目次
令和8年度の1級土木施工管理技士 第二次検定を目指す方へ。
「1級の経験記述は2級より難しい?」「高度な記述が求められるのでは?」という不安を抱えていませんか?
1級土木施工管理技士の経験記述は、2級と比較してより高度な技術的内容と管理者としての視点が求められます。しかし、基本的な構成と書き方のコツを押さえれば、確実に合格点を取ることができます。
この記事では、令和8年度の試験形式に対応した経験記述の例文を、テーマ別・工種別に豊富に紹介いたします。
この記事でわかること
- 1級土木施工管理技士の経験記述で求められること
- テーマ別(品質管理・工程管理・安全管理)の例文
- 工種別の具体的な記述例
- 高得点を取るための書き方のコツ
1級土木施工管理技士 経験記述の特徴
2級との違い
1級土木施工管理技士の経験記述は、2級と比較して以下の点が異なります。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 工事規模 | 中小規模 | 大規模・複合工事 |
| 求められる視点 | 施工者としての視点 | 管理者・監督者としての視点 |
| 技術的深度 | 基本的な技術対策 | 高度な技術的判断・創意工夫 |
| 関係者調整 | 限定的 | 発注者・協力会社・地域住民との調整 |
令和8年度の試験形式
令和6年度から試験形式が変更され、令和8年度もこの新形式が継続されると予想されます。
新形式の特徴
- 提示された工事概要から選択して記述
- 複数の管理項目について総合的に記述
- 技術的な課題解決プロセスの説明を重視
経験記述の配点
1級第二次検定における経験記述の配点は約40〜50%と推定されます。ここで高得点を取ることが合格への近道です。
経験記述の基本構成
5段階構成で論理的に記述する
1級の経験記述は、以下の5段階構成で書くと論理的にまとまります。
1. 工事概要の確認 選択した工事の特性(規模、工期、立地条件)を把握する。
2. 課題の特定 工事特性から発生する技術的課題を明確にする。
3. 検討内容 課題に対する複数の対策案を検討し、採用理由を述べる。
4. 実施した対策 具体的な対策内容を数値とともに記述する。
5. 得られた結果と評価 対策の成果を定量的に示し、今後の改善点にも言及する。
記述の文字数目安
1級の経験記述は、おおむね300〜400字程度が目安です。2級よりも詳細な記述が求められます。
テーマ別 経験記述例文集
品質管理の例文
例文1:コンクリートダムの品質管理
想定される工事:コンクリートダム建設工事、堤高50m、コンクリート量15万m3
課題の特定
堤高50mの重力式コンクリートダム建設において、マスコンクリートの温度ひび割れ防止と、長期にわたる打設期間中の一貫した品質確保が課題であった。特に、年間を通じて外気温の変動が大きく、夏季と冬季で異なる対策が必要であった。
検討内容
温度ひび割れ防止のため、以下の対策を検討した。
- 低発熱型セメントの採用
- プレクーリングによるコンクリート温度の低減
- パイプクーリングによる打設後の温度制御
- リフト高さとリフト間隔の最適化
実施した対策
中庸熱ポルトランドセメントを採用し、骨材のプレクーリングにより練り上がり温度を25度以下に管理した。打設後は通水パイプを1.5mピッチで埋設し、15度の冷却水を通水することで、コンクリート内部の最高温度を50度以下に抑制した。リフト高さは75cmとし、リフト間隔は5日以上確保した。品質管理として、各リフトでコア採取による圧縮強度試験を実施し、設計基準強度21N/mm2に対して平均28N/mm2を確保した。
得られた結果と評価
これらの対策により、全打設期間を通じて温度ひび割れの発生を防止し、所定の品質を確保することができた。施工後5年経過時点での定期点検でもひび割れの発生は認められず、長期耐久性を確保できたと評価している。
例文2:橋梁下部工の品質管理
想定される工事:橋梁下部工(橋脚)建設、橋脚高さ25m、海上施工
課題の特定
海上に位置する橋脚建設において、海水による塩害対策と、潮位変動のある環境下でのコンクリート品質確保が課題であった。特に、飛沫帯に位置する部分は塩化物イオンの浸透が著しく、耐久性確保のための対策が重要であった。
検討内容
塩害対策として、以下の点を検討した。
- 高炉セメントB種の採用(塩化物イオン浸透抵抗性向上)
- かぶり厚さの増大
- 表面保護工の採用
- 水セメント比の低減
実施した対策
高炉セメントB種を使用し、水セメント比を50%以下に管理した。飛沫帯のかぶり厚さは標準70mmに対して100mmに増大し、さらにエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用した。コンクリートの塩化物含有量は0.3kg/m3以下を確認し、打設後は塗膜系表面含浸材を塗布して塩化物イオンの浸透を抑制した。施工時は潮位表を確認し、干潮時を狙って打設を行い、打設後の型枠存置期間を7日間確保した。
得られた結果と評価
