目次
令和8年度の2級電気工事施工管理技士試験を受験される方へ。
「工程管理って何をどう管理すればいいの?」「ネットワーク工程表の読み方がわからない」という悩みをお持ちではありませんか。
電気工事は建築工事や設備工事と密接に関連するため、他工事との調整が工程管理の重要なポイントになります。また、試験ではネットワーク工程表の計算問題も出題されます。
この記事では、2級電気工事施工管理技士に必要な工程管理の知識を、実務と試験対策の両面から詳しく解説します。
この記事でわかること
- 電気工事における工程管理の基本概念
- 工程表の種類と特徴(バーチャート、ネットワーク工程表)
- 電気工事特有の工程調整ポイント
- ネットワーク工程表の計算方法
- 第二次検定での出題傾向と対策
電気工事における工程管理の基本
工程管理の目的
工程管理とは、工事を所定の工期内に完成させるために、作業の順序・日程・人員配置などを計画し、進捗を管理することです。
電気工事における工程管理の目的は以下の3点です。
| 目的 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 工期の遵守 | 契約工期内での工事完成 |
| 品質の確保 | 適切な作業時間の確保による品質維持 |
| コストの管理 | 作業効率化による原価低減 |
電気工事の工程の特徴
電気工事は、建築工事の進捗に合わせて施工する「付帯工事」としての性格を持っています。
電気工事の工程上の特徴
-
建築工事への依存
-
他設備工事との調整
-
検査・試験期間の確保
工程管理のPDCAサイクル
工程管理は、以下のPDCAサイクルで継続的に行います。
Plan(計画)
- 工程表の作成
- 必要人員・資材の算出
- マイルストーンの設定
Do(実施)
- 計画に基づく施工
- 作業員への指示・管理
- 資材の搬入管理
Check(確認)
- 進捗状況の確認
- 予定と実績の比較
- 問題点の把握
Action(改善)
- 遅延対策の実施
- 工程表の見直し
- 人員・資材の再配置
工程表の種類と特徴
バーチャート工程表
バーチャート(横線式工程表)は、最も一般的に使用される工程表です。
バーチャートの特徴
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 作成が容易 | 作業間の関連が不明確 |
| 視覚的にわかりやすい | クリティカルパスが不明 |
| 進捗状況が把握しやすい | 遅延の影響が判断しにくい |
バーチャートの構成要素
- 縦軸:作業項目
- 横軸:工期(日付または日数)
- 横棒:各作業の所要期間
電気工事でのバーチャート作成例
作業項目 | 1週 | 2週 | 3週 | 4週 | 5週 | 6週 |
----------------|-----|-----|-----|-----|-----|-----|
仮設電気工事 |████|████| | | | |
スラブ配管 | |████|████| | | |
壁内配管・配線 | | |████|████| | |
盤据付工事 | | | |████|████| |
器具取付工事 | | | | |████|████|
試験・調整 | | | | | |████|
ネットワーク工程表
ネットワーク工程表(PERT/CPM)は、作業間の相互関係を明確にした工程表です。
ネットワーク工程表の特徴
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 作業間の関連が明確 | 作成に専門知識が必要 |
| クリティカルパスが判明 | 小規模工事には不向き |
| 遅延の影響が判断しやすい | 視覚的に複雑 |
ネットワーク工程表の構成要素
-
アクティビティ(矢線)
- 作業を表す矢印
- 矢印の上に作業名、下に所要日数を記載
-
イベント(結合点)
- 作業の開始点・終了点を表す丸印
- 番号を付けて識別
-
ダミー(破線矢印)
- 作業の前後関係のみを示す
- 所要日数は0日
ガントチャート
ガントチャートは、バーチャートに出来高曲線を加えたものです。
ガントチャートの活用
- 計画出来高と実績出来高の比較
- 進捗率の視覚化
- 遅延・先行の把握
ネットワーク工程表の計算方法
基本用語の理解
ネットワーク工程表を理解するために、以下の用語を押さえておきましょう。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 最早開始時刻(EST) | 作業を最も早く開始できる時刻 |
| 最早完了時刻(EFT) | 作業を最も早く完了できる時刻 |
| 最遅開始時刻(LST) | 工期に影響なく開始できる最も遅い時刻 |
| 最遅完了時刻(LFT) | 工期に影響なく完了できる最も遅い時刻 |
| トータルフロート(TF) | 工期に影響しない余裕日数 |
| フリーフロート(FF) | 後続作業に影響しない余裕日数 |
| クリティカルパス | 余裕のない最長経路 |
計算手順
ステップ1:最早開始時刻・最早完了時刻の計算(前進計算)
イベント0から順に計算します。
- EST = 前の作業のEFTの最大値
- EFT = EST + 所要日数
