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「品質管理の経験記述で何を書けばいいかわからない...」
1級建築施工管理技士の第二次検定において、品質管理は最も出題頻度の高いテーマの一つです。
品質管理とは、設計図書で求められた品質を確実に確保するための管理活動です。試験では、あなたが実際の工事で経験した品質上の課題と、それに対してどのような管理・対策を実施したかを具体的に記述することが求められます。
この記事では、令和8年度の試験に向けて、品質管理の経験記述の書き方、工種別の例文、高得点を取るためのテクニックを詳しく解説します。
この記事でわかること
- 品質管理の経験記述で求められる記述内容
- 品質管理の3つの視点(材料・施工・仕上がり)
- 工種別の例文集(コンクリート、鉄骨、タイル、防水など)
- 高得点を取るための5つのコツ
- よくある減点パターンと回避方法
品質管理の経験記述で求められること
品質管理とは
品質管理(Quality Control:QC)とは、設計図書・仕様書で定められた品質を確保するために、材料・施工方法・検査方法などを管理する活動です。
建築工事における品質管理の主な内容は以下の通りです。
| 管理項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 材料管理 | 材料の規格確認、搬入検査、保管管理 |
| 施工管理 | 施工手順の遵守、施工精度の管理 |
| 検査管理 | 各工程での検査実施、記録の保管 |
| 品質記録 | 試験成績書、検査記録の管理 |
品質管理の3つの視点
第二次検定では、以下の3つの視点から品質管理を記述することが求められます。
1. 材料品質の確保
- コンクリートの強度、スランプ
- 鉄筋の規格、形状
- 仕上げ材料の品質、性能
2. 施工精度の管理
- かぶり厚さ、建入れ精度
- 墨出し精度、レベル精度
- 接合部の施工精度
3. 仕上がり品質の確保
- ひび割れ防止
- 剥離・浮き防止
- 防水性能の確保
令和8年度の出題形式(予想)
令和6年度からの新形式では、提示された工事概要に対して品質管理上の課題と対策を記述します。令和8年度もこの形式が継続されると予想されます。
出題の流れ:
- 3つの工事概要(新築・解体・改修)から1つを選択
- 選択した工事に対する品質管理上の課題を特定
- 課題に対する検討内容と実施した対策を記述
- 得られた結果を記述
品質管理の例文集【工種別】
例文1:コンクリート工事(強度管理)
想定される工事概要:RC造10階建てマンション、延床面積6,000平方メートル
課題の背景
高層RC造マンションの躯体工事において、設計基準強度Fc=30N/mm2を確実に確保することが重要な品質管理項目であった。特に、夏季施工(7月〜8月)となるため、コンクリートの温度管理とひび割れ防止が課題であった。
検討内容
コンクリートの品質確保について、以下の3点を検討した。
- 夏季施工に対応したコンクリートの配合設計
- 打設時の温度管理方法
- 養生方法と養生期間の設定
実施した対策
コンクリートの配合は、呼び強度を設計基準強度+3N/mm2の33N/mm2に設定し、暑中コンクリートとしての品質確保を図った。また、スランプ18cmを指定し、ワーカビリティの低下を防止した。
打設時は、生コン車到着時にコンクリート温度を測定し、35度以下であることを全車両で確認した。35度を超えた場合は打設不可とし、返品することを生コン会社と事前に合意した。打設は朝8時から開始し、13時までに完了させることで、最も暑い時間帯を避けた。
養生は、打設翌日から散水養生を開始し、養生マット(保水性シート)で覆った状態で7日間継続した。直射日光による急激な乾燥を防ぐため、養生マットは常に湿潤状態を保つよう1日3回の散水を実施した。
得られた結果
材齢28日の圧縮強度試験の結果、全ロットで設計基準強度30N/mm2を上回る34〜38N/mm2を記録した。躯体のひび割れ調査でも、0.3mm以上のひび割れは発生せず、良好な品質を確保できた。
