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令和8年度の1級電気工事施工管理技士 第二次検定で、施工計画に関する対策は万全ですか?
「施工計画って具体的にどんな内容を書けばいいの?」「大規模工事での施工計画のポイントは?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
1級電気工事施工管理技士の施工計画では、大規模電気設備工事における事前検討事項と具体的な施工方法の計画を、論理的に記述することが求められます。
この記事では、施工計画に関する経験記述の例文を複数パターン紹介し、高得点を狙うための書き方のコツを解説します。
この記事でわかること
- 電気工事における施工計画の基本概念
- 1級特有の大規模工事での施工計画ポイント
- 施工計画書に記載すべき項目
- 工事別の経験記述例文
- 施工計画立案時の検討事項
電気工事における施工計画とは
施工計画の定義
電気工事における施工計画とは、工事を安全・品質・工期・コストの面で最適に遂行するために、事前に施工方法・手順・体制などを計画することです。
1級電気工事施工管理技士として求められる施工計画は、2級よりも高度な内容となります。
| 項目 | 2級レベル | 1級レベル |
|---|---|---|
| 対象工事規模 | 小〜中規模工事 | 大規模工事(4,000万円以上) |
| 計画範囲 | 担当工事の施工計画 | 工事全体の総合施工計画 |
| 検討深度 | 基本的な施工方法の計画 | 代替案の比較検討、リスク評価 |
| 関連調整 | 限定的 | 発注者・設計者・関連業者との総合調整 |
施工計画書の構成
施工計画書には、一般的に以下の項目を記載します。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 工事概要 | 工事名称、工事場所、工期、契約金額 |
| 工事組織 | 現場組織体制、連絡体制、緊急時対応 |
| 施工方法 | 各工種の施工手順、使用機材、品質管理方法 |
| 工程計画 | マスター工程表、月間・週間工程表 |
| 安全計画 | 安全管理体制、危険作業の対策 |
| 品質計画 | 品質管理項目、検査方法、判定基準 |
| 仮設計画 | 仮設電源、仮設照明、資材置場 |
| 環境対策 | 騒音・振動対策、廃棄物処理 |
施工計画立案の流れ
施工計画は、以下の流れで立案します。
- 設計図書の確認:仕様書、図面、特記事項の把握
- 現場調査:現場状況、搬入経路、既設設備の確認
- 施工方法の検討:代替案の比較、最適な方法の選定
- 工程計画の作成:必要工期の算出、マイルストーンの設定
- リソース計画:作業員、資材、機材の手配計画
- リスク評価:想定されるリスクと対策の検討
- 施工計画書の作成:上記内容を文書化
1級特有の大規模工事での施工計画ポイント
大規模電気工事の特徴
1級電気工事施工管理技士が担当する大規模工事(ビル、工場、プラント)では、以下のような施工計画上の検討事項があります。
| 工事規模 | 施工計画上の検討事項 |
|---|---|
| 大規模ビル | 縦系統の施工順序、複数フロアの同時進行 |
| 工場 | 生産ラインへの影響最小化、仮設電源の計画 |
| プラント | 長期工事の段階的施工、試運転調整期間の確保 |
| データセンター | 無停電切替、冗長性の確保 |
1級ならではの施工計画視点
1. 総合的な施工計画
- 工事全体を俯瞰した計画立案
- 関連工事(建築・機械設備)との調整
- 発注者・設計者との協議
2. 代替案の比較検討
- 複数の施工方法の比較
- コスト・工期・品質・安全の観点からの評価
- 最適案の選定と根拠の明確化
3. リスク管理
- 想定されるリスクの洗い出し
- リスク対策の事前計画
- 緊急時の対応計画
施工計画の経験記述例文【工事別】
例文1:高圧受電設備の施工計画(大規模ビル)
想定される施工条件:S造15階建てオフィスビル新築工事、高圧受電設備(キュービクル3面)、契約電力1,500kW
