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「施工計画の経験記述、何を書けばいいかわからない...」
1級建築施工管理技士の第二次検定で、多くの受験者が悩むのが施工計画テーマの経験記述です。
施工計画は、工事を成功させるための「設計図」とも言えるもの。試験では、あなたが実際に経験した工事において、どのような課題を見出し、どのような計画を立案・実施したかを具体的に記述することが求められます。
この記事では、令和8年度の試験に向けて、施工計画の経験記述の書き方の手順、工種別の例文、高得点を取るためのコツを詳しく解説します。
この記事でわかること
施工計画の経験記述で求められること
施工計画とは
施工計画とは、工事を安全・品質・工程・原価の観点から最適に遂行するための計画です。具体的には以下の内容を含みます。
| 計画項目 | 内容 |
|---|---|
| 仮設計画 | 足場、仮囲い、仮設電気・給排水、揚重計画 |
| 工程計画 | 全体工程、月間工程、週間工程の作成 |
| 施工方法 | 各工種の施工手順、使用機械、必要人員 |
| 品質管理計画 | 品質基準、検査方法、管理値 |
| 安全衛生計画 | 安全対策、KY活動、安全教育 |
| 環境対策 | 騒音・振動対策、近隣対策 |
第二次検定での出題形式
令和6年度からの新形式では、以下のような流れで出題されます。令和8年度もこの形式が継続されると予想されます。
- 工事概要(新築・解体・改修など)が複数提示される
- 1つの工事概要を選択する
- 選択した工事に対する施工計画上の課題を特定する
- 課題に対する検討内容と実施した対策を記述する
- 得られた結果を記述する
求められる記述のレベル
1級の施工計画では、大規模工事の施工管理経験を踏まえた記述が求められます。
| 項目 | 1級に求められるレベル |
|---|---|
| 工事規模 | 請負金額1億円以上の経験が望ましい |
| 課題の複雑さ | 複数の条件が絡む複合的な課題 |
| 対策の具体性 | 数値・工法名・機械名を明記 |
| 結果の検証 | 定量的な成果(日数、コスト削減等) |
書き方の5ステップ
ステップ1:工事概要の選択と分析
まず、提示された工事概要を読み、自分の経験に最も近いものを選びます。
選択のポイント:
- 自分が経験した工事と構造・規模が近いもの
- 具体的な対策を複数記述できるもの
- 数値データを示せる経験があるもの
ステップ2:課題の特定
工事概要を踏まえて、施工計画上の課題を特定します。
課題を見つける視点:
- 現場条件(狭隘地、近隣環境、地盤条件)
- 工期条件(短工期、繁忙期との重複)
- 施工条件(複雑な構造、特殊な仕様)
- 品質条件(高い精度要求、特殊材料)
ステップ3:検討内容の記述
課題に対して、どのような検討を行ったかを記述します。
検討内容のテンプレート:
〇〇という課題に対して、以下の点について検討した。
1. △△の方法
2. □□の手順
3. ◇◇のタイミング
ステップ4:実施した対策の記述
検討の結果、実際に実施した対策を具体的に記述します。
対策記述のポイント:
- 具体的な数値を含める(寸法、日数、数量)
- 使用した工法・材料・機械名を明記
- 実施したタイミングを記述
ステップ5:得られた結果の記述
対策を実施した結果、どのような成果が得られたかを記述します。
結果記述のテンプレート:
これらの対策により、〇〇を達成することができた。
具体的には、△△が□□%向上した(または□日短縮した)。
施工計画の例文集【工種別】
例文1:仮設計画(大規模RC造マンション)
想定される工事概要:RC造15階建て分譲マンション、延床面積12,000平方メートル、都市部の狭隘地
課題の背景
都市部の狭隘地での大規模RC造工事であり、敷地が狭く資材ヤードが確保できないこと、隣接地との離隔が1.5mしかないことから、仮設計画(資材の搬入・揚重計画、外部足場計画)の立案が重要な課題であった。
検討内容
施工計画上の課題に対して、以下の3点について検討した。
- 資材ヤードを最小限に抑えるための搬入計画
- 狭隘地での揚重機の選定と配置計画
- 隣地との離隔が少ない箇所の外部足場計画
実施した対策
資材の搬入は、JIT(ジャストインタイム)方式を採用し、型枠材・鉄筋は各階の施工に合わせて3日分ずつ搬入することとした。搬入スケジュールは2週間前に各業者と調整し、搬入時刻を30分単位で指定した。
揚重機は、ブーム長45m、定格荷重2.5tのタワークレーンを建物北東角に1基設置した。吊り荷の到達範囲を3D-CADでシミュレーションし、建物全体をカバーできることを確認した。
隣地側の外部足場は、建物から600mmの位置に設置する必要があったため、狭所対応型のくさび緊結式足場を採用し、墜落防止用として先行手すりを全面に設置した。
得られた結果
これらの施工計画により、資材ヤードは計画面積の70%に抑えることができ、搬入の待ち時間も1日あたり平均15分以内に収まった。工期は当初計画通りの18ヶ月で完成し、近隣からの苦情もなく竣工した。
