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令和8年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定で、工程管理テーマの経験記述対策は万全ですか?
「工程管理って具体的にどんな内容を書けばいいの?」「大規模工事での工程管理のポイントは?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
1級電気工事施工管理技士の工程管理では、大規模電気設備工事における工期遵守のための具体的な取り組みを、数値やデータを交えて記述することが求められます。
この記事では、令和6年度からの新形式に対応した工程管理の例文を複数パターン紹介し、高得点を狙うための書き方のコツを解説します。
この記事でわかること
- 電気工事における工程管理の基本概念
- 1級特有の大規模工事での工程管理ポイント
- 施工条件別の経験記述例文
- ネットワーク工程表の活用方法
- 新形式での解答作成の手順
電気工事における工程管理とは
工程管理の定義
電気工事における工程管理とは、所定の工期内に、所定の品質・コストで工事を完成させるために、作業の進捗を計画・管理することです。
1級電気工事施工管理技士として求められる工程管理は、2級よりも高度な内容となります。
| 項目 | 2級レベル | 1級レベル |
|---|---|---|
| 対象工事規模 | 小〜中規模工事 | 大規模工事(4,000万円以上) |
| 管理範囲 | 担当工事の進捗管理 | 工事全体の総合工程管理 |
| 関連工事調整 | 限定的 | 建築・機械設備との総合調整 |
| 工程表の種類 | バーチャート中心 | ネットワーク工程表も活用 |
電気工事の工程管理項目
第二次検定では、以下の視点から記述することが求められます。
| 視点 | 具体例 |
|---|---|
| 工程計画の立案 | マスター工程表、月間工程表、週間工程表の作成 |
| 進捗管理 | 出来高管理、作業員の配置調整、資材の手配 |
| 工程短縮 | クリティカルパスの短縮、作業の並行化、山崩し |
| 関連工事調整 | 建築工事、機械設備工事との工程調整 |
令和6年度からの新形式
令和6年度から経験記述の形式が変更され、令和8年度も新形式が継続されると予想されます。
新形式の特徴
- 試験で与えられた施工条件に基づいて解答
- 「運用中施設で制約を受ける電気工事」「狭い空間で機器据付を行う電気工事」などの条件が提示される
- 条件を読み取り、工程管理上の課題と対策を記述
具体的には以下のような流れで出題されます。
- 施工条件が提示される
- その条件下での工程管理上の問題を予想
- 問題が発生する理由を記述
- 具体的な対策を記述
1級特有の大規模工事での工程管理ポイント
大規模電気工事の特徴
1級電気工事施工管理技士が担当する大規模工事(ビル、工場、プラント)では、以下のような工程管理上の課題があります。
| 工事規模 | 工程管理上の課題 |
|---|---|
| 大規模ビル | 複数フロアの同時進行、建築工事との輻輳 |
| 工場 | 生産活動との調整、停電作業の制約 |
| プラント | 長期工事の進捗管理、試運転調整期間の確保 |
| 改修工事 | 運用中施設での制約、夜間・休日作業 |
1級ならではの工程管理視点
1. 総合工程管理
- マスター工程表の作成と管理
- クリティカルパスの把握と管理
- マイルストーンの設定
2. 関連工事との調整
- 建築工事(躯体、内装)との工程調整
- 機械設備工事(空調、給排水)との調整
- 工程会議での調整と合意形成
3. リソース管理
- 作業員の適正配置
- 資材・機材の手配時期
- 協力会社の作業量調整
工程管理の経験記述例文【条件別】
例文1:運用中施設で制約を受ける電気工事
想定される施工条件:運用中の商業施設における受変電設備の更新工事、営業時間中の作業制限あり
予想される問題
運用中の商業施設での受変電設備更新工事において、営業時間中(10:00〜21:00)の停電作業が制限されることから、限られた夜間作業時間(22:00〜翌6:00)での工程確保が問題となることが予想された。
問題が発生する理由
商業施設の営業を継続しながら受変電設備を更新するため、停電を伴う作業は閉店後の夜間に限定される。1日あたりの作業可能時間が8時間と限られるため、通常工程の約2倍の工事期間が必要となり、工期遵守が困難になることが理由である。
実施した対策
夜間作業を効率的に進めるため、以下の対策を実施した。第一に、事前準備作業(材料搬入、仮設配線の敷設)を昼間の非停電作業として実施し、夜間作業は停電を伴う本設工事に集中させた。第二に、作業班を2班編成(各班5名)とし、キュービクル内作業と幹線敷設作業を並行して実施する体制を構築した。第三に、毎日の作業終了時に翌日の作業内容と必要資材を確認する「前日確認ミーティング」を実施し、作業開始時のロスタイムを削減した。ネットワーク工程表でクリティカルパス(キュービクル据付→高圧ケーブル接続→継電器試験)を明確にし、この作業に優先的にリソースを配置した。
