による二次的な墜落災害のおそれもあった。電柱上での作業は常に墜落リスクが伴い、死亡災害につながる可能性が高いことが理由である。
実施した対策
墜落災害を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、電柱上で作業する全作業員に、昇柱用安全帯(胴ベルト型)と墜落制止用器具(フルハーネス型)の両方を着用させ、電柱への昇降時は昇柱用安全帯、作業時はフルハーネスを使用する二重の安全措置を講じた。第二に、高圧充電部から1.2m以内に接近する作業については、電力会社との協議により停電作業とし、活線近接作業を回避した。やむを得ず活線近接作業を行う場合は、絶縁用防護具(高圧絶縁カバー)を充電部に取り付けた。第三に、作業指揮者を地上に配置し、作業員の安全確認と昇降時の監視を行った。強風(10m/s以上)時および雨天時は電柱上作業を中止するルールを設定し、朝礼で周知した。
得られた結果
これらの対策により、3ヶ月間の電柱作業期間中、墜落災害および感電災害の発生はゼロであった。電力会社の安全パトロールでも高評価を得て、無災害で工事を完了できた。
例文3:感電災害の防止(既設設備改修)
想定される施工条件:運用中の商業施設における分電盤増設工事、活線作業を含む
予測した事項
運用中の商業施設において、既設分電盤への回路増設作業を行う際、活線状態の分電盤内での結線作業において、充電部への接触による感電災害が発生する危険性を予測した。
その理由
商業施設の営業を継続しながらの工事であり、全館停電が困難なため、分電盤の一部は活線状態で作業を行う必要があった。分電盤内は狭く、主幹ブレーカーや銅バーなどの充電部が露出しているため、作業中に充電部に接触するおそれがあった。低圧(200V/100V)であっても感電は重大災害につながる可能性があることが理由である。
実施した対策
感電災害を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、作業範囲を限定し、作業対象外の充電部には絶縁シートを被覆して、不意の接触を防止した。第二に、活線作業に従事する作業員には、低圧用絶縁手袋(耐電圧600V以上)および絶縁長靴を着用させた。第三に、電気取扱者特別教育を修了した作業員のみを活線作業に従事させ、未教育者は近接禁止とした。第四に、活線作業開始前に検電器で充電状態を確認し、作業指揮者が立会いの下で作業を行った。万一の感電に備え、AED(自動体外式除細動器)を作業現場に配置し、使用方法を全作業員に周知した。
得られた結果
これらの対策により、分電盤増設工事(15面)を感電災害ゼロで完了した。活線作業時間を必要最小限に抑え、作業員の被曝リスクを低減しながら、計画通りの工程で工事を完了できた。
例文4:飛来落下災害の防止(高所同時作業)
想定される施工条件:高層ビル建設工事、上下階で同時に電気工事を実施
予測した事項
高層ビル(地上20階建て)の新築工事において、上層階と下層階で同時に電気工事を実施する際、上層階からの材料・工具の落下による飛来落下災害が発生する危険性を予測した。
その理由
工期短縮のため、複数フロアで同時に配線作業を実施する計画であった。上層階の床貫通部からケーブルを敷設する際、工具や端材が下層階に落下するおそれがあった。また、階段室やエレベーターシャフト部では、上下方向に開口部が連続しており、落下物が複数階を通過して加速する危険性があった。
実施した対策
飛来落下災害を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、上下作業の時間帯を調整し、同一垂直線上での同時作業を原則禁止とした。やむを得ず上下作業を行う場合は、下層階の作業員を一時退避させた。第二に、床貫通部には落下防止ネット(網目10mm以下)を設置し、小さな端材や金具の落下を防止した。第三に、作業員全員に工具落下防止用のストラップを支給し、高所作業時には必ず工具を体に固定させた。第四に、作業エリアの直下には「上部作業中・立入禁止」の看板とカラーコーンを設置し、関係者以外の立入を禁止した。毎朝のKY活動で、当日の上下作業箇所を確認し、全作業員に周知した。
得られた結果
これらの対策により、18ヶ月間の工事期間中、飛来落下災害の発生はゼロであった。他業種との調整により上下作業の競合を最小化し、安全な作業環境を維持できた。
例文5:挟まれ災害の防止(重量物据付)
想定される施工条件:データセンターの電気設備工事、大型UPS(重量3トン)の据付作業
予測した事項
データセンターの電気設備工事において、大型UPS設備(重量約3トン)の搬入・据付作業を行う際、機器の転倒や落下による挟まれ・巻き込まれ災害が発生する危険性を予測した。
その理由
UPS設備は重量約3トンの大型機器であり、フォークリフトおよびローラーを使用して搬入・据付を行う。搬入経路には段差があり、機器の転倒や落下のおそれがあった。また、機器の位置決め時に手足を挟まれる危険性があった。重量物による挟まれ災害は、致死率が高い重篤な災害につながることが理由である。
