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令和8年度の1級電気通信工事施工管理技士 第二次検定を目指す方へ。
「経験記述って、どう書けばいいかわからない...」「5GやIoTの現場経験をどう活かせばいいの?」という悩みを抱えていませんか?
1級電気通信工事施工管理技士の第二次検定において、経験記述は合否を分ける最重要項目です。電気通信工事という比較的新しい分野だからこそ、5G基地局やデータセンター、IoT設備など最新技術を踏まえた記述が求められます。
この記事では、令和8年度の試験に向けて、経験記述の書き方から具体的な例文まで徹底的に解説します。
この記事でわかること
- 1級電気通信工事施工管理技士の経験記述の出題形式と傾向
- 工程管理・品質管理・安全管理のテーマ別攻略法
- 5G・IoT時代に対応した経験記述の例文集
- 採点者に評価される記述のポイント
- よくある失敗事例と対策
1級電気通信工事施工管理技士 経験記述の基本を理解する
経験記述とは何か
経験記述とは、受験者自身が実際に従事した電気通信工事について、施工管理上の課題とその対策を文章で記述する問題です。第二次検定の冒頭で出題され、配点が非常に高いことから、合格を左右する重要な設問といえます。
電気通信工事施工管理技士は令和元年(2019年)に新設された資格であり、過去問の蓄積が他の施工管理技士に比べて少ないのが特徴です。しかし、出題パターンは一定の傾向があり、しっかりと対策すれば高得点を狙えます。
出題形式と配点
経験記述の問題では、以下の内容を記述することが求められます。
| 記述項目 | 内容 |
|---|---|
| 工事概要 | 工事名、工事場所、工期、請負金額、工事内容の概要 |
| あなたの立場 | 現場での役職・担当業務 |
| 課題と検討内容 | 工事で直面した施工管理上の課題と検討事項 |
| 実施した対策 | 課題に対して実際に行った具体的な対策 |
| 得られた成果 | 対策を実施した結果どうなったか |
出題テーマの傾向
経験記述のテーマは、主に以下の3つがローテーションで出題されます。
- 工程管理:工期短縮、遅延防止、作業効率化に関する課題
- 品質管理:通信品質の確保、機器の性能維持、検査基準に関する課題
- 安全管理:作業員の安全確保、事故防止、高所作業対策に関する課題
令和8年度も、これらのテーマのいずれかが出題されると予想されます。すべてのテーマに対応できるよう、最低でも3パターンの経験記述を準備しておくことが合格への近道です。
経験記述で高得点を取るための5つの原則
原則1:具体的な数値を必ず盛り込む
経験記述で最も重要なのは具体性です。抽象的な表現では採点者に伝わりません。
悪い例: 「工期を短縮するために作業を効率化した」
良い例: 「5G基地局設置工事において、従来3日間を要していたアンテナ設置作業を、事前の組立作業と並行作業により2日間に短縮し、全体工期を5日間削減した」
数値を入れることで、あなたの施工管理能力が具体的に伝わります。以下のような数値を意識して記述しましょう。
- 工期の日数(短縮前→短縮後)
- 作業人員数
- 機器の台数や設置数
- 伝送速度・通信容量などの技術仕様
- コスト削減額や削減率
原則2:5G・IoT時代の専門用語を適切に使用する
1級電気通信工事施工管理技士の試験では、最新の電気通信技術に関する知識も評価されます。以下のような専門用語を適切に使用することで、専門性をアピールできます。
- 5G関連:ミリ波、Sub6、Massive MIMO、ビームフォーミング、基地局(gNB)
- 光通信関連:FTTH、光ファイバ、スプリッタ、ONU、融着接続
- LAN関連:Cat6A、PoE給電、VLAN、無線LAN、アクセスポイント
- データセンター:ラック、UPS、空調(精密空調)、二重床、冗長化
ただし、専門用語の誤用は大きな減点対象となります。用語の意味を正確に理解した上で使用してください。
原則3:因果関係を明確にする
経験記述は、「課題→検討→対策→成果」という論理的な流れで構成します。各要素の因果関係を明確にすることで、説得力のある記述になります。
構成例:
- 「〜という状況であったため」(背景)
- 「〜が課題となった」(課題の特定)
- 「〜について検討した結果」(検討内容)
- 「〜を実施した」(具体的対策)
- 「その結果、〜を達成できた」(成果)
原則4:電気通信工事ならではの視点を入れる
電気通信工事には、建築工事や土木工事とは異なる特有の課題があります。以下のような視点を記述に盛り込むことで、専門性を示すことができます。
- 通信品質の確保:伝送損失、反射減衰量、S/N比などの品質基準
- 電波環境への配慮:電波干渉、遮蔽物の影響、カバレッジエリア
- ネットワークの連続性:サービス停止の最小化、切り替え作業の手順
- セキュリティ対策:不正アクセス防止、物理的セキュリティ
原則5:簡潔かつ読みやすく記述する
