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令和8年度の2級管工事施工管理技士 第二次検定で、工程管理テーマの経験記述に不安を感じている方へ。
「工程管理って配管工事だと具体的にどう書けばいいの?」「品質管理との違いがわからない」という声をよく聞きます。
管工事における工程管理の経験記述では、工期の遵守、他工事との調整、資材・機器の納入管理、試験調整期間の確保について、具体的な日数や数値を交えて記述することが求められます。
この記事では、令和8年度の新形式に対応した工程管理の例文を複数パターン紹介し、高得点を狙うための書き方のコツを解説します。
この記事でわかること
- 工程管理テーマで求められる記述内容
- 状況別の経験記述例文(遅延防止、工期短縮、並行作業など)
- 工程管理と品質管理の違い
- 高得点を取るための記述テクニック
工程管理の経験記述で求められること
管工事における工程管理とは
管工事における工程管理とは、定められた工期内に設備工事を完成させるために、各作業の進捗状況を把握し、日数・人員・資機材を適切に調整する管理活動のことです。
管工事特有の工程管理上の課題として、以下の内容が挙げられます。
| 項目 | 具体的な課題 |
|---|---|
| 建築工事との調整 | スラブ・壁貫通部の施工時期、天井内配管のタイミング |
| 他設備との調整 | 電気工事、空調工事との作業エリア・順序調整 |
| 機器納入 | 大型機器(チラー、ポンプ等)の搬入時期と搬入経路 |
| 試験調整 | 水圧試験、気密試験、試運転調整の期間確保 |
| 検査対応 | 隠蔽部の検査、官庁検査への対応 |
品質管理との違い
| 項目 | 工程管理 | 品質管理 |
|---|---|---|
| 目的 | 工期内に完成させる | 所定の品質を確保する |
| 着目点 | 日数、人員、作業順序 | 材料、施工精度、検査 |
| 数値例 | 5日短縮、2班体制 | 0.75MPa、勾配1/100 |
| キーワード | 遅延防止、並行作業、取合い調整 | 気密試験、水圧試験、保温厚さ |
第二次検定での出題パターン
令和8年度の第二次検定では、提示された工事概要に対して工程管理上の課題と対策を記述します。
工程管理では、以下のような視点が求められます。
- 遅延要因の特定:機器納入遅れ、建築工事の遅延、作業調整不足など
- 対策の検討:作業手順の変更、増員、プレハブ化など
- 結果の数値化:〇日短縮、〇%効率向上など
工程管理の例文集【状況別】
例文1:建築工事の遅延への対応
想定される工事概要:RC造5階建て事務所ビル、給排水衛生・空調設備工事、工期8ヶ月
課題の背景
躯体工事の遅延により、3階から5階のスラブ打設が当初計画より2週間遅れた。これに伴い、配管のスラブ貫通部の施工や天井内配管の開始時期が遅れ、設備工事全体の工程に影響を及ぼすことが懸念された。特に、試運転調整期間の確保が工程管理上の重要課題であった。
検討内容
躯体工事遅延に伴う工程調整について、以下の点を検討した。
- 配管作業の効率化と短縮策
- 建築工事との並行作業の可能性
- 試運転調整期間の確保方法
実施した対策
配管材料をプレハブ加工とし、現場での加工・接合時間を短縮した。具体的には、機械室の配管ユニットを工場で製作し、現場では吊り込み・接続作業のみとすることで、従来10日間の作業を6日間に短縮した。また、建築工事と調整し、各階の天井下地工事完了前に配管作業を先行させることで、並行作業による工程短縮を図った。週1回の工程会議を週2回に増やし、日々の進捗を建築・電気工事と共有した。
得られた結果
プレハブ化と並行作業により、2週間の遅延を1週間に回復し、試運転調整期間として計画通り2週間を確保することができた。竣工予定日を厳守して引き渡しを完了した。
例文2:大型機器の搬入調整
想定される工事概要:S造3階建て事務所ビル、空調設備工事、空冷式チラー2台設置
課題の背景
屋上に設置する空冷式チラー(重量3トン/台)の搬入について、建方工事完了後は搬入経路が限定されるため、鉄骨建方工事との工程調整が工程管理上の重要課題であった。チラーの納期が製作に3ヶ月必要であり、発注時期と搬入時期の調整が必要であった。
検討内容
大型機器の搬入調整について、以下の点を検討した。
- チラーの発注時期と製作期間
- 鉄骨建方工事との搬入時期の調整