実施した対策
挟まれ災害を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、搬入作業には玉掛け技能講習修了者およびフォークリフト運転技能講習修了者を配置し、有資格者のみが作業に従事した。第二に、搬入経路の段差にはスロープ板を設置し、搬入前に経路の安全確認を実施した。第三に、機器の吊り上げ・移動時には、機器の周囲1m以内への立入を禁止し、作業指揮者の合図に基づいて作業を行った。第四に、据付時の位置微調整には、バールやローラーを使用し、手足を機器の下に入れることを禁止した。作業手順書を事前に作成し、全作業員に危険ポイントを周知した。
得られた結果
これらの対策により、UPS設備4台の搬入・据付作業を挟まれ災害ゼロで完了した。作業指揮者による適切な指示と、作業員の安全意識により、無災害で重量物据付を完了できた。
安全管理の記述で高得点を取るコツ
1. 1級ならではの視点を入れる
1級電気工事施工管理技士の経験記述では、統括安全衛生責任者としての視点が求められます。
| 2級的な記述 | 1級的な記述 |
|---|---|
| 安全帯を着用した | 墜落制止用器具(フルハーネス型)の着用を義務化し、使用状況を安全パトロールで確認した |
| 保護具を使用した | 低圧用絶縁手袋(耐電圧600V以上)を支給し、着用を作業手順書に明記した |
| 注意して作業した | KY活動で危険ポイントを抽出し、リスクアセスメントに基づく対策を実施した |
2. 法令に基づく対策を記述する
安全管理では、法令に基づいた対策を記述することが重要です。
| 災害種別 | 関連法令 | 具体的な措置 |
|---|---|---|
| 墜落災害 | 安衛則518条〜521条 | 作業床の設置、墜落制止用器具の使用 |
| 感電災害 | 安衛則329条〜354条 | 絶縁用保護具の使用、活線作業の制限 |
| 飛来落下 | 安衛則536条〜539条 | 防護設備の設置、保護帽の着用 |
3. 具体的な数値・基準を入れる
安全管理では、具体的な数値や基準を示すことで説得力が増します。
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 高さ | 高所作業 | 作業床高さ2m以上の作業 |
| 距離 | 充電部から離れて | 充電部から1.2m以上の離隔 |
| 資格 | 有資格者 | 電気取扱者特別教育修了者 |
4. 安全管理用語を正しく使う
安全管理でよく使う用語を正確に使いましょう。
- 墜落制止用器具:フルハーネス型または胴ベルト型の安全帯(令和4年以降の正式名称)
- KY活動:危険予知活動
- リスクアセスメント:危険性・有害性の特定と対策の検討
- 作業指揮者:作業の指揮監督を行う者
- 特別教育:危険有害業務に従事する者への教育
安全管理体制の構築(1級特有の内容)
安全衛生管理組織
1級電気工事施工管理技士は、大規模工事における安全衛生管理組織の構築が求められます。
| 役職 | 選任要件 | 職務 |
|---|---|---|
| 統括安全衛生責任者 | 特定元方事業者 | 協議組織の設置・運営、作業間連絡調整 |
| 元方安全衛生管理者 | 統括安全衛生責任者を選任した場合 | 統括安全衛生責任者の補佐 |
| 安全衛生責任者 | 下請事業者 | 統括安全衛生責任者との連絡 |
安全衛生協議会の運営
大規模工事では、安全衛生協議会を定期的に開催し、関係者間の情報共有と調整を行います。
協議会の議題例
- 工程の進捗と今後の作業計画
- 危険作業(高所作業、活線作業)の予定と対策
- 災害・事故事例の共有と水平展開
- 安全パトロールの結果報告
まとめ
令和8年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定でも、安全管理テーマは重要な出題分野です。
安全管理テーマで高得点を取るためのポイント
-
災害の種類を正確に把握する
- 墜落・転落、感電、飛来落下、挟まれなど
-
1級ならではの視点で記述する
- 安全管理体制の構築、協力会社の安全管理、法令遵守など
-
具体的な数値・基準を入れる
- 高さ、離隔距離、耐電圧、資格要件など
-
法令に基づく対策を記述する
- 労働安全衛生法、安全衛生規則の具体的な条文
-
因果関係を明確にする
- 予測した事項→その理由→対策→結果の論理的な流れ
この記事で紹介した例文を参考に、様々な災害種別に対応できる引き出しを増やしておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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