試験問題には「簡潔に記述しなさい」という指示があります。長文で書けば良いというわけではありません。
- 1つの対策につき2〜3文程度でまとめる
- 箇条書きを効果的に活用する
- 同じ表現の繰り返しを避ける
- 誤字・脱字を徹底的に排除する
テーマ別 経験記述の例文集
工程管理の例文
工事概要: A市内における5G基地局設置工事(新設30局) 工期:令和7年4月1日〜令和7年9月30日(6ヶ月間) 請負金額:1億2,000万円
あなたの立場:現場代理人
課題と検討内容:
本工事は、市内商業地域を中心に5G基地局30局を6ヶ月間で設置する工事であった。各局の設置には、屋上アンテナ設置、光ファイバ引込工事、無線機器設置、電源工事が必要であり、当初計画では1局あたり5日間を要する見込みであった。
しかし、夏季の猛暑対策による作業時間短縮や、商業施設の営業時間との調整が必要となり、当初計画では工期内完了が困難であることが判明した。そこで、工程短縮のための方策を検討した。
実施した対策:
事前組立工程の導入:アンテナユニットと無線機器の事前組立を作業場で実施し、現場での組立時間を1日短縮した。
並行作業の実施:光ファイバ引込工事と電源工事を2班体制で同時進行させ、従来の直列作業から並行作業に変更した。
夜間作業の実施:商業施設の閉店後(21時〜翌5時)に屋上作業を集中的に実施し、日中の作業制限を回避した。
工程会議の頻度増加:週1回から週2回に変更し、各局の進捗状況を細かく管理した。
得られた成果:
これらの対策により、1局あたりの施工日数を5日間から3日間に短縮することができた。結果として、当初計画より2週間前倒しで全30局の設置を完了し、工期内に余裕を持って竣工することができた。また、夜間作業により商業施設への影響を最小限に抑え、クライアントから高い評価を得た。
品質管理の例文
工事概要: B社データセンター新築工事に伴う構内通信設備工事 工期:令和6年10月1日〜令和7年3月31日(6ヶ月間) 請負金額:8,500万円
あなたの立場:主任技術者
課題と検討内容:
本工事は、延床面積5,000m2のデータセンターにおける構内LAN配線工事(Cat6Aケーブル約15,000m)および光ファイバ配線工事(シングルモードファイバ約3,000m)であった。
データセンターの通信設備は高い信頼性と伝送品質が求められる。特に光ファイバの融着接続部における伝送損失は、1接続あたり0.1dB以下という厳しい基準が設定されていた。また、Cat6Aケーブルについては10Gbps通信を保証するため、全配線の性能試験が必要であった。
大量の配線作業において、いかにして品質基準を満たすかが課題となった。
実施した対策:
融着作業の技能確認:作業開始前に、融着接続作業者全員(5名)の技能確認試験を実施し、損失0.05dB以下の接続ができることを確認した。基準を満たさない作業者には追加訓練を実施した。
中間検査の実施:光ファイバ配線は100m敷設ごとにOTDRによる中間測定を実施し、異常があれば即座に是正できる体制とした。
Cat6A試験の全数実施:フルーク社製認証試験機を使用し、全1,200回線の性能試験を実施。試験結果は電子データで保存し、トレーサビリティを確保した。
環境管理の徹底:融着接続作業場所は、粉塵の少ないクリーンルーム相当の環境を確保し、温度・湿度を一定に管理した。
得られた成果:
これらの対策により、光ファイバ融着接続の平均損失は0.03dBとなり、基準値0.1dBを大幅に下回った。Cat6Aケーブルの性能試験では全1,200回線が合格し、再施工率0%を達成した。竣工検査においても指摘事項なく合格し、高品質な通信インフラを納品することができた。
安全管理の例文
工事概要: C社ビル屋上における携帯電話基地局更新工事 工期:令和7年1月15日〜令和7年2月28日(1.5ヶ月間) 請負金額:2,800万円
あなたの立場:現場代理人兼安全管理責任者
課題と検討内容:
本工事は、地上12階建てオフィスビル屋上(高さ約45m)における携帯電話基地局の4G→5G更新工事であった。作業内容は、既存アンテナ3基の撤去、新規5Gアンテナ6基の設置、無線機器の更新であった。
屋上作業は墜落・転落災害のリスクが極めて高い。さらに、冬季施工のため強風や降雪による作業環境の悪化が懸念された。また、電波を発する基地局での作業であり、電磁波による健康影響への配慮も必要であった。
これらのリスクを適切に管理し、無事故で工事を完了することが課題であった。
実施した対策:
墜落防止対策の強化:屋上外周部に仮設手すり(高さ1.1m)を設置し、作業員全員にフルハーネス型安全帯の着用を義務付けた。親綱を2系統設置し、移動中も常時接続を維持できる体制とした。
気象条件の管理:風速計を設置し、風速10m/s以上で作業中止とするルールを設定した。毎朝のKY(危険予知)活動で当日の気象予報を確認し、作業可否を判断した。
