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施工管理技士の第二次検定「工程管理」の経験記述。「どう書けばいいかイメージがつかみにくい」という声をよく聞くテーマです。
工程管理の記述で重要なのは、「工期を守るためにどんな課題があり、どのように解決したか」を具体的に書くこと。数値(日数・期間・人数)を使い、採った対策の根拠を明確に説明することが合格の鍵です。
この記事では、工程管理テーマの経験記述の書き方を、状況別の例文とともに詳しく解説します。
この記事でわかること
- 工程管理テーマで書くべき内容の全体像
- 状況別の例文(工程遅延・工程短縮・天候不良対応)
- 採点者が高評価をつけるポイント
- バーチャートを使った説明のコツ
工程管理の経験記述とは
試験で求められていること
工程管理テーマでは、実際の工事(または提示された工事概要)において:
- どのような工程上の課題が発生したか(または予想されたか)
- 課題に対してどのような対策を検討したか
- 何を実施したか(具体的な工程管理の手法)
- 工期を守れたか(または工程改善できたか)
を論理的に説明することが求められます。
工程管理テーマで書きやすい状況
| 状況 | 書きやすいパターン |
|---|---|
| 工程遅延への対応 | 地中障害物発見・天候不良・資機材不足など |
| 工程短縮の要求 | 工期短縮指示・後工程への影響回避 |
| 複数工種の輻輳 | 干渉する工種の調整・作業区画の設定 |
| 工期末の工程管理 | 仕上げ工事の輻輳・引渡し前の集中管理 |
工程管理の例文(状況別)
例文1:地中障害物による工程遅延への対応
【課題の背景】
本工事(RC造4階建て事務所ビル新築工事)において、基礎工事の掘削作業中に旧建物の基礎コンクリート(深さ2.5m、体積約80m³)が地中に残存しているのを発見した。この撤去には当初予定になかった5日間の追加工程が発生し、後続の鉄筋工事・型枠工事・コンクリート打設工事への着工遅延が懸念された。全体工期は約6ヶ月で、竣工日に余裕がなく、このまま遅延が続くと竣工日を守れない状況であった。
【検討内容】
5日間の工程遅延を回復するため、以下の2点を検討した。
- 後工程の作業を前倒しできる部分の洗い出し(並行作業の可能性)
- 週休2日の工程に週1回の休日作業を追加した場合の効果
【実施した対策】
①旧基礎の撤去を実施しながら、障害のないエリアから先行して鉄筋工事を着手できるよう、工程をエリア分割で組み直した。具体的には、現場を東側・西側の2エリアに分け、東側の撤去完了後すぐに東側の鉄筋工事を開始し、西側の撤去と東側の鉄筋工事を並行実施した。これにより3日間の工程短縮を実現した。
②残る2日間の遅延については、施主の承認を得て1回の土曜日に作業を追加し、6時〜17時の10時間作業を実施した(時間外・休日手当は施主負担で精算)。
【得られた結果】
地中障害物発見から2週間以内に工程遅延を完全に回復し、後続の鉄筋工事・型枠工事を計画通りの日程で着工した。竣工日も当初予定通りに遵守することができた。
例文2:天候不良による工程遅延への対応
【課題の背景】
本工事(戸建て住宅5棟の新築工事)において、6月の上棟工事期間中に梅雨前線の停滞により10日間のうち8日間が降雨(大雨・中雨)となった。木造の上棟工事は雨天時に施工不可であり、8日間の工程遅延が発生した。当初工程では、上棟完了後1ヶ月半で内装仕上げ工事完了の予定であったが、このままでは施主との引渡し期日(10月末)に間に合わない状況となった。
【検討内容】
8日間の工程遅延を取り戻すため、以下を検討した。
【実施した対策】
①屋根工事が完了した棟から順次、内部木工事と断熱材充填を着手した。従来は全棟の屋根完了後に内部工事を一斉開始していたが、完成棟から順番に内部工事班を入れることで、1号棟では4日間の先行作業が可能となった。
②5棟の施工順序を引渡し優先度の高い順に組み替え、1号棟・2号棟を優先的に完成させる工程に変更した。これにより、全体的な遅延が残った場合でも引渡し優先度の高い棟から引き渡せる体制を整えた。