- 搬入方法と揚重計画
実施した対策
チラーメーカーとの調整により、製作期間を3ヶ月と確定し、鉄骨建方工事の屋根鉄骨施工前に搬入完了するよう発注時期を決定した。具体的には、工事着工と同時にチラーを発注し、鉄骨建方開始後2週間目(屋根鉄骨施工前)に搬入を行った。揚重には50トンラフタークレーンを使用し、1日で2台の搬入を完了した。搬入後は仮設シートで養生し、屋根工事完了まで保護した。
得られた結果
計画通りの搬入スケジュールで大型機器の据付を完了し、後続の冷媒配管・電気工事を予定通り進めることができた。最終的に試運転調整も含めて工期内に完了した。
例文3:複数業者との作業調整
想定される工事概要:RC造4階建て病院、給排水衛生・空調・電気設備工事
課題の背景
病院新築工事において、天井内スペースに給排水配管、空調ダクト、電気配管が輻輳する箇所が多く、各設備業者の作業タイミングが重複すると手待ち時間が発生し、工程遅延につながることが懸念された。特に、病室フロアの天井内は機器・配管が密集しており、作業調整が工程管理上の重要課題であった。
検討内容
複数業者の作業調整について、以下の点を検討した。
- 施工順序の最適化
- 作業エリアの区分け
- 情報共有の仕組み
実施した対策
BIMを活用した3D干渉チェックを施工前に実施し、配管・ダクトの取合い箇所を事前に特定した。施工順序は「排水管→給水管→空調ダクト→電気配線」と定め、各業者に周知した。フロアを4つのゾーンに分割し、各ゾーンで上記順序に従って作業を進めるローテーション方式を採用した。毎朝8時から15分間の職長ミーティングを実施し、当日の作業エリアと作業内容を確認・調整した。
得られた結果
BIMによる事前調整と施工順序の明確化により、各業者の手待ち時間を最小化し、天井内設備工事を予定工期内に完了することができた。取合い不良による手戻り作業もゼロであった。
例文4:改修工事の工程管理
想定される工事概要:RC造6階建てオフィスビル、空調設備改修工事、営業中の建物
課題の背景
営業中のオフィスビルにおける空調設備改修工事であり、作業時間が平日18時から翌朝6時までの夜間作業に限定されていた。通常工期60日間の工事を、夜間作業のみで45日間の工期に収める必要があり、1日あたりの作業効率向上が工程管理上の重要課題であった。
検討内容
夜間作業での工期短縮について、以下の点を検討した。
- 作業の効率化と短縮策
- 資材搬入・搬出のタイミング
- 翌日の営業に影響を与えない養生・清掃
実施した対策
空調機器の更新は、既設機器の撤去から新設機器の設置・試運転までを1フロアごとに連続して行う集中施工方式を採用した。新設機器は前日までに搬入し、作業開始と同時に設置作業に着手できる体制とした。ダクト・配管の接続部は工場でフランジ加工し、現場ではボルト締めのみとすることで接続時間を短縮した。毎朝5時30分から清掃を行い、6時には原状復旧を完了させた。
得られた結果
集中施工方式と事前準備の徹底により、1フロアあたりの工期を当初計画の5日間から3日間に短縮し、工期45日間で全6フロアの改修を完了することができた。営業への影響もゼロであった。
例文5:試験調整期間の確保
想定される工事概要:S造2階建て食品工場、給排水衛生・空調設備工事
課題の背景
食品工場の新築工事において、設備の試運転調整は稼働前に必須であり、特に温湿度管理システムの調整には十分な期間が必要であった。工期の制約から試運転調整期間が当初2週間しか確保できず、調整不足のまま引き渡すリスクが懸念された。
検討内容
試運転調整期間の確保について、以下の点を検討した。
- 設備工事の工期短縮策
- 部分的な先行試運転の可能性
- 調整項目の優先順位付け
実施した対策
配管・ダクト工事において、プレハブユニット化を積極的に採用し、現場作業日数を20%削減した。また、系統ごとに工程を分け、完了した系統から順次試運転を開始する「分割試運転方式」を採用した。具体的には、1階の空調系統を先行完了させ、2階の工事中に1階の試運転調整を実施した。試運転調整の項目は重要度でA・B・Cにランク分けし、Aランク(温湿度制御、換気風量)を優先して調整した。
得られた結果
プレハブ化による工期短縮と分割試運転方式により、実質的な試運転調整期間を3週間確保することができた。温湿度管理システムは設計値(温度±1度、湿度±5%)を達成し、食品工場として問題なく稼働を開始することができた。
