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令和8年度の2級建築施工管理技士 第二次検定で、工程管理テーマの経験記述に不安を感じている方へ。
「工程管理って、具体的にどう書けばいいの?」「品質管理との違いがわからない」という声をよく聞きます。
工程管理の経験記述では、工期の遵守、作業の効率化、遅延の防止と対策について、具体的な日数や数値を交えて記述することが求められます。
この記事では、令和6年度から導入された新形式に対応した工程管理の例文を複数パターン紹介し、高得点を狙うための書き方のコツを解説します。
この記事でわかること
- 工程管理テーマで求められる記述内容
- 状況別の経験記述例文(遅延防止、工期短縮、並行作業など)
- 工程管理と品質管理の違い
- 高得点を取るための記述テクニック
工程管理の経験記述で求められること
工程管理とは何か
工程管理とは、定められた工期内に工事を完成させるために、各作業の進捗状況を把握し、日数・人員・資機材を適切に調整する管理活動のことです。
工程管理が疎かになると、以下のような問題が発生します。
- 工期遅延による違約金の発生
- 後続作業への影響(手待ち時間の増加)
- 残業・休日出勤による労務費の増加
- 品質低下(急いで施工することによるミス)
品質管理との違い
| 項目 | 工程管理 | 品質管理 |
|---|---|---|
| 目的 | 工期内に完成させる | 所定の品質を確保する |
| 着目点 | 日数、人員、作業順序 | 材料、施工精度、検査 |
| 数値例 | 5日短縮、2班体制 | 28N/mm2、含水率8%以下 |
| キーワード | 遅延防止、並行作業、クリティカルパス | 養生、かぶり厚さ、強度 |
新形式での出題パターン
令和6年度からの新形式では、提示された工事概要に対して工程管理上の課題と対策を記述します。令和8年度もこの形式が継続されると予想されます。
工程管理では、以下のような視点が求められます。
- 遅延要因の特定:天候、材料遅れ、作業調整など
- 対策の検討:作業手順の変更、増員、機械化など
- 結果の数値化:〇日短縮、〇%効率向上など
工程管理の例文集【状況別】
例文1:天候による遅延対策
想定される工事概要:RC造3階建て事務所ビル、工期6ヶ月、梅雨時期を含む
課題の背景
工期が6月から11月の6ヶ月間であり、梅雨時期(6月〜7月)のコンクリート打設工程が天候に左右されやすく、工期遅延が懸念された。躯体工事の遅延は後続の仕上げ工事全体に影響するため、対策が必要であった。
検討内容
梅雨時期の工程遅延防止について、以下の点を検討した。
- 予備日の確保と工程表への反映
- 天候に左右されない作業の並行実施
- 打設日程の柔軟な変更対応
実施した対策
コンクリート打設工程において、1回の打設につき予備日を2日間確保し、週間工程表に組み込んだ。また、雨天時には屋内作業(配管、電気配線など)に切り替えられるよう、各職種と事前に調整した。気象情報を毎日確認し、3日前の時点で打設可否を判断して生コン工場に連絡する体制を構築した。
得られた結果
梅雨時期に計5日間の打設延期が発生したが、予備日の活用と屋内作業への切り替えにより手待ち時間を最小化し、躯体工事を予定工期内に完了することができた。
例文2:居住者がいる改修工事
想定される工事概要:木造2階建て住宅の改修工事、居住しながらの施工、工期25日間
課題の背景
居住者が在宅しながらの改修工事であり、作業時間が午前9時から午後5時までの8時間に制限されていた。通常工期30日間の工事を25日間で完了する必要があり、1日あたりの作業効率向上が課題であった。
検討内容
作業時間制限下での工期短縮について、以下の点を検討した。
- 現場加工時間の削減方法
- 各職種間の作業調整
- 資材搬入のタイミング
実施した対策
内装材をプレカット加工品に変更し、現場での加工時間を削減した。これにより、1日あたりの作業効率を20%向上させた。毎朝8時30分に職長ミーティングを実施し、当日の作業範囲と動線を確認して職種間の干渉を防止した。資材は前日の作業終了後に翌日分を搬入し、朝からすぐに作業開始できる体制とした。
