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施工管理技士の第二次検定で出題される経験記述。3つのテーマのうち「品質管理」は出題頻度が高く、多くの受験生が重点的に対策します。
品質管理の記述で合格点を得るには、「どんな品質上の課題があり、どのように解決したか」を数値と専門用語を使って論理的に説明する必要があります。
この記事では、品質管理テーマの経験記述の書き方を、工種別の例文とともに解説します。
この記事でわかること
品質管理の経験記述とは
試験で求められていること
品質管理テーマの経験記述では、実際の工事(または提示された工事概要)に基づいて、以下を説明することが求められます。
- 発生した(または予測された)品質上の課題
- 課題に対して検討・計画した内容
- 実際に実施した品質管理の手法・対策
- その結果どうなったか
「品質を確保した」という結論だけでなく、なぜその対策を選んだかという判断プロセスを示すことが重要です。
品質管理テーマで書きやすい工種
| 工種 | よく出る課題 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| コンクリート工事 | 打設温度・スランプロス・養生 | 温度管理・養生方法 |
| 鉄筋工事 | かぶり厚さ・継手・定着 | スペーサー管理・検査 |
| 防水工事 | 防水層の品質確保 | 施工管理・検査 |
| 溶接工事 | 溶接欠陥の防止 | 溶接士資格・検査 |
| 土工事 | 盛土の締固め | 締固め管理・密度試験 |
品質管理の例文(工種別)
例文1:夏季のコンクリート打設(品質管理)
夏季の高温環境下でのコンクリート品質管理は、最も頻出のテーマの一つです。
【課題の背景】
本工事は7月〜9月の夏季に実施するRC造3階建て倉庫の新築工事であった。気温が連日30℃を超える環境下でのコンクリート打設となり、スランプロス(流動性の低下)とコールドジョイント(打継ぎ不良)の発生が懸念された。これらが発生した場合、コンクリートの強度・耐久性の低下を招く恐れがあった。
【検討内容】
高温環境下でのコンクリート品質を確保するため、以下の2点を検討した。
- 打設時のコンクリート温度を下げ、打設可能な時間的余裕を確保する方法
- 打設後の急激な乾燥・温度上昇を防ぐ養生方法
【実施した対策】
①コンクリート製造工場と協議し、打込み時の温度を25℃以下とすることを品質仕様書に明記した。現場では受入れ検査として全台のコンクリート温度・スランプ・空気量を測定し、基準値(温度25℃以下、スランプ18cm±2.5cm、空気量4.5±1.5%)を超えるものは返却した。また打設は外気温の低い早朝(6時〜11時)に集中させた。
②打設完了後は速やかに養生シートで覆い、散水養生を24時間継続した。コンクリート表面温度と外気温の差が5℃以上にならないよう温度計で管理し、最低7日間の湿潤養生期間を確保した。
【得られた結果】
コールドジョイントの発生なく、全箇所のコンクリートを良好な状態で打設することができた。28日後の圧縮強度試験では設計基準強度(Fc=24N/mm²)を全て上回り、品質を確保した。
例文2:鉄筋のかぶり厚さ管理(品質管理)
鉄筋のかぶり厚さ不足は、コンクリート構造物の耐久性に直結する重大な品質問題です。
【課題の背景】
本工事は地上5階建てRC造マンションの新築工事であった。鉄筋のかぶり厚さ(設計値:柱・梁60mm、スラブ40mm)を確保することが、コンクリート構造物の耐久性・防錆性の観点から最重要課題であった。特に、外壁部の型枠建込み後はかぶり厚さを直接確認することが難しく、不具合が発見しにくい状態であった。
【検討内容】
かぶり厚さ不足を防止するため、以下の対策を検討した。
- スペーサーの選定と設置管理の徹底
- コンクリート打設前の第三者確認体制の構築
【実施した対策】
①スペーサーはJIS認証品のプラスチック製を使用し、設置間隔を梁・壁では縦横60cm以下、スラブでは1m²あたり2個以上とした。スペーサーの設置状況は職長が毎日確認し、記録写真を撮影した。
②コンクリート打設前に、施工会社の品質管理担当者・現場代理人・設計監理者の3者が立ち会うかぶり厚さ確認検査を実施した。確認箇所は躯体図で事前に明示し、全確認箇所のかぶり厚さをスケールで計測・記録した。不足箇所は即日是正した。