竣工後の品質検査において、塩化物イオン浸透深さ試験で基準値を満足し、設計耐用年数100年を確保できる品質であることを確認した。
工程管理の例文
例文3:高速道路の工程管理
想定される工事:高速道路新設工事、延長2.5km、工期24ヶ月
課題の特定
延長2.5kmの高速道路新設工事において、軟弱地盤区間が全体の40%を占め、地盤改良に長期間を要することが予想された。また、河川を横断するボックスカルバートの施工は渇水期(11月〜3月)に限定されるため、工程上のクリティカルパスとなることが課題であった。
検討内容
工期短縮のため、以下の点を検討した。
- 軟弱地盤対策工法の比較検討(サンドドレーン、プレロード、深層混合処理)
- 並行作業による工程短縮
- 河川横断部の施工計画最適化
- ICT技術の活用
実施した対策
軟弱地盤区間は、圧密促進効果と工期のバランスからプラスチックボードドレーン工法を採用し、施工期間を当初計画の8ヶ月から6ヶ月に短縮した。河川横断部は、仮締切りを鋼矢板二重締切りとし、止水性を高めることで出水期間中の補修リスクを低減した。全線にわたってICT土工を導入し、MC(マシンコントロール)ブルドーザーにより盛土整形の効率を30%向上させた。工程管理はネットワーク式工程表を用いて週単位で進捗を確認し、クリティカルパス上の作業を重点管理した。
得られた結果と評価
工事全体で当初工期24ヶ月に対して22ヶ月で完成し、2ヶ月の工期短縮を達成した。特にICT土工の導入効果は大きく、今後の類似工事にも適用できるノウハウを蓄積できた。
例文4:トンネル工事の工程管理
想定される工事:山岳トンネル工事、延長1,800m、NATM工法
課題の特定
延長1,800mの山岳トンネル工事において、当初想定していなかった破砕帯が掘削延長の25%で出現し、支保パターンの変更と補助工法の追加により、工程遅延が発生していた。工期を遵守しつつ安全を確保することが課題であった。
検討内容
工程回復のため、以下の点を検討した。
- 補助工法の効率化(AGF工法の採用)
- 24時間施工体制の導入
- 切羽観察の強化による支保パターンの適正化
- 坑口からの並行作業
実施した対策
破砕帯区間ではAGF(All Ground Fasten)工法を採用し、先受け工の施工速度を向上させた。24時間2交代制の施工体制を敷き、1日あたりの掘進量を当初の3mから4.5mに向上させた。切羽観察員を専任配置し、地山状況をリアルタイムで評価することで、過剰な支保の設置を防止した。坑口側からインバートコンクリートの施工を先行させ、並行作業により全体工程の短縮を図った。
得られた結果と評価
破砕帯出現による遅延を回復し、当初工期どおりに貫通を達成した。AGF工法の採用は施工速度向上だけでなく、切羽の安定性向上にも寄与し、安全面でも効果があった。
安全管理の例文
例文5:大規模土工事の安全管理
想定される工事:造成工事、切土量80万m3、盛土量60万m3、工期18ヶ月
課題の特定
大規模造成工事において、重機台数が最大30台、作業員が最大150名に達する繁忙期があり、重機災害と墜落・転落災害の防止が最重要課題であった。また、法面高さが最大15mに達する箇所があり、法面崩壊による第三者災害防止も重要な管理項目であった。
検討内容
安全管理体制の構築のため、以下の点を検討した。
実施した対策
重機稼働エリアと作業員通行エリアを完全分離し、交差部にはゲート式の通行管理システムを導入した。各重機にはバックモニターと接近警報装置を装着し、運転席からの死角をなくした。法面には計測機器(伸縮計、傾斜計)を設置し、変位量を毎日測定した。変位速度が5mm/日を超えた場合は作業を中止する基準を設けた。毎朝の全体朝礼と毎週の安全会議を実施し、協力会社を含めた安全意識の共有を図った。月1回の統括安全パトロールでは、発注者も参加する合同パトロールを実施した。
得られた結果と評価
工事期間18ヶ月、延べ作業員数45,000人日において、休業災害ゼロを達成した。法面の計測管理により、降雨後に変位増加の兆候を早期に検知し、事前の注意喚起により災害を未然に防止できた事例もあった。
例文6:都市部での道路工事の安全管理
想定される工事:市街地道路拡幅工事、延長800m、夜間施工
課題の特定
交通量約2万台/日の市街地幹線道路における拡幅工事で、車線規制下での施工となるため、交通災害防止と第三者災害防止が最重要課題であった。また、地下埋設物(ガス管、水道管、電力線)が輻輳しており、損傷事故防止も重要な管理項目であった。
検討内容
安全管理のため、以下の点を検討した。
- 交通規制計画の最適化
- 地下埋設物の事前調査と防護
- 夜間施工における視認性確保
- 地域住民への周知体制
実施した対策
交通規制は22時〜翌6時の夜間に限定し、規制延長は100m以内とした。規制区間の手前300m、200m、100m地点に電光掲示板を設置し、事前予告を徹底した。誘導員は規制区間の前後に各2名、工事車両出入口に1名を配置し、全員に高視認性安全服と停止灯を支給した。地下埋設物は、施工前に各管理者立会いのもと試掘調査を行い、位置を三次元で記録した。掘削時は手掘りで埋設物を露出させ、サポートで防護してから機械掘削を行った。
