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令和8年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定を受験される方へ。
「経験記述の書き方がわからない」「どんな例文を参考にすればいいの?」という悩みをお持ちではありませんか。
1級電気工事施工管理技士の経験記述は、令和6年度から出題形式が変更され、与えられた施工条件に対して記述する形式になりました。令和8年度もこの形式が継続されると予想されます。
この記事では、工程管理・品質管理・安全管理の各テーマについて、電気工事特有の例文と高得点を取るためのポイントを詳しく解説します。
この記事でわかること
- 令和6年度からの新しい出題形式の特徴
- 工程管理テーマの経験記述例文
- 品質管理テーマの経験記述例文
- 安全管理テーマの経験記述例文
- 高得点を取るための記述のコツ
経験記述の新しい出題形式
令和6年度からの変更点
令和6年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定から、経験記述の出題形式が大きく変わりました。
従来の形式
- 自身が経験した電気工事について記述
- 工事概要を自分で作成
- 課題・対策を自由に記述
新しい形式
- 与えられた施工条件に基づいて記述
- 工事概要は問題文で提示
- 指定された観点から課題と対策を記述
出題パターン
令和6年度・令和7年度の出題パターンを踏まえると、以下の形式で出題されると予想されます。
問題1(工程管理)
次の施工条件において、工程管理上予測される問題点とその理由を述べ、あなたが講じる対策を記述せよ。
問題2(品質管理または安全管理)
次の施工条件において、品質管理(または安全管理)上の留意事項とその理由を述べ、あなたが講じる対策を記述せよ。
記述の構成
新形式では、以下の構成で記述することが求められます。
- 予測される問題点(課題):施工条件から導かれる課題
- 理由:なぜその問題が発生するのか
- 対策:具体的な解決策
工程管理の経験記述例文
例文1:高圧受電設備の工事(関連工事との輻輳)
施工条件(想定)
・RC造5階建て事務所ビル新築工事 ・高圧受電設備(キュービクル)新設 ・空調設備、給排水設備工事と同時並行 ・工期:着工から6ヶ月
予測される問題点
高圧受電設備の据付工事において、空調設備のダクト工事、給排水設備の配管工事と作業エリアが競合し、各設備工事の工程が遅延することが予測される。
理由
電気室および機械室周辺では、高圧受電設備のキュービクル搬入・据付作業、空調ダクトの吊り込み作業、給排水配管の敷設作業が同一時期に集中するため、作業スペースの確保が困難となり、各工事の進捗に影響が出るためである。
対策
- 施工計画段階で関連工事との工程調整会議を開催し、電気室周辺の作業を週単位でエリア分けして実施することとした。
- キュービクルの搬入は建方完了直後に先行して行い、据付・内部配線を他工事に先行して完了させた。
- 週間工程会議を毎週開催し、関連工事との作業競合を早期に把握して調整を行った。
例文2:大規模改修工事(施設運用中の工事)
施工条件(想定)
・S造3階建て商業施設の電気設備改修工事 ・営業時間:10時~21時 ・夜間作業を中心に実施 ・工期:2ヶ月
予測される問題点
商業施設が運用中であるため、電気工事の作業時間が夜間(21時~翌8時)に限定され、工程に余裕がなくなることが予測される。
理由
営業時間中は騒音を伴う作業や停電を伴う作業ができないため、作業可能な時間が1日あたり11時間に限定される。また、日中の準備作業と夜間の本作業の引継ぎにより、作業効率が低下するためである。
対策
- 事前に詳細な作業計画を作成し、夜間の作業時間を最大限有効活用できるよう、日中に資材の搬入・準備を完了させた。
- 作業員を2班体制とし、21時から翌3時、3時から8時の交代制で作業効率を向上させた。
- 停電を伴う切替作業は、週末深夜の閉店後に集中して実施し、営業への影響を最小化した。
例文3:幹線ケーブル敷設工事(大量資材の搬入)
施工条件(想定)
・RC造10階建てマンション新築工事 ・CVTケーブル(幹線)の敷設 ・エレベーター未設置の状態 ・工期:1ヶ月
予測される問題点
幹線ケーブルの敷設において、ケーブルドラムの搬入経路が限られ、各階への揚重作業に時間を要し、工程が遅延することが予測される。
理由