事前に検討した事項
高圧受電設備(キュービクル3面、総重量約6トン)の施工計画において、大型機器の搬入経路と据付方法、および電力会社との受電調整について事前検討を行った。
検討の理由
キュービクルは工場で組立・試験を完了した状態で搬入するため、分割搬入が困難である。搬入経路の制約(エレベーター寸法、通路幅)により、搬入可能な機器サイズが限定される。また、電力会社の受電審査から受電までに約3ヶ月を要するため、早期の申請準備が必要であった。
検討内容と決定した施工方法
第一に、搬入経路について検討した。地下電気室への搬入は、建物完成前の躯体工事段階で屋上開口部からクレーン吊り下ろしを行う案と、完成後にエレベーターシャフトを利用する案を比較した。躯体工事段階での搬入は、建築工程との調整が必要だが、大型機器(幅1,800mm、奥行1,200mm、高さ2,300mm)の搬入が可能であるため、この方法を採用した。
第二に、据付方法について検討した。チャンネルベースの耐震施工は、アンカーボルトの埋込方式と後施工アンカー方式を比較した。設計基準強度(Fc=24N/mm2)を確保するため、コンクリート打設時にアンカーボルト(M16×8本/面)を埋め込む方式を採用し、建築工事との調整を行った。
第三に、電力会社との受電調整について、着工直後に高圧引込申請書を提出し、受電審査を早期に開始した。審査期間中に構内第1柱の建柱、高圧ケーブルの敷設を完了させ、審査完了後直ちに電力会社側工事に着手できる工程とした。
結果
これらの施工計画により、キュービクル搬入を躯体工事完了の2週間後に完了し、予定通りの受電日(竣工2ヶ月前)に受電することができた。建築工事との調整も円滑に進み、手戻りなく施工を完了できた。
例文2:幹線・動力設備の施工計画(工場)
想定される施工条件:RC造2階建て製造工場、動力負荷800kW、ケーブルラック総延長1,500m
事前に検討した事項
大規模製造工場の幹線・動力設備工事において、大容量ケーブル(CVT200平方ミリメートル)の敷設方法と、多数のモーター(計50台)への配線ルートについて事前検討を行った。
検討の理由
大容量ケーブルは重量があり(約3.5kg/m)、長距離敷設には多くの人員と適切な敷設方法が必要である。また、工場内のケーブルラックは天井高6m以上の高所に設置され、高所作業の安全対策が重要であった。さらに、生産機械への動力配線は、機械メーカーの据付工程と連動する必要があった。
検討内容と決定した施工方法
第一に、ケーブル敷設方法について検討した。人力による引き入れと、ケーブルウインチによる機械化施工を比較した。ケーブル長が50mを超える区間では、ウインチを使用することで作業効率が向上し、ケーブルへの損傷リスクも低減できるため、ウインチ工法を採用した。ケーブルの許容張力(1,000N)を超えないよう、張力計でモニタリングしながら敷設する計画とした。
第二に、ケーブルラック敷設の施工順序について検討した。幹線ラック(主幹線)を先行敷設し、その後に分岐ラックを敷設する順序とした。高所作業は、幅1.2m以上の作業床を持つ高所作業車を使用し、脚立や可搬式足場の使用を最小限に抑える計画とした。
第三に、動力配線の工程計画について、機械メーカーの据付工程表を入手し、機械据付完了の2週間前にケーブル敷設を完了させる工程を策定した。機械メーカーとの週次打合せで、据付進捗を確認しながら配線作業を進める体制を構築した。
結果
これらの施工計画により、ケーブル敷設を計画通りに完了し、50台のモーターすべてに予定通り通電することができた。機械メーカーとの連携も円滑に進み、工場の操業開始日に間に合わせることができた。
例文3:既設設備の更新工事(商業施設)
想定される施工条件:運用中の大型商業施設、受変電設備の更新工事、営業継続が条件
事前に検討した事項
運用中の大型商業施設における受変電設備更新工事において、営業を継続しながら設備を更新するための仮設計画と、停電作業の実施計画について事前検討を行った。
検討の理由
商業施設は年中無休で営業しており、全館停電は売上損失と顧客への影響が大きい。既設の高圧受電設備(6.6kV、契約電力2,000kW)を新設備に更新するには、一時的に仮設電源で営業を維持しながら、既設設備の撤去と新設設備の据付を行う必要があった。