例文2:コンクリート工事(かぶり厚さ管理)
想定される工事概要:RC造地下1階地上5階建て事務所ビル、延床面積3,500平方メートル
課題の背景
鉄筋コンクリート造建築物の耐久性を確保するため、かぶり厚さの確保が重要な品質管理項目であった。特に、梁・柱の交差部では鉄筋が輻輳し、設計かぶり厚さ40mmの確保が困難となることが予想された。
検討内容
かぶり厚さの品質確保について、以下の点を検討した。
- スペーサーの種類と配置計画
- 配筋検査の方法と基準
- 鉄筋の加工精度と組立精度の管理
実施した対策
スペーサーは、かぶり厚さ40mm確保用のドーナツ型スペーサー(コンクリート製)を使用し、柱・梁の主筋に対して1m2あたり4個以上を配置した。スラブ筋には高さ50mmのバーサポートを1m間隔で配置し、下端筋のかぶりを確保した。
配筋検査は、コンクリート打設前に全箇所で実施し、スケールによる実測でかぶり厚さ50mm以上(施工誤差+10mmを考慮)を確認した。検査結果は配筋検査チェックシートに記録し、監理者の承認を得た後に打設を行った。
梁・柱交差部の鉄筋干渉は、事前に3D-CADで配筋図を作成し、干渉箇所を特定した。干渉が発生する箇所は、監理者と協議の上、鉄筋の通し位置を調整し、現場での手直しを最小限に抑えた。
得られた結果
全階のコンクリート打設前配筋検査において、かぶり厚さ不足の指摘はゼロであった。竣工後の電磁波レーダー探査でも、全測定箇所で設計かぶり厚さ40mm以上を確認し、構造図通りの耐久性を確保できた。
例文3:鉄骨工事(溶接品質管理)
想定される工事概要:S造3階建て事務所ビル、延床面積2,500平方メートル、柱梁接合部は現場溶接
課題の背景
鉄骨造事務所ビルの建方工事において、柱梁接合部の現場溶接の品質確保が重要な管理項目であった。特に、接合部の溶接は構造上重要であり、完全溶込み溶接の健全性確保が課題であった。
検討内容
現場溶接の品質確保について、以下の点を検討した。
- 溶接技能者の資格確認と技量試験
- 溶接施工条件の管理
- 非破壊検査の実施計画
実施した対策
溶接作業は、JIS Z 3801に基づく溶接技能者資格(SA-3F、SA-3V)を保有する技能者のみが従事することとした。施工前に技量試験を実施し、外観検査および放射線透過試験で合格した者のみを配置した。
溶接施工は、WPS(溶接施工要領書)に従い、予熱温度50度以上、パス間温度350度以下を管理した。気温10度以下の場合は予熱温度を80度以上に上げ、風速2m/s以上の場合は防風対策を実施してから溶接を行った。
非破壊検査は、全接合部に対して超音波探傷試験(UT)を実施した。検査は第三者検査機関に委託し、JASS 6の判定基準に基づき全箇所合格を確認してから次工程に進むこととした。
得られた結果
超音波探傷試験の結果、1回目の検査で不合格となった箇所は全254箇所中3箇所(不合格率1.2%)であった。不合格箇所は溶接部を削り取って再溶接し、再検査で全箇所合格を確認した。最終的な溶接品質は基準を満足し、構造上の問題なく竣工した。
例文4:タイル工事(接着品質管理)
想定される工事概要:RC造6階建て共同住宅、外壁タイル張り(50角二丁掛タイル)
課題の背景
外壁タイル張り工事において、タイルの剥離・剥落は重大な事故につながるため、接着強度の確保が最も重要な品質管理項目であった。特に、北面は日照が少なく、張付けモルタルの硬化不良が懸念された。
検討内容
タイル接着品質の確保について、以下の点を検討した。
- 下地モルタルの調合と養生期間
- 張付けモルタルの管理基準
- 接着強度の確認方法と頻度
実施した対策
下地モルタルは、調合管理モルタル(既調合品)を使用し、金ごて仕上げ後、2週間以上の養生期間を確保した。北面については、特に入念に乾燥状態を確認し、含水率10%以下をデジタル水分計で測定してから次工程に移行した。