得られた結果
プレカット材の採用と作業調整の徹底により、当初計画30日間の工事を5日間短縮し、工期25日間で完了することができた。居住者からも作業時間の厳守について高い評価を得た。
例文3:材料納入遅れへの対応
想定される工事概要:S造3階建て店舗、鉄骨建方工事
課題の背景
鉄骨部材の製作工場において、他現場の納期が重複したことにより、当現場への鉄骨納入が当初計画より10日間遅延する見込みとなった。後続の外装工事、内装工事の工程を確保するため、鉄骨建方工程での遅延回復が必要であった。
検討内容
鉄骨納入遅延の回復について、以下の点を検討した。
- 鉄骨建方の作業効率向上策
- 並行して実施可能な作業の洗い出し
- 後続工程への影響の最小化
実施した対策
鉄骨建方作業を1班から2班体制に増強し、1日あたりの建方数量を1.5倍に増加させた。また、低層階の鉄骨建方完了部分から順次デッキプレート敷設を開始し、並行作業により全体工程の短縮を図った。揚重機(クレーン)を25トンから50トンに変更し、1回あたりの揚重重量を増加させて作業効率を向上させた。
得られた結果
2班体制と並行作業の採用により、10日間の遅延のうち8日間を回復し、外装工事の着手を予定の2日遅れに抑えることができた。最終的に内装工事で調整し、竣工予定日を厳守することができた。
例文4:狭小地での工程管理
想定される工事概要:RC造3階建て店舗、間口6m・奥行15mの狭小敷地
課題の背景
敷地が狭小で資材の仮置きスペースが限られるため、資材の納入タイミングと揚重作業のスケジュール調整が課題であった。資材の停滞は工程遅延に直結するため、綿密な搬入計画が必要であった。
検討内容
狭小地での工程管理について、以下の点を検討した。
- 資材搬入の細分化とタイミング
- 揚重作業との連携
- 近隣への影響(搬入車両の待機など)
実施した対策
型枠材、鉄筋、コンクリートなど主要資材は、当日使用分のみを搬入するジャストインタイム方式を採用した。搬入時刻を午前8時と午後1時の2回に限定し、揚重機の配置と連動させた。各階の施工順序に合わせて内装材の納入を階別に分割し、仮置きスペースを最大10m2に抑制した。
得られた結果
資材の停滞による作業の手待ちを発生させることなく、予定工期内に工事を完了することができた。近隣からの搬入車両に関するクレームもゼロであった。
例文5:季節要因による工程調整
想定される工事概要:RC造2階建て共同住宅、12月〜3月の冬季施工
課題の背景
冬季施工のため、コンクリートの養生期間が通常より長く必要となり、躯体工事の工程が圧迫されることが予想された。特に型枠の存置期間延長が後続工程に影響を与える懸念があった。
検討内容
冬季施工での工程確保について、以下の点を検討した。
- コンクリート養生期間の短縮策
- 型枠の転用計画
- 作業可能時間の確保
実施した対策
早強ポルトランドセメントを使用することで、型枠の存置期間を通常14日から10日に短縮した。型枠は3セットを用意し、1階・2階・3階の転用サイクルを確立した。朝の作業開始前にジェットヒーターで作業エリアを暖め、日没後は投光器を設置して作業時間を午後6時まで延長した。
得られた結果
早強セメントの採用と型枠の効率的な転用により、躯体工事を予定工期内に完了させ、内装工事の着手を遅延させることなく引き渡すことができた。
例文6:複数業者の作業調整
想定される工事概要:S造2階建て事務所、内装仕上げ工事
課題の背景
内装仕上げ工事において、軽量鉄骨下地、ボード張り、塗装、電気設備、空調設備など複数の業者が同一フロアで作業するため、作業動線の輻輳により工程遅延が懸念された。
検討内容
複数業者の作業調整について、以下の点を検討した。
- 作業エリアの区分け
- 作業順序の最適化
- 情報共有の仕組み
実施した対策
