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「経験記述って何を書けばいいの?」「どんな構成で書けば合格点がもらえる?」
施工管理技士の第二次検定で最も配点が高く、合否を左右するのが経験記述です。出題テーマは「品質管理」「工程管理」「安全管理」の3つ。どれが出題されても対応できるよう、3テーマ分の記述案を準備しておく必要があります。
この記事では、経験記述の書き方の「型」と合格を勝ち取るためのコツを、例文つきで解説します。
この記事でわかること
- 経験記述の全体構成と採点のポイント
- 合格する記述の「型」と文章の流れ
- テーマ別(品質管理・工程管理・安全管理)の書き方
- 採点者に刺さる表現・避けるべきNG表現
- 令和6年度からの新形式への対応法
経験記述の基本構造
出題の全体像
経験記述(問題1)は第二次検定の中で最も配点が高い問題です。資格によって多少の違いはありますが、一般的な構成は以下の通りです。
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 工事概要 | 工事名、工事場所、工期、工事の規模など |
| テーマ設問 | 品質管理・工程管理・安全管理のいずれか |
| 課題の記述 | 工事で発生した(または予想された)技術的課題 |
| 検討内容 | 課題に対して検討・計画した内容 |
| 対応処置 | 実際に実施した対策の内容 |
| 評価・結果 | 対策の効果、得られた結果 |
令和6年度から導入された新形式
令和6年度から、建築施工管理技士などの一部資格で経験記述の形式が変更されました。
旧形式(〜令和5年度):受験者自身の経験した工事を自由に記述
新形式(令和6年度〜):試験問題で工事概要が提示され、その工事に対して記述
新形式は「暗記した模範解答をそのまま書く」ことができなくなり、提示された工事概要を読んで適切な課題・対策を考える応用力が問われます。ただし、3テーマの知識をしっかり準備しておけば、どの工事概要が提示されても対応できます。
合格する経験記述の「型」
4ステップの基本構成
どのテーマでも使える基本の型があります。この型に沿って記述を組み立てましょう。
ステップ1:課題の背景(なぜ課題が発生したか)
「〇〇という条件(状況)があったため、△△が懸念された。」
ステップ2:検討した内容(どう解決策を考えたか)
「上記の課題に対して、以下の点を検討した。」 「①〜〜について、②〜〜について」
ステップ3:実施した対策(何をしたか)
「△△については、〇〇を実施した。具体的には〜〜。」
ステップ4:得られた結果(どうなったか)
「これらの対策により、◇◇を達成することができた。」
採点者が重視する3つのポイント
1. 具体的な数値が入っているか
「適切に管理した」では採点されません。「コンクリートの打設温度を35℃以下に管理した」「型枠の存置期間を5日間確保した」のように数値を入れることが必須です。
2. 技術的な専門用語が正しく使われているか
「養生」「打継ぎ」「かぶり厚さ」「スランプ」などの専門用語を正しく使えているかが評価されます。誤字脱字も減点対象です。
3. 課題→検討→対策→結果の論理的なつながりがあるか
「なぜその課題が発生したか」「なぜその対策を選んだか」という論理的なつながりが必要です。対策だけを羅列しても高得点は得られません。
テーマ別の書き方と例文
品質管理の経験記述
品質管理のテーマでは、「工事の品質をどのように確保したか」を記述します。
品質管理でよく使う課題のパターン:
例文(鉄筋コンクリート工事の品質管理)
【課題の背景】
本工事は夏季(7月〜9月)に実施するRC造建物の新築工事であり、気温が35℃を超える日が多く、生コンクリートの品質低下(スランプロス・コールドジョイントの発生)が懸念された。
【検討内容】
気温の上昇によるコンクリート品質の低下を防止するため、以下の点を検討した。
- 打設時間帯と生コン受け入れ温度の管理方法
- 打設後の養生方法と期間
【実施した対策】
①打設は気温の低い早朝(6時〜10時)に集中して実施し、生コン受け入れ時の温度を25℃以下に管理した。到着した生コンは受け入れ検査(スランプ・空気量・温度)を全台実施した。
②打設後は散水養生を24時間連続で実施し、コンクリート表面温度が外気温より5℃以上高くならないよう管理した。養生シートを用いて直射日光を遮断し、最低7日間の養生期間を確保した。
【得られた結果】
コールドジョイントの発生なく、コンクリートの設計基準強度(Fc=24N/mm²)を全箇所で確認できた。品質試験(圧縮強度試験)でも合格を得た。
詳しい品質管理の例文と対策は「経験記述【品質管理】の書き方と例文」で解説しています。