張付けモルタルは、専用ポリマーセメントモルタルを使用し、練混ぜから60分以内に使い切ることを厳守した。可使時間を超えたモルタルは廃棄とし、再使用を禁止した。タイル裏面には張付けモルタルを全面塗布し、もみ込み工法で圧着した。
接着強度の確認は、建物引渡し前に各面1箇所以上(合計12箇所)の引張接着試験を実施した。試験は第三者機関に委託し、基準値0.4N/mm2以上を合格判定基準とした。
得られた結果
引張接着試験の結果、全12箇所で基準値0.4N/mm2を大幅に上回る0.7〜1.0N/mm2を記録した。竣工後5年の定期点検(打診検査)でも、浮き・剥離は検出されず、良好な接着品質を維持していることを確認した。
例文5:防水工事(アスファルト防水)
想定される工事概要:RC造5階建て事務所ビル、陸屋根(アスファルト防水絶縁工法)
課題の背景
屋上アスファルト防水工事において、長期的な防水性能を確保するため、下地コンクリートの含水率管理と防水層の密着性確保が重要な品質管理項目であった。
検討内容
防水工事の品質確保について、以下の点を検討した。
- 下地コンクリートの含水率管理方法
- プライマー塗布量の管理
- アスファルトルーフィングの重ね幅と接着確認
実施した対策
下地コンクリートの含水率は、高周波水分計を用いて10m2ごとに測定し、含水率8%以下であることを確認してから施工を開始した。含水率が基準を超える箇所は、追加の乾燥期間を設けるか、部分的にトーチバーナーで乾燥させた。
プライマー(アスファルト系下塗材)は、塗布量0.3kg/m2を確保するため、計量器で使用量を管理した。塗布後は24時間以上の乾燥時間を設け、指触乾燥を確認してからルーフィング張りを行った。
アスファルトルーフィングは、重ね幅を長手方向100mm以上、幅方向150mm以上確保し、スケールで測定して記録した。アスファルトの溶融温度は240〜270度の範囲で管理し、施工中は定期的に温度計で確認した。
得られた結果
防水層完成後の24時間散水試験で漏水がないことを確認し、竣工引渡しを行った。竣工後3年の定期点検でも、防水層のふくれ・しわ・亀裂は発生せず、良好な防水性能を維持していることを確認した。
例文6:内装工事(石膏ボード張り)
想定される工事概要:RC造8階建てマンション、内壁・天井は石膏ボード張り
課題の背景
共同住宅の内装工事において、石膏ボード張りの品質確保が重要であった。特に、ボードジョイント部のひび割れ防止と、遮音性能の確保のための施工精度管理が課題であった。
検討内容
石膏ボード張りの品質確保について、以下の点を検討した。
- 軽量鉄骨下地の施工精度
- ボードの張り付け方法
- ジョイント処理の管理
実施した対策
軽量鉄骨下地は、スタッド間隔303mmを厳守し、水準器で垂直・水平を確認しながら施工した。下地の不陸は±3mm以内に管理し、基準を超える箇所は調整金具で補正した。
石膏ボード(厚さ12.5mm)は、ビス留め間隔をボード周辺部150mm、中間部200mmとし、ビス頭は表面より1mm程度沈み込ませた。ボード間の目地幅は3〜5mmを確保し、千鳥張りとして継ぎ目が一直線にならないようにした。
ジョイント処理は、ジョイントテープ貼り付け後、パテを3回塗り重ね、サンドペーパー(#120→#180)で平滑に仕上げた。仕上がり検査は1000lxの照明下で目視検査を行い、段差・しわがないことを確認した。
得られた結果
竣工検査において、ボードジョイント部のひび割れ指摘はゼロであった。入居後1年点検でも、乾燥収縮によるひび割れの報告はなく、遮音性能(界壁D-50以上)も測定により確認した。
高得点を取るための5つのコツ
コツ1:具体的な数値を必ず入れる
品質管理では、数値による裏付けが最も重要です。
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 強度 | 設計基準強度を確保 | Fc=30N/mm2以上を確保 |
| 温度 | 適切な温度で管理 | 35度以下で管理 |
| 含水率 | 乾燥状態を確認 | 含水率8%以下を確認 |