【得られた結果】
全工事期間を通じて設計かぶり厚さを満足し、竣工時の完成図書(品質記録)として施主に提出した。設計監理者からも「適切な品質管理が実施された」との評価を得た。
例文3:防水工事の品質管理
防水工事は施工後に不具合が発見されにくく、施工中の品質管理が特に重要です。
【課題の背景】
本工事の屋上防水工事(改質アスファルト防水トーチ工法、面積850m²)において、防水層の接着不良・ピンホールの発生による漏水が懸念された。防水工事は完成後に下地に隠れてしまうため、施工段階での品質確保が不可欠であった。
【検討内容】
防水層の品質を確保するため、以下の対策を検討した。
- 下地の品質確認と乾燥期間の確保
- 施工中の品質検査体制の構築
【実施した対策】
①防水施工前に、下地コンクリートの乾燥状態を高周波水分計で測定し、含水率8%以下を確認した後に施工を開始した。ドレン回り・立上り部など防水が難しい部位は、職長が直接指導しながら重点的に施工させた。
②施工中は、防水材の加熱溶融温度(230〜270℃)を常時確認した。施工完了後は全面積を目視・打音検査し、フクレ・ピンホールが確認された箇所は即日補修した。さらに、竣工前に散水試験(雨水相当の散水を60分継続)を実施し、漏水のないことを確認した。
【得られた結果】
散水試験で漏水は確認されなかった。竣工後3年が経過したが、施主からの漏水クレームは一件もなく、防水品質が確保されたことを確認している。
品質管理でよく使う専門用語
| 用語 | 意味 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| スランプ | コンクリートの流動性を示す値(cm) | 「スランプ18cm±2.5cmを管理した」 |
| かぶり厚さ | コンクリート表面から鉄筋外面までの距離(mm) | 「かぶり厚さ60mmを確保した」 |
| コールドジョイント | 打継ぎ不良による接合不完全部分 | 「コールドジョイントの発生を防止した」 |
| レイタンス | コンクリート表面に浮き出る弱い層 | 「レイタンス除去後に打継いだ」 |
| スペーサー | 鉄筋のかぶり厚さを確保するための部品 | 「プラスチック製スペーサーを設置した」 |
| 設計基準強度 | 構造計算で使用するコンクリート強度(N/mm²) | 「Fc=24N/mm²を確認した」 |
| 含水率 | 材料中の水分の割合(%) | 「含水率8%以下を確認した」 |
| 湿潤養生 | コンクリートを湿った状態に保つ養生方法 | 「7日間の湿潤養生を実施した」 |
採点で高評価をもらうためのコツ
コツ1:課題の「具体性」を出す
「品質上の問題が発生する恐れがあった」という曖昧な記述より、「夏季の高温(日最高気温35℃超)によりスランプロスが発生し、コールドジョイントが懸念された」のように、具体的な原因と具体的な懸念事項を書きましょう。
コツ2:数値を入れる
数値が入ることで記述に説得力が出ます。管理基準値、実測値、面積、期間など、覚えている数値はすべて入れましょう。
コツ3:なぜその対策を選んだかを書く
対策の内容だけでなく、「なぜその対策が効果的と判断したか」という理由を1文でも書くと評価が上がります。
コツ4:結果は具体的に
「良好な品質が確保できた」より「28日後の圧縮強度試験で設計基準強度(Fc=24N/mm²)を全箇所で上回った」のほうが採点者に伝わります。
まとめ
品質管理テーマの経験記述で合格するための要点をまとめます。
- 課題は具体的に:工事条件・環境条件から具体的な品質上の懸念事項を書く
- 数値を必ず入れる:管理基準値、実測値、期間などの数値で信頼性を高める
- 専門用語を正しく使う:コールドジョイント、スランプ、かぶり厚さなどを正確に
- 論理的なつながり:課題→検討→対策→結果の流れを崩さない
- 3工種分を準備:コンクリート・鉄筋・防水など複数パターンを準備しておく
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監修・執筆
sekocan 編集部
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