例文2:躯体工事の施工計画(S造工場)
想定される工事概要:S造平屋建て工場、建築面積5,000平方メートル、スパン30m超の大空間
課題の背景
スパン30mを超える大空間のS造工事であり、柱梁接合部の精度確保と、大型鉄骨の建方・建入れ調整が施工計画上の重要な課題であった。特に、天井クレーン設置に伴い、レール取付け精度±3mmを確保する必要があった。
検討内容
躯体工事の施工計画について、以下の点を検討した。
- 大型鉄骨の搬入・建方方法
- 建入れ精度の管理方法
- 柱脚部のアンカーボルト設置精度の確保方法
実施した対策
大型鉄骨(重量:柱25t、梁18t)の建方は、250tクローラークレーンを使用し、1日あたり柱4本、梁2本のペースで施工した。搬入は夜間(22時〜5時)に行い、交通規制を実施して道路から直接吊り上げる方法とした。
建入れ精度は、トータルステーションを用いて柱1本ずつ測定し、柱の倒れを高さの1/1000以内(30m柱で30mm以内)に管理した。調整は仮ボルト締め後、本締め前に実施し、ジャッキで微調整を行った。
アンカーボルトは、3次元測量によりセット精度±2mmを確保した。コンクリート打設時の変位防止として、専用の固定治具を使用し、打設中も30分ごとに位置確認を行った。
得られた結果
施工計画に基づく施工管理により、柱の建入れ精度は全本数で高さの1/1000以内を達成した。天井クレーンレールの取付け精度も±3mmを満足し、クレーンメーカーの検査に一発合格した。建方工程は計画通り45日で完了した。
例文3:仕上げ工事の施工計画(病院改修)
想定される工事概要:RC造5階建て総合病院の改修工事、延床面積8,000平方メートル、居ながら改修
課題の背景
病院機能を維持しながらの居ながら改修工事であり、入院患者・外来患者への影響を最小限に抑えつつ、内装仕上げ工事を実施する施工計画の立案が重要な課題であった。特に、感染症対策として粉塵飛散防止が厳しく求められた。
検討内容
居ながら改修の施工計画について、以下の点を検討した。
- 工事エリアと病院運営エリアの区画方法
- 粉塵・騒音対策の方法
- 患者の動線と工事動線の分離方法
実施した対策
工事エリアは、防炎シート(厚さ0.5mm)と軽量鉄骨下地による仮設間仕切りで完全に区画した。間仕切りは床から天井まで隙間なく設置し、出入口は二重扉とした。
粉塵対策として、工事エリア内に集塵機(風量30m3/分)を2台設置し、常時負圧を維持した。はつり作業・切断作業は防音シート(遮音性能25dB)で囲い、かつ病院の昼休み(12時〜13時)に集中して実施した。
患者動線と工事動線は完全に分離し、資材搬入は時間外(6時〜8時、18時〜20時)に限定した。工事関係者は専用出入口から入退場し、病院エリアへの立入りを禁止した。
得られた結果
これらの施工計画により、工事期間中の院内感染事故はゼロであった。患者からの騒音苦情も計3件のみで、いずれも軽微なものであった。工期は予定通り6ヶ月で完成し、病院機能を止めることなく改修を完了できた。
例文4:基礎工事の施工計画(軟弱地盤)
想定される工事概要:RC造4階建て事務所ビル、延床面積2,000平方メートル、N値5以下の軟弱地盤
課題の背景
計画地はN値5以下の軟弱地盤であり、場所打ちコンクリート杭の施工に際して、地下水位が高く(GL-1.5m)、孔壁崩壊と杭頭部の品質確保が施工計画上の重要な課題であった。
検討内容
場所打ち杭の施工計画について、以下の点を検討した。
- 掘削時の孔壁安定対策
- 地下水処理方法
- コンクリート打設時の品質管理方法
実施した対策
掘削工法は、孔壁安定性に優れたオールケーシング工法を採用した。ケーシングチューブは杭径+200mm(φ1,200mm)とし、掘削深度(GL-18m)の全長にわたり建て込んだ。
地下水対策として、ケーシング内は常時孔内水位を地下水位より1m以上高く保ち、ボイリングを防止した。掘削土砂の確認を1m掘進ごとに行い、支持層(N値50以上の砂礫層)への到達を土質サンプルで確認した。
コンクリート打設は、トレミー管工法を採用し、管先端を常にコンクリート中に2m以上挿入した状態を維持した。スランプ21cmの高流動コンクリートを使用し、打設速度は10m3/時を目安とした。
得られた結果
施工計画に基づく施工管理により、全32本の杭施工で孔壁崩壊事故はゼロであった。杭の支持力確認試験では、全本数で設計支持力の1.2倍以上を確認した。工程も計画通り40日で完了した。
例文5:外装工事の施工計画(超高層マンション)
想定される工事概要:RC造25階建て超高層マンション、外壁タイル張り仕上げ
課題の背景
超高層マンションの外壁タイル張り工事において、高所作業となることから足場計画と安全対策が重要であり、また外壁タイルの剥離防止のための品質確保が施工計画上の重要な課題であった。
検討内容
外装タイル工事の施工計画について、以下の点を検討した。
- 超高層に対応した足場計画
- 風対策・悪天候時の施工管理