【得られた結果】
工程の見直しにより、5棟すべての引渡しを施主との約定期日(10月末)より3日前倒しで完了した。施主からも工程管理への高い評価をいただいた。
例文3:複数工種の輻輳による工程管理
【課題の背景】
本工事(RC造10階建てマンションの新築工事)において、竣工前2ヶ月の時期(9階・10階・屋上の仕上げ工事期間)に、内装仕上げ工事(壁紙・床・建具)・設備工事(電気・空調・衛生)・外構工事が同時進行する状況となった。作業エリアの干渉による工程の遅延と、作業員の過密による安全上のリスクが懸念された。
【検討内容】
工種間の干渉を解消し、安全かつ効率的に工事を進めるため、以下を検討した。
- 工区(フロア・エリア)を時間軸で分けた作業調整
- 統合工程会議による情報共有体制の構築
【実施した対策】
①各専門工事業者の工程担当者が週1回集まる「統合工程会議」を設置し、3週間先の作業予定を共有した。各工事のクリティカルな作業日を可視化し、エリアが重なる場合は午前・午後で時間分けするか、隣接エリアへ変更するよう調整した。
②9階・10階・屋上の各フロアに作業区画を設定し、同時作業できる最大作業員数(50名/フロア)を決定した。区画図を事務所に掲示し、超過が予想される日は前日の統合工程会議で調整した。
【得られた結果】
工種間の干渉を最小化し、竣工検査の3日前に全仕上げ工事を完了した。作業員の過密による安全事故もなく、無事に竣工を迎えることができた。
工程管理でよく使う専門用語
| 用語 | 意味 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| クリティカルパス | 工程全体の最長経路(遅延すると全体に影響) | 「クリティカルパスを優先管理した」 |
| フロート | 作業の余裕日数(遅延できる日数) | 「フロートが3日あることを確認した」 |
| バーチャート | 横軸に日程・縦軸に工種を並べた工程表 | 「バーチャート工程表で進捗を管理した」 |
| 輻輳 | 複数の工種や作業が集中すること | 「工種の輻輳が予想された」 |
| 工程短縮 | 作業日数を減らすこと | 「並行作業により工程短縮を図った」 |
| 先行着手 | 前の工程の完了前に次の工程を開始すること | 「内部工事を先行着手した」 |
| 休日作業 | 工程上の必要から週休日に作業すること | 「1回の休日作業を実施した」 |
| 後工程 | ある作業の後に行う作業のこと | 「後工程への影響を防いだ」 |
採点で高評価をもらうためのコツ
コツ1:遅延日数や短縮日数を数値で書く
「遅延が発生した」ではなく「5日間の工程遅延が発生した」と数値を入れましょう。何日遅れて、何日で取り戻したかが明確になります。
コツ2:工程遅延の「原因」を明確に
「工程が遅れた」だけでなく、「地中障害物の発見により掘削作業が5日間停止した」のように、遅延の直接的な原因を書くと説得力が出ます。
コツ3:対策の「具体的な内容」を書く
「工程の見直しをした」では不十分。「東側エリアから先行して鉄筋工事を着手し、3日間の工程短縮を実現した」のように、具体的に何をどうしたかを書きましょう。
コツ4:最終的な工程の結果を書く
「竣工日を遵守した」「引渡し期日より3日前倒しで完了した」など、工程管理の最終的な成果を明記することが重要です。
まとめ
工程管理テーマの経験記述で合格するための要点をまとめます。
- 日数(数値)を必ず入れる:遅延日数・短縮日数・期間を具体的に
- 遅延の原因を明確に:何が原因で何日遅れたのかを書く
- 対策は具体的に:並行作業・順序変更・休日作業など具体的な手法を説明
- 最終的な成果を書く:竣工日を守れたか、遅延を取り戻せたかを明記
- 論理的な流れを維持:課題→検討→対策→結果の構成を守る
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監修・執筆
sekocan 編集部
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