工程管理の経験記述
工程管理のテーマでは、「工期内に工事を完了させるためにどう管理したか」を記述します。
工程管理でよく使う課題のパターン:
- 天候不良による工程遅延
- 後続工事への影響を防ぐための工程短縮
- 作業員不足による工程遅延
- 複数の工種の輻輳による工程管理
例文(基礎工事の工程管理)
【課題の背景】
本工事の基礎工事において、地中障害物(旧基礎コンクリート)が想定外に発見され、撤去に5日間の工程遅延が発生した。後続の鉄骨建方工事の着工を遅らせないよう、工程短縮が急務となった。
【検討内容】
工程遅延を取り戻すため、以下の対策を検討した。
- 作業の並行実施による工程圧縮の可能性
- 休日の活用による作業日数の確保
【実施した対策】
①通常は順次実施していた「掘削」と「配筋」を、エリアを分割して並行実施した。これにより3日間の工程短縮を実現した。
②残る2日間の遅延については、施工主の承認を得て1回の休日作業を実施し、遅延を完全に解消した。なお、休日作業は近隣住民へ事前に説明し、作業時間を7時〜17時に制限した。
【得られた結果】
鉄骨建方工事の着工予定日を守ることができ、後工程への影響を生じさせることなく全体工程を遵守した。
詳しい工程管理の例文と対策は「経験記述【工程管理】の書き方と例文」で解説しています。
安全管理の経験記述
安全管理のテーマでは、「現場の安全をどのように確保したか」を記述します。
安全管理でよく使う課題のパターン:
- 高所作業での墜落・転落防止
- 土砂崩壊の防止
- 重機と作業員の接触防止
- 近隣への飛来・落下物の防止
例文(高所作業の安全管理)
【課題の背景】
本工事の外壁工事では、高さ15mの足場上での作業が長期間続き、作業員の墜落・転落による重大労働災害の発生が懸念された。
【検討内容】
墜落・転落災害を防止するため、以下の対策を検討した。
- 安全設備の充実による物理的防止措置
- 作業員への教育・訓練の実施
【実施した対策】
①足場には幅木(高さ15cm以上)、中さん、手すりを全箇所に設置し、開口部には安全ネットを展張した。また、作業開始前に毎日、職長による足場の点検を実施した。
②毎朝の安全朝礼に加え、月1回のKY(危険予知)トレーニングを実施した。特に「TBM(ツールボックスミーティング)」で当日の作業リスクを全作業員で共有し、安全意識の向上を図った。
【得られた結果】
工事期間を通じて墜落・転落による労働災害ゼロを達成した。定期的な安全巡視では、足場の不具合も速やかに改善された。
詳しい安全管理の例文と対策は「経験記述【安全管理】の書き方と例文」で解説しています。
避けるべきNG表現
NG1:抽象的な表現
-
NG:「適切に管理した」
-
OK:「コンクリートの打設温度を25℃以下に管理した」
-
NG:「十分に養生した」
-
OK:「5日間の湿潤養生を実施した」
NG2:対策の羅列(論理的つながりがない)
- NG:「養生した。検査した。記録した。」(なぜその対策を選んだかがない)
- OK:「〇〇という課題があったため、△△を実施した。その結果、□□を達成した。」
NG3:誇張表現・根拠のない記述
- NG:「完璧な品質管理を実現した」
- OK:「設計基準強度を満足する圧縮強度(Fc=24N/mm²)を確認した」
NG4:専門用語の誤用・誤字
頻出の誤字・誤変換:
準備の進め方
Step1:3テーマ分の記述案を作成する
品質管理・工程管理・安全管理の3テーマに対応できるよう、それぞれ最低1パターン(できれば2〜3パターン)の記述案を準備します。
Step2:工事概要を複数パターン用意する(新形式対応)
新形式では試験会場で工事概要が提示されますが、どの概要が来ても対応できるよう、RC造・S造・木造それぞれの工事での課題と対策を理解しておきましょう。
Step3:実際に手書きで練習する
本番は手書きなので、パソコンで下書きを作った後に必ず手書きで練習しましょう。時間を計りながら45〜50分で書き切る練習をすることが重要です。
Step4:第三者にチェックしてもらう
職場の先輩や合格者に読んでもらい、「論理的なつながりがあるか」「専門用語が正しいか」を確認してもらうと効果的です。
まとめ
経験記述で合格点を取るためのポイントをまとめます。
合格する経験記述の3原則:
- 「課題→検討→対策→結果」の論理的な流れで書く
- 具体的な数値・専門用語を使う
- 3テーマすべてに対応できるよう準備する
経験記述は練習量が直結して点数に出ます。本番前に最低5回は手書きで練習しましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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