検討内容と決定した施工方法
第一に、仮設電源計画について検討した。発電機車(500kVA×4台)による仮設電源と、仮設の高圧引込による方式を比較した。発電機車は騒音(85dB以上)と排気ガスの問題があるため、仮設の高圧引込線を新設し、仮設キュービクル(1,000kVA)から営業用電源を供給する方式を採用した。仮設キュービクルは屋上駐車場に設置し、既存の負荷を仮設系統に切り替えてから本設工事を行う計画とした。
第二に、停電作業計画について検討した。停電範囲を最小限に抑えるため、施設を4ブロックに分割し、ブロックごとに順次切替を行う方式を採用した。各ブロックの停電時間は閉店後の4時間以内とし、翌日の営業開始までに通電を完了させる計画とした。停電作業は毎週水曜日の夜間に実施し、4週間で全ブロックの切替を完了させる工程とした。
第三に、関係者との調整について、施設管理者、テナント、警備会社との事前打合せを実施し、停電日程と影響範囲を周知した。各テナントには停電3週間前に文書で通知し、冷蔵・冷凍機器を持つテナントには個別に対応を協議した。
結果
これらの施工計画により、商業施設の営業を継続しながら受変電設備の更新を完了した。計画通り4週間で全ブロックの切替を完了し、テナントからのクレームもなく工事を終えることができた。
例文4:再生可能エネルギー設備の施工計画(メガソーラー)
想定される施工条件:太陽光発電設備(2MW)、パネル約6,000枚、屋外設置
事前に検討した事項
メガソーラー発電設備(2MW)の施工計画において、大量の太陽光パネル(約6,000枚)の効率的な設置方法と、パワーコンディショナー(500kW×4台)の据付・系統連系計画について事前検討を行った。
検討の理由
太陽光パネルの設置は、天候に左右される屋外作業が中心となる。梅雨時期や台風シーズンを避けた施工期間の設定と、限られた好天日を最大限活用する施工計画が必要であった。また、系統連系には電力会社との協議・申請に約6ヶ月を要するため、早期の手続き開始が必要であった。
検討内容と決定した施工方法
第一に、施工時期と工程計画について検討した。年間の日照時間と降水量のデータを分析し、施工適期を9月〜12月と設定した。工程はパネル設置を先行し、電気配線・試験は後工程とすることで、天候リスクを軽減する計画とした。パネル設置は1日あたり100枚を目標とし、60日間で設置完了する工程を策定した。
第二に、パネル設置方法について検討した。作業効率を向上させるため、パネルの仮置場を設置エリアの近傍に分散配置し、運搬距離を最小化した。設置作業は4班体制(各班5名)とし、架台組立班とパネル取付班を分離することで、作業の効率化を図った。
第三に、系統連系計画について、着工の6ヶ月前に電力会社への系統連系申請を行い、連系協議を早期に開始した。連系点(既設高圧配電線)の増強工事が必要となることが判明したため、電力会社工事の工程を考慮した全体工程を策定した。パワーコンディショナーの試運転調整は、系統連系の1ヶ月前に完了させる計画とした。
結果
これらの施工計画により、予定した12月末に系統連系を完了し、固定価格買取制度の認定期限内に発電を開始することができた。天候不順による作業中止日は計10日間であったが、好天時の作業効率向上により工程を遵守できた。
例文5:特殊環境下の施工計画(防爆区域)
想定される施工条件:化学プラントの電気設備工事、防爆区域での照明・動力設備設置
事前に検討した事項
化学プラントの防爆区域(Zone 1)における電気設備工事において、防爆機器の選定と施工方法、および安全な作業環境の確保について事前検討を行った。
検討の理由
防爆区域では、可燃性ガスの存在により電気火花が爆発・火災を引き起こすおそれがある。使用する電気機器は防爆構造(耐圧防爆、本質安全防爆など)が必要であり、施工方法も防爆性能を損なわないよう厳格な管理が求められた。また、作業中の火気使用が制限されるため、施工方法の制約についても検討が必要であった。
検討内容と決定した施工方法