電磁波対策:既存基地局の電波停止時間帯(深夜2時〜5時)にアンテナ近傍作業を集中させた。作業員には電磁波測定器を携帯させ、電界強度が基準値(61.4V/m)を超える場所では作業を禁止した。
安全教育の徹底:作業開始前に全作業員(延べ48名)に対し、高所作業特別教育の受講確認と現場固有のリスクに関する安全教育を実施した。
得られた成果:
45日間の工事期間中、墜落・転落災害、電磁波による健康被害ともに発生件数0件を達成した。強風による作業中止は3日間あったが、予備日の活用により工期内に完了した。安全パトロールにおいても指摘事項なく、元請け会社から安全管理優良協力会社として表彰を受けた。
経験記述でよくある失敗と対策
失敗1:工事概要が不明確
失敗例:「通信工事を行った」
対策:工事名、工事場所、工期、請負金額、工事内容を具体的に記載する。特に電気通信工事の種類(基地局工事、LAN工事、光ファイバ工事など)を明確にする。
失敗2:テーマとの不整合
失敗例:品質管理がテーマなのに、工期短縮の話を書いてしまう
対策:記述前に出題テーマを再確認し、テーマに沿った課題・対策を選択する。複数のテーマに関わる工事経験であっても、指定されたテーマに焦点を絞る。
失敗3:専門用語の誤用
失敗例:「光ファイバを半田付けした」(正しくは「融着接続した」)
対策:電気通信工事特有の用語を正確に使用する。不安な用語は事前に確認し、正しい表現を覚える。
失敗4:成果が不明確
失敗例:「対策を実施した結果、うまくいった」
対策:「工期を○日短縮」「品質基準○dBを達成」「災害発生件数0件」など、数値で成果を表現する。
失敗5:経験と記述の不一致
失敗例:実際には経験していない工事内容を記述する
対策:経験記述は、あなた自身が実際に従事した工事について記述する必要がある。虚偽の記述は、試験官の質問や面接で矛盾が露呈する可能性がある。自分の経験を正直に、かつ最大限にアピールする記述を心がける。
FAQ:1級電気通信工事施工管理技士 経験記述について
Q1:現場経験が少なくても合格できますか?
A:経験記述は自分が従事した工事について記述するため、一定の実務経験は必要です。ただし、工事の規模が小さくても、課題を明確に捉え、適切な対策を実施した経験があれば十分に合格できます。小規模工事でも、品質管理や安全管理の視点で記述することで専門性をアピールできます。
Q2:3つのテーマすべてを準備する必要がありますか?
A:必須です。令和8年度にどのテーマが出題されるか予測できないため、工程管理・品質管理・安全管理の3パターンを準備しておきましょう。理想的には、1つの工事経験で3テーマに対応できる記述を用意しておくと効率的です。
Q3:5GやIoTの工事経験がない場合はどうすればいいですか?
A:従来の携帯電話基地局工事、LAN配線工事、光ファイバ工事などの経験でも問題ありません。ただし、5GやIoTに関する知識は別途学習し、学科試験(第一次検定)で問われる可能性に備えてください。
Q4:記述の文字数はどれくらいが適切ですか?
A:設問ごとに解答欄のサイズが決まっているため、欄を8割以上埋めることを目安にしてください。少なすぎると情報不足、多すぎると要点が不明確になります。事前に原稿用紙などで練習し、適切な文量を把握しておきましょう。
Q5:下書きは必要ですか?
A:本番では時間との戦いになるため、事前に経験記述の原稿を作成し、暗記に近い状態で臨むことをおすすめします。3テーマ分の原稿を準備し、繰り返し書く練習をしておきましょう。
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1級電気通信工事施工管理技士の第二次検定対策に、以下の記事も参考になります。
- 1級電気通信工事施工管理技士 第二次検定の完全対策ガイド - 経験記述以外の出題も含めた総合対策ができます
- 1級電気通信工事施工管理技士の難易度と合格率 - 合格率データから対策の優先度を判断できます
- 1級電気通信工事施工管理技士の過去問活用法 - 過去問で出題傾向を把握できます
まとめ:令和8年度 経験記述攻略のポイント
1級電気通信工事施工管理技士の経験記述は、準備がすべてです。
合格のための重要ポイント:
- 工程管理・品質管理・安全管理の3テーマすべてを準備する
- 具体的な数値を必ず盛り込む
- 5G・IoT時代の専門用語を適切に使用する
- 課題→検討→対策→成果の論理的な流れで記述する
- 簡潔かつ読みやすい文章を心がける
電気通信工事施工管理技士は、5G・IoT時代にますます需要が高まる資格です。令和元年に新設されたばかりで有資格者が少なく、取得すれば大きなキャリアアップにつながります。
令和8年度の合格を目指して、計画的に経験記述の準備を進めましょう!
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監修・執筆
sekocan 編集部
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