得られた結果
これらの対策により、当初計画の45日間で工事を完了することができた。夜間作業の実働率を85%以上に維持し、工期内に全ての更新作業と試験を完了した。
例文2:狭い空間で機器据付を行う電気工事
想定される施工条件:地下機械室での非常用発電設備据付工事、搬入経路が制限される条件
予想される問題
地下機械室への非常用発電設備(500kVA)の据付工事において、搬入経路が狭い階段(幅1,200mm)に限られることから、大型機器の分割搬入と組立に時間を要し、工程遅延が問題となることが予想された。
問題が発生する理由
非常用発電設備は通常、一体物として搬入・据付を行うが、搬入経路の制約により本体(エンジン・発電機)と付属設備(制御盤・燃料タンク)を分割搬入する必要がある。現地での組立・調整作業が追加されるため、通常の据付工程(7日間)に対し、約2倍の期間(14日間)が必要となることが理由である。
実施した対策
工程遅延を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、発電設備メーカーと事前協議を行い、分割可能な最大サイズと搬入順序を決定した。搬入計画図を作成し、各部材の搬入日を明確化した。第二に、搬入作業と組立作業を並行して実施するため、機械室内を「搬入エリア」と「組立エリア」に区分し、作業の輻輳を防止した。第三に、組立作業に習熟した専門作業員(メーカー技術者2名)を常駐させ、現地調整時間を短縮した。週間工程表を毎週更新し、進捗状況を発注者に報告して、遅延の兆候を早期に把握する体制を構築した。
得られた結果
これらの対策により、当初計画通り14日間で据付・調整を完了した。搬入から試運転までの全工程を予定通り完了し、建物の竣工工程に影響を与えることなく発電設備を納入できた。
例文3:関連工事と輻輳する電気工事
想定される施工条件:大規模オフィスビル新築工事、建築・機械設備工事と同時進行
予想される問題
大規模オフィスビル(地上15階建て)の新築工事において、建築工事(内装仕上げ)および機械設備工事(空調ダクト・配管)と電気工事が同一フロアで輻輳することから、作業スペースの競合と待ち工程の発生が問題となることが予想された。
問題が発生する理由
天井内に敷設する電気配線・ケーブルラックと、空調ダクト・給排水配管は同一空間を使用するため、施工順序の調整が不可欠である。調整が不十分な場合、後工程の電気工事で配線ルートの変更や手戻りが発生し、工程遅延につながることが理由である。
実施した対策
関連工事との輻輳を管理するため、以下の対策を実施した。第一に、毎週月曜日に「総合工程会議」を開催し、建築・機械・電気の3者で当週の作業エリアと作業内容を確認した。第二に、フロアごとの施工順序を「ケーブルラック→空調ダクト→配管→配線→内装」と統一し、全関係者に周知した。第三に、3次元CADで天井内の干渉チェックを実施し、設計段階で配線ルートと機器配置を確定させた。第四に、工程に2週間のバッファー(予備日)を設け、想定外の調整作業に対応できる余裕を確保した。マスター工程表に各フロアの着工・完了予定を明記し、進捗状況を週次で更新・共有した。
得られた結果
これらの対策により、手戻り作業を発生させることなく、全15フロアの電気工事を計画通りに完了した。関連工事との調整により当初計画の6ヶ月間で竣工し、建物引渡しに支障をきたさなかった。
例文4:資材納期の遅延リスクがある電気工事
想定される施工条件:データセンター新設工事、特注品の分電盤・UPS設備を使用
予想される問題
データセンター新設工事において、特注仕様の分電盤(50面)およびUPS設備(500kVA×2台)を使用することから、これら特注品の製作期間が長期化し、現場への納入遅延が工程上の問題となることが予想された。
問題が発生する理由
特注仕様の分電盤は標準品と異なり製作期間が3〜4ヶ月、UPS設備は受注生産のため製作期間が5〜6ヶ月を要する。これらがクリティカルパス上にあるため、納入遅延は直接的に竣工工程に影響することが理由である。
実施した対策
資材納期遅延による工程遅延を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、着工前に分電盤・UPSメーカーとの調整会議を実施し、仕様確定から納入までの詳細スケジュールを作成した。発注から納入まで、2週間ごとに製作進捗を確認する体制を構築した。第二に、分電盤の納入を5回に分割し、製作完了品から順次現場搬入・据付を行う「分割納入方式」を採用した。第三に、UPS設備は据付スペースの先行確保と、仮設電源による先行試験を計画し、本設電源接続を最終工程とすることで、納入遅延の影響を最小化した。週間工程表にメーカー製作工程も含めて管理し、遅延の兆候を早期に検知できるようにした。
得られた結果
これらの対策により、分電盤は計画通り5回に分けて納入され、据付工程に影響を与えなかった。UPS設備も予定通り納入され、試運転調整を含めて計画工程内で完了した。