フロアを4つのゾーンに区分けし、各ゾーンで軽量下地→電気配線→ボード張り→塗装の順序で作業を進めるローテーション方式を採用した。毎週月曜日に週間工程会議を開催し、各業者の進捗状況と翌週の作業予定を共有した。工程表はクラウド上で共有し、変更があった場合は即時反映する体制とした。
得られた結果
ゾーン区分けとローテーション方式により、各業者の手待ち時間を最小化し、内装工事を予定工期内に完了することができた。週間工程会議での情報共有により、作業の干渉によるトラブルはゼロであった。
工程管理の記述で高得点を取るコツ
1. 日数・期間を具体的に記述する
工程管理では、日数の数値が説得力を持ちます。
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 工期を短縮した | 工期を5日間短縮した |
| 予備日を確保した | 1回の打設につき予備日を2日間確保した |
| 作業効率が向上した | 1日あたりの作業効率を20%向上させた |
2. 遅延の原因と対策を明確にする
「なぜ遅延が発生(または懸念)されるのか」→「どう対策したのか」を明確にします。
テンプレート:
〇〇という条件により、△△日間の遅延が懸念された。そこで、□□という対策を実施した結果、◇◇日間で完了(または◇◇日短縮)することができた。
3. 工程管理特有のキーワードを使う
工程管理でよく使うキーワードを適切に使用しましょう。
- クリティカルパス:工程全体の工期を決定する最長経路
- フロート(余裕日数):遅れても全体工期に影響しない余裕
- 並行作業:複数の作業を同時に進めること
- 先行作業・後続作業:作業の前後関係
- 山崩し:作業員や資機材の平準化
4. 関係者との調整を記述する
工程管理は一人では完結しません。関係者との調整も記述に含めましょう。
- 「各職種の職長と事前に調整した」
- 「週間工程会議で進捗を共有した」
- 「生コン工場と連絡体制を構築した」
よくある減点ポイントと対策
減点1:品質管理との混同
NG例:「養生期間を十分に確保してコンクリートの品質を確保した」
対策:品質管理の話になっている。工程管理では「養生期間を考慮して後続工程を調整した」などと記述する
減点2:数値が曖昧
NG例:「工期に余裕がなかったので作業を効率化した」
対策:「予定工期30日に対し25日で完了した」など具体的な数値を入れる
減点3:対策の具体性不足
NG例:「工程管理を徹底した」
対策:何を、どのように管理したかを具体的に記述する(週間工程会議、ジャストインタイム納入など)
減点4:結果が不明確
NG例:「対策の結果、工事を完了できた」
対策:「予定工期内に完了」「5日間短縮」など、結果を数値で示す
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工程管理の経験記述対策に、以下の記事もご活用ください。
- 2級建築施工管理技士 経験記述の完全ガイド - 3テーマ共通の書き方の基本が学べます
- 2級建築施工管理技士 経験記述 品質管理の例文集 - 品質管理テーマの記述例を確認できます
- 2級建築施工管理技士の過去問を最大限活用する方法 - 過去問から出題傾向を把握できます
まとめ
令和8年度の2級建築施工管理技士 第二次検定でも、新形式での出題が継続されると予想されます。
工程管理テーマで高得点を取るためのポイントをまとめます。
記述のポイント
- 遅延の原因・懸念事項を明確に特定する
- 具体的な日数・期間を必ず記述する(〇日短縮、〇日間の予備日など)
- 並行作業、作業調整、搬入計画など具体的な対策を記述する
- 関係者との調整内容も含める
- 結果を数値で示す
工程管理は品質管理と混同しやすいテーマですが、「工期」「日数」「作業順序」に着目すれば区別できます。
この記事で紹介した例文を参考に、自分なりのパターンを複数用意しておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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