得られた結果と評価
工事期間中、交通事故および埋設物損傷事故は発生しなかった。地域住民からの苦情も少なく、工事完了後のアンケートでは「工事中も安全に通行できた」との評価を得た。
高得点を取るための5つのコツ
コツ1:管理者としての視点を示す
1級では、単なる施工者ではなく管理者・監督者としての視点が求められます。
悪い例:「コンクリートを打設した」 良い例:「協力会社の生コン車の配車計画を調整し、打設速度に合わせた供給体制を構築した」
コツ2:複数の対策案を比較検討する
対策を決定するまでの検討プロセスを示すことで、技術的判断力をアピールできます。
良い例:「軟弱地盤対策として、サンドドレーン工法とプレロード工法を比較検討し、工期と経済性の観点からプレロード工法を採用した」
コツ3:数値で成果を示す
対策の効果を定量的に示すことで、説得力が増します。
- 工期短縮:「当初24ヶ月を22ヶ月に短縮」
- コスト削減:「施工費を15%削減」
- 品質向上:「設計値21N/mm2に対し平均28N/mm2を確保」
- 安全成績:「延べ45,000人日で休業災害ゼロ」
コツ4:関係者調整に言及する
1級では、発注者、協力会社、地域住民、関係機関との調整能力も評価されます。
良い例:「河川管理者との協議により、仮締切りの設置時期を調整し、渇水期の工期を最大限確保した」
コツ5:今後の改善点にも触れる
対策の成果だけでなく、今後の課題や改善点にも言及することで、継続的な品質向上への姿勢を示せます。
良い例:「今回の経験を踏まえ、類似工事ではAGF工法の早期適用を検討することが有効と考える」
よくある減点ポイントと対策
減点1:工事規模が1級に相応しくない
問題点:小規模な工事を記述してしまう
対策:提示された工事概要の中から、規模や技術的難易度の高い工事を選択しましょう。
減点2:単純な対策の羅列
問題点:「〜を行った」の羅列で、検討プロセスが見えない
対策:なぜその対策を選んだのか、検討過程を記述しましょう。
減点3:結果の記述が定性的
問題点:「無事に完了した」で終わっている
対策:具体的な数値で成果を示しましょう。
減点4:土木用語の誤用
問題点:専門用語を間違えて使用している
対策:土木用語を正確に覚え、見直し時に確認しましょう。詳しくは用語集ページをご参照ください。
FAQ:1級土木施工管理技士 経験記述について
Q1:2級に合格した後、すぐに1級を受験すべきですか?
A:実務経験要件を満たしていれば受験可能です。ただし、1級はより高度な技術的内容が求められるため、2級合格後に現場経験を積んでから受験することをお勧めします。一般的には、2級合格後2〜3年の経験があると、経験記述に深みが出ます。
Q2:自分の経験した工事が小規模な場合、どうすればよいですか?
A:新形式では提示された工事概要から選択するため、実際の経験規模は直接的な問題にはなりません。ただし、学習段階では様々な規模・種類の工事について知識を深めておくことが重要です。
Q3:経験記述の文字数は多いほど良いですか?
A:文字数が多ければ良いというわけではありません。300〜400字程度で、必要な内容を漏れなく、かつ簡潔に記述することが重要です。冗長な記述は減点対象となる可能性があります。
Q4:品質管理、工程管理、安全管理のどれが出題されやすいですか?
A:近年は3テーマがローテーションで出題される傾向にあります。すべてのテーマに対応できるよう、各テーマで2パターン以上の記述例を準備しておきましょう。
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1級土木施工管理技士の第二次検定対策に、以下の記事も参考になります。
- 1級土木施工管理技士 第二次検定の対策と合格戦略 - 経験記述以外の出題も含めた総合対策ができます
- 1級土木施工管理技士の過去問を最大限活用する方法 - 出題傾向の把握に役立ちます
- 1級土木施工管理技士の勉強時間と学習計画 - 効率的な学習スケジュールを立てられます
まとめ
令和8年度の1級土木施工管理技士 第二次検定でも、新形式での出題が継続されると予想されます。
経験記述で高得点を取るポイント
- 管理者としての視点を示す
- 複数の対策案を比較検討するプロセスを記述する
- 数値で成果を定量的に示す
- 関係者調整に言及する
- 今後の改善点にも触れる
1級土木施工管理技士は、建設業界で最高峰の資格の一つです。この資格を取得することで、大規模プロジェクトの責任者として活躍する道が開けます。
この記事で紹介した例文を参考に、自分なりの記述パターンを複数用意しておきましょう。過去問での練習には過去問ページもご活用ください。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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