例文6:資材納入遅れへの対応
想定される工事概要:RC造3階建て店舗、給排水衛生設備工事
課題の背景
給水配管に使用するステンレス鋼管が、世界的な材料不足により納入が当初計画より3週間遅延する見込みとなった。配管工事の遅延は後続の保温工事、試験、試運転調整に影響を及ぼすため、工期遵守のための対策が工程管理上の重要課題であった。
検討内容
資材納入遅延への対応について、以下の点を検討した。
- 代替材料の検討
- 納入後の作業効率化
- 他作業との並行実施
実施した対策
設計者と協議し、給水配管の一部(PS内立て管)を同等の耐食性を持つ被覆銅管に変更することで、材料を即時調達できる範囲の工事を先行した。ステンレス鋼管が必要な横引き配管は、配管経路の墨出し・支持金物の先行取付けを行い、材料納入後すぐに配管作業に着手できる準備を完了した。配管作業は2班体制とし、1日あたりの施工数量を1.5倍に増加させた。
得られた結果
先行工事の実施と納入後の効率化により、3週間の遅延のうち2週間を回復し、最終的に計画工期内に工事を完了することができた。保温工事以降の工程も予定通り進み、引き渡し日を厳守した。
工程管理の記述で高得点を取るコツ
1. 日数・期間を具体的に記述する
工程管理では、日数の数値が説得力を持ちます。
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 工期を短縮した | 工期を5日間短縮した |
| 予備日を確保した | 試運転調整期間として2週間を確保した |
| 作業効率が向上した | 1日あたりの施工数量を1.5倍に増加させた |
2. 遅延の原因と対策を明確にする
「なぜ遅延が発生(または懸念)されるのか」→「どう対策したのか」を明確にします。
テンプレート:
〇〇という条件により、△△日間の遅延が懸念された。そこで、□□という対策を実施した結果、◇◇日間で完了(または◇◇日短縮)することができた。
3. 管工事特有のキーワードを使う
工程管理でよく使うキーワードを適切に使用しましょう。
- 取合い調整:異なる工事・業者間の接続部分の調整
- プレハブ化:工場での事前加工により現場作業を削減
- 先行配管:躯体工事に先立って行う配管工事
- 分割試運転:系統ごとに順次試運転を行う方式
- 搬入計画:大型機器の搬入時期・方法の計画
4. 関係者との調整を記述する
工程管理は一人では完結しません。関係者との調整も記述に含めましょう。
- 「建築工事と調整し、並行作業を実施した」
- 「週2回の工程会議で進捗を共有した」
- 「機器メーカーと納期を調整した」
よくある減点ポイントと対策
減点1:品質管理との混同
NG例:「水圧試験を実施して漏水がないことを確認した」
対策:品質管理の話になっている。工程管理では「水圧試験の期間を確保するため、配管工事を2日間前倒しした」などと記述する
減点2:数値が曖昧
NG例:「工期に余裕がなかったので作業を効率化した」
対策:「予定工期60日に対し45日間で完了した」など具体的な数値を入れる
減点3:対策の具体性不足
NG例:「工程管理を徹底した」
対策:何を、どのように管理したかを具体的に記述する(プレハブ化、2班体制、分割試運転など)
減点4:結果が不明確
NG例:「対策の結果、工事を完了できた」
対策:「予定工期内に完了」「5日間短縮」など、結果を数値で示す
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まとめ
令和8年度の2級管工事施工管理技士 第二次検定では、管工事特有の工程管理について具体的に記述することが求められます。
工程管理テーマで高得点を取るためのポイントをまとめます。
記述のポイント
- 遅延の原因・懸念事項を明確に特定する
- 具体的な日数・期間を必ず記述する(〇日短縮、〇日間の調整期間など)
- プレハブ化、分割試運転、並行作業など具体的な対策を記述する
- 建築工事や他設備との調整内容も含める
- 結果を数値で示す
工程管理は品質管理と混同しやすいテーマですが、「工期」「日数」「作業順序」に着目すれば区別できます。
この記事で紹介した例文を参考に、自分なりのパターンを複数用意しておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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