エレベーターが未設置の段階では、重量物である幹線ケーブル(CVT200sq、ドラム重量約500kg)を階段またはクレーンで揚重する必要があり、搬入に多大な時間と労力を要するためである。
対策
- 建築工程と調整し、エレベーターシャフトを利用したウインチによるケーブル揚重計画を立案した。
- ケーブルは各階ごとに必要長を算出して切り分け、小分けにして搬入することで揚重回数を最小化した。
- 揚重作業と敷設作業を並行して行う2班体制とし、作業効率を向上させた。
品質管理の経験記述例文
例文1:高圧受電設備の品質管理
施工条件(想定)
・RC造4階建て事務所ビル新築工事 ・高圧受電設備(屋外キュービクル) ・梅雨時期の施工 ・受電:8月予定
留意事項
梅雨時期の施工であるため、高圧受電設備内部への湿気侵入による絶縁性能の低下が懸念される。
理由
キュービクル内部の高圧機器は、湿気により絶縁抵抗が低下し、竣工検査時の絶縁抵抗測定で基準値を満足できない恐れがあるためである。特に変圧器、断路器などは湿気の影響を受けやすい。
対策
- キュービクル据付後は扉を密閉し、内部にシリカゲル等の乾燥剤を設置して湿気の侵入を防止した。
- 受電前に1,000Vメガーで絶縁抵抗を測定し、高圧回路で10MΩ以上を確認した。基準値を下回る場合はヒーターで乾燥させてから再測定した。
- 受電前の自主検査として、各保護継電器の動作試験を実施し、整定値通りに動作することを確認した。
例文2:接地工事の品質管理
施工条件(想定)
・S造2階建て工場新築工事 ・動力設備(400V級) ・接地工事(A種、C種、D種) ・砂利層の多い地盤
留意事項
砂利層が多い地盤条件であるため、接地抵抗値が規定値を満足できない恐れがある。
理由
砂利層は電気抵抗が高く、接地極を埋設しても十分な接地抵抗値が得られない。特にA種接地(10Ω以下)、C種接地(10Ω以下)の規定値を満足することが困難となるためである。
対策
- 事前に試験埋設を行い、地盤の電気抵抗率を測定して接地極の必要本数を算出した。
- 接地極の埋設深さを深くし、砂利層を貫通して粘土層に達するまで打ち込んだ。
- 接地抵抗低減剤を使用し、接地極周辺の抵抗率を下げる処置を施した。
- 施工後に接地抵抗計で測定し、A種接地10Ω以下、C種接地10Ω以下、D種接地100Ω以下を確認した。
例文3:幹線ケーブルの品質管理
施工条件(想定)
・RC造8階建てマンション新築工事 ・高圧引込ケーブル、低圧幹線ケーブル ・EPS(電気シャフト)内敷設
留意事項
幹線ケーブルの敷設において、ケーブルの損傷による絶縁不良が懸念される。
理由
EPSシャフト内でのケーブル敷設は、狭隘なスペースでの作業となり、ケーブル被覆の損傷や過度な曲げによる絶縁性能の低下が発生する恐れがあるためである。
対策
- ケーブル敷設時は、許容曲げ半径(外径の6倍以上)を確保し、過度な曲げを防止した。
- 貫通部にはゴムブッシングを取り付け、ケーブル被覆の損傷を防止した。
- 敷設完了後に500Vメガーで絶縁抵抗を測定し、低圧回路で1MΩ以上を確認した。
- ケーブル端末処理は、専用工具を使用して確実に行い、導体の露出がないことを目視確認した。
安全管理の経験記述例文
例文1:高所作業における安全管理
施工条件(想定)
・RC造6階建てマンション新築工事 ・照明器具取付工事 ・天井高さ3.5m ・高所作業車使用
留意事項
高所作業車を使用した照明器具取付作業において、墜落災害および挟まれ災害が懸念される。
理由
高所作業車のバスケット内での作業は、身を乗り出した際の墜落リスクがあり、また、バスケットの昇降時に天井仕上げ材との挟まれ事故が発生する恐れがあるためである。
対策
例文2:感電防止の安全管理
施工条件(想定)
・商業施設の電気設備改修工事 ・既存分電盤からの分岐増設 ・活線近接作業 ・夜間作業
留意事項
既存分電盤への分岐増設作業において、活線近接作業による感電災害が懸念される。
理由
商業施設の営業を継続しながらの改修工事であるため、既存分電盤の主幹は活線状態となる。夜間作業で照度が不足する中での活線近接作業は、感電リスクが高くなるためである。
対策
- 作業前に低圧電気取扱者の特別教育修了者であることを確認し、有資格者のみで作業を行った。
- 活線部分には絶縁カバーを取り付け、作業範囲を明確に区分した。
- 作業者には絶縁手袋、絶縁靴を着用させ、絶縁工具を使用して作業を行った。
- 投光器を設置して作業エリアの照度を300ルクス以上確保し、視認性を向上させた。