例文5:天候リスクがある屋外電気工事
想定される施工条件:太陽光発電設備の設置工事(メガソーラー、2MW)、屋外作業中心
予想される問題
メガソーラー発電設備(2MW、パネル約6,000枚)の設置工事において、作業の大部分が屋外作業となることから、梅雨時期および台風シーズンにおける天候不順により、工程遅延が問題となることが予想された。
問題が発生する理由
太陽光パネルの設置作業、ケーブル敷設作業は雨天時に実施できない。また、強風時(10m/s以上)はパネルの取扱いが危険となり作業中止となる。6月〜9月の施工期間中、天候による作業中止日が多発することで、当初工程からの遅延が発生することが理由である。
実施した対策
天候リスクによる工程遅延を防止するため、以下の対策を実施した。第一に、気象予報サービス(週間予報、時間別予報)を活用し、週間工程を天候に合わせて柔軟に調整した。雨天時は屋内作業(パワーコンディショナー据付、接続箱配線)に切り替える「雨天時作業計画」を策定した。第二に、作業員を20%増員(通常15名→18名)し、好天時の作業量を増やして天候不順時の遅れを取り戻す体制を構築した。第三に、工程表には「天候予備日」を週あたり1日設け、悪天候による遅延を吸収できる計画とした。日々の作業実績を記録し、週次で進捗率を算出して計画との差異を管理した。
得られた結果
これらの対策により、梅雨時期に計7日間の作業中止があったものの、好天時の作業効率向上と雨天時の屋内作業により、当初計画の3ヶ月間で工事を完了した。発電開始予定日に間に合わせることができた。
ネットワーク工程表の活用
ネットワーク工程表とは
ネットワーク工程表は、作業の順序関係と所要日数を図式化した工程表です。1級電気工事施工管理技士として、ネットワーク工程表の理解と活用は必須です。
ネットワーク工程表の特徴
- 作業の依存関係が明確
- クリティカルパスが把握できる
- 工程短縮の検討が容易
クリティカルパスの管理
クリティカルパスとは、工事全体の工期を決定する一連の作業です。
クリティカルパス管理のポイント
- クリティカルパス上の作業に優先的にリソースを配置
- クリティカルパス以外の作業は余裕(フロート)を活用
- 工程短縮はクリティカルパスの短縮から検討
工程短縮の手法
| 手法 | 内容 | 適用例 |
|---|---|---|
| 作業の並行化 | 独立した作業を同時進行 | ケーブル敷設と機器据付の並行 |
| 山崩し | 作業員・資材の平準化 | ピーク時の作業員を他期間に分散 |
| ファストトラッキング | 前工程完了前に後工程着手 | 部分完了エリアから配線開始 |
| クラッシング | 資源投入による期間短縮 | 作業員増員、残業実施 |
工程管理の記述で高得点を取るコツ
1. 1級ならではの視点を入れる
1級電気工事施工管理技士の経験記述では、監理技術者としての工程管理視点が求められます。
| 2級的な記述 | 1級的な記述 |
|---|---|
| 作業を計画通り進めた | クリティカルパスを把握し、重点管理項目を設定した |
| 遅延しないよう管理した | 週次で進捗率を算出し、計画との差異を分析した |
| 人員を調整した | 山崩しにより作業員の平準化を図った |
2. 具体的な数値を入れる
工程管理では、数値による客観的な記述が重要です。
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 期間 | 短期間で完了 | 45日間で完了 |
| 人員 | 作業員を増やした | 作業員を15名から18名に増員(20%増) |
| 進捗 | 順調に進捗 | 進捗率85%(計画比+3%) |
3. 工程管理手法を適切に使用する
工程管理でよく使う用語を正確に使いましょう。
- クリティカルパス:工期を決定する最長経路
- フロート(余裕日数):作業の遅延許容範囲
- マイルストーン:工程上の重要な節目
- 山崩し:資源の平準化
- ファストトラッキング:工程の並行化
まとめ
令和8年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定でも、新形式での出題が継続されると予想されます。
工程管理テーマで高得点を取るためのポイント
-
施工条件を正確に読み取る
- 運用中施設、狭い空間、関連工事輻輳などの制約を把握
-
1級ならではの視点で記述する
- 総合工程管理、クリティカルパス管理、リソース最適化など
-
具体的な数値を入れる
- 日数、人員数、進捗率などを明記
-
工程管理手法を適切に使う
- ネットワーク工程表、山崩し、ファストトラッキングなど
-
因果関係を明確にする
- 問題→理由→対策→結果の論理的な流れ
この記事で紹介した例文を参考に、様々な施工条件に対応できる引き出しを増やしておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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