- タイル接着品質の確保方法
実施した対策
足場は、ゴンドラ方式を採用した。ワイヤー固定点は屋上パラペット天端に100mm間隔でアンカー設置し、引張試験で固定強度10kN以上を確認した。ゴンドラは幅2mの2人乗りを6台同時運用した。
風速計を屋上に設置し、10分間平均風速10m/s以上でゴンドラ作業を中止とした。タイル張り作業は気温5度以上、35度以下の条件で実施し、雨天時・降雪時は中止とした。
タイル接着は、改良圧着張り工法を採用した。下地モルタル塗布後、専用プライマーを塗布し、張付けモルタルはオープンタイム20分以内に使用した。施工後は各階ごとに引張接着試験を実施し、0.6N/mm2以上を確認した。
得られた結果
施工計画に基づき、外壁タイル工事を無事故で完了した。引張接着試験の結果、全箇所で基準値0.4N/mm2を大幅に上回る0.8N/mm2以上を確保した。竣工後3年の定期点検でもタイル剥離はゼロであった。
高得点を取るための5つのポイント
ポイント1:具体的な数値を必ず入れる
施工計画では、数値による裏付けが非常に重要です。
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 寸法 | 大きな足場 | 幅600mmの足場 |
| 期間 | 十分な養生期間 | 28日間の養生期間 |
| 数量 | 複数の作業員 | 8名の作業員 |
| 能力 | 大型のクレーン | 250t吊りクローラークレーン |
ポイント2:工法名・材料名を正確に記述
専門用語を正しく使うことで、技術力をアピールできます。
記述すべき専門用語の例:
- 工法名:オールケーシング工法、トレミー管工法、改良圧着張り工法
- 材料名:高流動コンクリート、防炎シート、くさび緊結式足場
- 機械名:タワークレーン、トータルステーション、集塵機
ポイント3:課題→検討→対策→結果の流れを明確に
論理的な文章構成が高評価につながります。
基本構成:
【課題の背景】〇〇という条件があり、△△が課題であった。
【検討内容】課題に対して、以下の点を検討した。1.〜 2.〜 3.〜
【実施した対策】検討の結果、□□という対策を実施した。具体的には〜。
【得られた結果】これらの対策により、◇◇を達成した。
ポイント4:計画と実施の両方を記述
施工計画の記述では、「計画したこと」と「実際に実施したこと」の両方が求められます。
計画の記述例:
タワークレーンの配置は、3D-CADによるシミュレーションで検討し、建物北東角に設置することを計画した。
実施の記述例:
計画に基づきタワークレーンを設置し、吊り荷の到達範囲が建物全体をカバーできることを実地で確認した。
ポイント5:得られた成果を定量的に示す
結果は具体的な数値で示すと説得力が増します。
良い結果の記述例:
- 工期を10日短縮した
- コストを500万円削減した
- 不良率を0.5%以下に抑えた
- クレーム件数ゼロで竣工した
よくある減点パターンと対策
減点1:工事概要との不整合
NG例:S造の工事概要なのに、RC造の施工方法を記述
対策:解答前に選択した工事概要を再確認し、構造・規模に合った計画を記述する
減点2:施工計画ではなく施工管理の記述
NG例:「品質検査で不良品を発見し、交換した」(これは品質管理)
対策:施工計画は「事前の計画立案」に焦点を当て、管理・検査の記述は計画段階で定めた内容を書く
減点3:抽象的で具体性がない
NG例:「適切な養生を行った」「十分な安全対策を実施した」
対策:必ず具体的な方法・数値・期間を記述する
減点4:非現実的な内容
NG例:「100tの梁を手作業で建て込んだ」
対策:実際に経験した工事に基づき、技術的に妥当な内容を記述する
減点5:誤字脱字・用語の誤り
NG例:「コンクリートを塗った」(正しくは「打設した」)
対策:施工管理の用語集で正しい専門用語を確認し、普段から使う習慣をつける
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まとめ
令和8年度の1級建築施工管理技士 第二次検定でも、新形式での出題が継続されると予想されます。
施工計画テーマの経験記述で高得点を取るためのポイントをまとめます。
記述のポイント:
- 工事概要を正確に把握:構造・規模に合った課題を設定
- 課題→検討→対策→結果:論理的な流れで記述
- 具体的な数値:寸法・期間・数量を明記
- 専門用語:工法名・材料名・機械名を正確に使用
- 定量的な成果:結果は数値で示す
避けるべき減点パターン:
- 工事概要との不整合
- 施工計画と施工管理の混同
- 抽象的・非現実的な記述
- 誤字脱字・用語の誤り
この記事で紹介した例文を参考に、自分の経験に基づいたパターンを複数用意しておきましょう。過去問演習と合わせて、しっかりと対策を進めてください。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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