- 作業手順書を作成し、2人1組で相互確認しながら作業を進めた。
例文3:重量物取扱いの安全管理
施工条件(想定)
・RC造3階建て事務所ビル新築工事 ・高圧受電設備(キュービクル)の搬入・据付 ・キュービクル重量:3,000kg ・クレーン使用
留意事項
キュービクルの搬入・据付作業において、重量物の落下・転倒による災害が懸念される。
理由
重量3トンのキュービクルをクレーンで吊り上げ、基礎上に据え付ける作業は、吊り荷の落下や転倒の危険があり、重大災害につながる恐れがあるためである。
対策
- 玉掛け作業は、玉掛け技能講習修了者が行い、クレーン運転は移動式クレーン運転士免許保有者が担当した。
- 吊り角度を60度以内とし、4点吊りでバランスを確保した。吊り荷の下には作業員を立ち入らせないよう、立入禁止区域を設定した。
- 据付時はキュービクルの水平を確認し、アンカーボルトで確実に固定した後、吊り具を外した。
- 作業前に作業手順書を作成し、合図者を指名して、クレーンオペレーターとの合図を統一した。
高得点を取るための記述のコツ
1. 具体的な数値を入れる
抽象的な表現ではなく、具体的な数値を入れることで説得力が増します。
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 十分な絶縁抵抗を確保 | 1MΩ以上の絶縁抵抗を確保 |
| 接地抵抗を低く抑えた | 接地抵抗10Ω以下を確保 |
| 高所作業に注意した | 高さ3.5mの作業にフルハーネス型を使用 |
2. 電気工事特有の用語を使う
電気工事の専門用語を正しく使うことで、技術力をアピールできます。
使用すべき専門用語の例
- 絶縁抵抗、接地抵抗
- キュービクル、受変電設備
- CVTケーブル、幹線
- 保護継電器、インターロック
- 単線結線図
3. 因果関係を明確にする
「問題点→理由→対策」の流れを明確に記述します。
テンプレート
【問題点】〇〇という状況において、△△という問題が予測される。 【理由】□□という条件があるため、◇◇が発生するおそれがあるためである。 【対策】上記の問題を防止するため、◎◎という対策を講じた。
4. 複数の対策を挙げる
対策は3つ以上挙げることで、多角的な視点をアピールできます。
対策の構成例
- 計画段階での対策(事前検討、計画書作成等)
- 施工段階での対策(具体的な施工方法)
- 確認段階での対策(検査、試験、記録等)
5. 施工条件を踏まえる
新形式では、与えられた施工条件を踏まえた記述が求められます。
施工条件の読み取りポイント
- 建物の用途(事務所、商業施設、工場等)
- 工事の種類(新築、改修、増設等)
- 工期の制約
- 特殊な条件(運用中、夜間作業等)
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1級電気工事施工管理技士の第二次検定対策に、以下の記事もご活用ください。
- 1級電気工事施工管理技士 第二次検定の出題傾向と対策 - 記述式問題全体の対策ができます
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- 1級電気工事施工管理技士の過去問攻略法 - 出題傾向の分析に役立ちます
まとめ
令和8年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定に向けて、経験記述のポイントをまとめます。
出題形式のポイント
- 与えられた施工条件に基づいて記述する新形式が継続
- 工程管理、品質管理、安全管理のテーマで出題
- 問題点・理由・対策の構成で記述
記述のポイント
- 具体的な数値(抵抗値、高さ、重量等)を入れる
- 電気工事特有の専門用語を正しく使う
- 因果関係を明確にして論理的に記述
- 対策は3つ以上挙げて多角的にアプローチ
準備のポイント
- 各テーマの例文パターンを複数用意しておく
- 高圧受電設備、幹線工事、接地工事など電気工事特有の内容を整理
- 施工条件の変化に対応できる「部品」を準備しておく
経験記述は、1級電気工事施工管理技士 第二次検定の合否を分ける重要な問題です。この記事の例文を参考に、自分なりのパターンを準備して試験に臨みましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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