| 接着強度 | 基準値を満足 | 0.4N/mm2以上を確認 |
コツ2:検査方法を具体的に記述
品質管理では「どのように確認したか」が重要です。
記述すべき検査方法の例:
- 圧縮強度試験(材齢28日)
- 超音波探傷試験(UT)
- 引張接着試験
- 高周波水分計による含水率測定
- 打診検査
- 電磁波レーダー探査
コツ3:管理基準値を明記
品質管理には必ず基準値があります。これを記述することで技術力をアピールできます。
主な管理基準値:
- コンクリート温度:35度以下(夏季)、5度以上(冬季)
- かぶり厚さ:設計値以上
- 溶接判定:JASS 6基準
- タイル接着強度:0.4N/mm2以上
- 下地含水率:8〜10%以下
コツ4:JIS・JASS等の規格を引用
規格を引用することで、記述に説得力が増します。
引用すべき規格の例:
- JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)
- JIS Z 3801(溶接技能者資格)
- JASS 5(鉄筋コンクリート工事)
- JASS 6(鉄骨工事)
- JASS 19(陶磁器質タイル張り工事)
コツ5:PDCAサイクルを意識した記述
品質管理の基本であるPDCAサイクルを意識した記述が高評価につながります。
PDCAの記述例:
- Plan:品質基準値を設定し、検査計画を立案した
- Do:計画に基づき施工・検査を実施した
- Check:検査結果を基準値と照合し、合否を判定した
- Action:不合格の場合は是正処置を実施した
よくある減点パターンと対策
減点1:品質管理と安全管理の混同
NG例:「安全帯を使用して墜落防止を図った」(これは安全管理)
対策:品質管理は「材料品質・施工精度・仕上がり品質」に限定して記述する
減点2:工事概要との不整合
NG例:S造の工事概要なのに、コンクリートの品質管理を記述
対策:選択した工事概要の構造・仕様に合った品質管理を記述する
減点3:検査結果が曖昧
NG例:「検査の結果、問題なかった」
対策:「圧縮強度試験の結果、34N/mm2を記録し、設計基準強度30N/mm2を上回った」のように具体的に記述
減点4:専門用語の誤用
NG例:「コンクリートを塗った」(正:打設した)、「鉄筋を組み立てた」(正:配筋した)
対策:用語集で正しい専門用語を確認し、日頃から使い慣れておく
減点5:対策と結果の因果関係が不明確
NG例:対策を列挙するだけで、その結果との関連が記述されていない
対策:「〇〇という対策を実施した結果、△△という品質を確保できた」と因果関係を明確にする
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まとめ
令和8年度の1級建築施工管理技士 第二次検定でも、品質管理テーマの出題が継続されると予想されます。
品質管理テーマで高得点を取るためのポイントをまとめます。
記述の3つの視点:
- 材料品質:コンクリート強度、鉄筋規格、仕上げ材料の品質
- 施工精度:かぶり厚さ、建入れ精度、溶接品質
- 仕上がり品質:ひび割れ防止、剥離防止、防水性能
高得点を取るコツ:
- 具体的な数値を必ず入れる(温度、強度、寸法)
- 検査方法を具体的に記述する(試験名、測定機器名)
- 管理基準値を明記する(JIS、JASS等の規格値)
- 規格名を引用して説得力を増す
- PDCAサイクルを意識した記述をする
避けるべき減点パターン:
- 品質管理と安全管理の混同
- 工事概要との不整合
- 検査結果の曖昧な記述
- 専門用語の誤用
- 対策と結果の因果関係の欠如
この記事で紹介した例文を参考に、自分の経験に基づいたパターンを複数用意しておきましょう。過去問演習と合わせて、着実に対策を進めてください。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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