第一に、防爆機器の選定について検討した。設置区域の危険場所区分(Zone 1)と、対象ガスの発火度・爆発等級を確認し、耐圧防爆構造(Exd)の照明器具と、本質安全防爆構造(Exi)の計装機器を選定した。機器選定にあたっては、防爆検定合格品であることを機器承認図で確認し、発注者の承認を得た。
第二に、配線方法について検討した。防爆区域内の配線は、厚鋼電線管によるねじ接続を採用し、薄鋼電線管や合成樹脂管の使用を禁止した。管端には防爆パッキン(シーリング)を設置し、ガスの管内侵入を防止する計画とした。配線作業後は、気密試験(0.05MPa×10分間)を実施し、漏れがないことを確認する手順を策定した。
第三に、施工時の安全対策について検討した。防爆区域での作業は、プラント運転部門との連絡を密にし、ガス検知器で可燃性ガス濃度を常時監視しながら行う計画とした。溶接・切断作業は原則禁止とし、やむを得ず火気を使用する場合は、火気使用許可証を取得し、消火器配置と監視員配置を義務付けた。
結果
これらの施工計画により、防爆区域の電気設備工事を無災害で完了した。竣工検査において、防爆性能の確認試験(気密試験、絶縁抵抗試験)に合格し、プラントの安全な運転開始に貢献できた。
施工計画の記述で高得点を取るコツ
1. 事前検討の論理性を示す
施工計画では、なぜその施工方法を選んだのかという論理性が重要です。
| 記述要素 | 内容 |
|---|---|
| 検討事項 | 何について検討したか |
| 検討理由 | なぜその検討が必要だったか |
| 比較検討 | 複数案の比較と評価 |
| 決定理由 | 選択した施工方法とその根拠 |
2. 1級ならではの視点を入れる
1級電気工事施工管理技士の経験記述では、監理技術者としての計画立案能力が求められます。
| 2級的な記述 | 1級的な記述 |
|---|---|
| 施工方法を決めた | 複数の施工方法を比較検討し、コスト・工期・安全性の観点から最適な方法を選定した |
| 工程を計画した | クリティカルパスを明確にし、リスク要因を考慮したバッファーを設けた工程を策定した |
| 関係者と調整した | 発注者・設計者・関連業者との協議組織を設置し、定期的な調整会議で課題を解決した |
3. 具体的な数値・仕様を入れる
施工計画では、具体的な数値や仕様を示すことで説得力が増します。
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 機器仕様 | キュービクルを設置 | キュービクル(幅1,800mm×奥行1,200mm×高さ2,300mm、重量2トン/面) |
| ケーブル | 大容量ケーブルを敷設 | CVT200平方ミリメートル(許容電流435A)を敷設 |
| 期間 | 早期に申請 | 着工6ヶ月前に系統連系申請を提出 |
4. 施工計画用語を正しく使う
施工計画でよく使う用語を正確に使いましょう。
- 施工計画書:施工方法・手順・体制などを記載した計画書
- 施工要領書:特定の作業の詳細な手順を記載した文書
- 機器承認図:機器の仕様・外形寸法を示した図面
- 施工図:現場での施工に使用する詳細図面
- 総合図:各設備の位置関係を示した図面
まとめ
1級電気工事施工管理技士の第二次検定において、施工計画は重要な出題分野です。
施工計画テーマで高得点を取るためのポイント
-
事前検討の内容を明確に示す
- 何を、なぜ、どのように検討したかを論理的に記述
-
複数案の比較検討を示す
- 代替案を比較し、選択した理由を明確に
-
1級ならではの視点で記述する
- 工事全体の計画立案、関係者調整、リスク管理など
-
具体的な数値・仕様を入れる
- 機器仕様、ケーブルサイズ、工程期間などを明記
-
結果と効果を示す
- 施工計画により得られた成果を記述
この記事で紹介した例文を参考に、様々な工事条件に対応できる引き出しを増やしておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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