ステップ2:最遅開始時刻・最遅完了時刻の計算(後進計算)
最終イベントから逆に計算します。
- LFT = 後の作業のLSTの最小値
- LST = LFT - 所要日数
ステップ3:フロートの計算
- トータルフロート(TF)= LST - EST = LFT - EFT
- フリーフロート(FF)= 後続作業のEST - EFT
ステップ4:クリティカルパスの特定
TF = 0 の作業を結んだ経路がクリティカルパスです。
計算例
以下のネットワーク工程表を例に計算してみましょう。
作業A(5日)→ 作業C(4日)→ 作業E(3日)
↘ ↗
作業B(3日)→ 作業D(6日)
前進計算
- 作業A:EST=0、EFT=5
- 作業B:EST=0、EFT=3
- 作業C:EST=5、EFT=9
- 作業D:EST=3、EFT=9
- 作業E:EST=9、EFT=12
後進計算
- 作業E:LFT=12、LST=9
- 作業C:LFT=9、LST=5
- 作業D:LFT=9、LST=3
- 作業A:LFT=5、LST=0
- 作業B:LFT=3、LST=0
フロート計算
- 作業A:TF=0(クリティカル)
- 作業B:TF=0(クリティカル)
- 作業C:TF=0(クリティカル)
- 作業D:TF=0(クリティカル)
- 作業E:TF=0(クリティカル)
この例では、全工期12日、すべての作業がクリティカルパス上にあります。
電気工事特有の工程調整
建築工事との調整
電気工事は建築工事の進捗に大きく依存します。主な調整ポイントは以下の通りです。
1. 躯体工事段階
- スラブ配管のタイミング調整
- 梁貫通スリーブの事前施工
- 接地極埋設(基礎工事時)
2. 内装工事段階
- 壁内配管のタイミング調整
- 天井内配線の先行施工
- ボード貼り前の開口確認
3. 仕上げ工事段階
- 器具取付のタイミング調整
- スイッチ・コンセントの位置確認
- 照明器具の取付
他設備工事との調整
電気工事は、他の設備工事との調整も重要です。
空調設備との調整
給排水設備との調整
| 調整項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 配管ルート | 竪穴区画でのルート調整 |
| ポンプ電源 | ポンプ設置後の電源接続 |
| 警報配線 | 満水警報、漏水検知への接続 |
電力会社との調整
高圧受電の場合、電力会社との工程調整が必要です。
申込・協議のタイミング
- 電力申込:着工の6ヶ月以上前
- 引込柱位置の協議:着工の3ヶ月以上前
- 竣工検査の申請:受電予定日の1ヶ月前
- 受電:竣工検査合格後
工程短縮のテクニック
工期に余裕がない場合の工程短縮方法を紹介します。
1. クリティカルパスへの対策
- クリティカル作業への人員増強
- 作業の並行化(可能な範囲で)
- 資材の早期調達
2. 作業効率の向上
- プレハブ加工の活用
- ユニット化した機器の採用
- 施工図の事前確認・承認
3. 関連工事との調整
- 工程会議での情報共有
- 作業エリアの調整
- 夜間・休日作業の検討
第二次検定の出題傾向と対策
工程管理に関する出題パターン
2級電気工事施工管理技士の第二次検定では、工程管理に関して以下のような出題があります。
パターン1:ネットワーク工程表の計算
ネットワーク工程表において、クリティカルパスと全工期を求めよ。
パターン2:工程管理上の留意事項
電気工事の工程管理において、建築工事との調整で留意すべき事項を述べよ。
パターン3:工程遅延への対策
工程に遅れが生じた場合の対策について、具体的に記述せよ。
ネットワーク工程表の問題対策
試験で出題されるネットワーク工程表の問題は、以下のパターンが多いです。
出題パターン
- クリティカルパスの特定
- 全工期の算出
- フロート(余裕日数)の計算
- 作業遅延による影響の判断
解答のポイント
- 前進計算→後進計算の順序を守る
- ダミー矢線は所要日数0として扱う
- TF=0の経路がクリティカルパス
記述問題の解答例
問題:電気工事の工程管理において、建築工事との調整で留意すべき事項を3つ記述せよ。
解答例
スラブ配管について、コンクリート打設前に配管作業を完了させるため、躯体工程を確認し、配管の施工時期を調整した。
壁内配管について、ボード貼り工程を確認し、ボード施工前に配管・ボックス取付を完了させるよう工程を調整した。
天井内配線について、天井仕上げ前に配線・器具取付を完了させるため、内装工程との調整を行い、作業スペースを確保した。
工程管理用語の整理
試験で問われる工程管理の用語を整理しておきましょう。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 山積み | 作業量を日程ごとに積み上げたもの |
| 山崩し | 作業員の平準化を図る調整 |
| マイルストーン | 工程上の重要な節目・目標日 |
| フォローアップ | 工程の進捗確認と修正 |
| 工程会議 | 関係者間で工程を調整する会議 |
| 週間工程表 | 1週間単位の詳細工程表 |
| 月間工程表 | 1ヶ月単位の工程表 |
| 総合工程表 | 工事全体の工程表 |
実務で役立つ工程管理のポイント
工程表作成の手順
実務での工程表作成は、以下の手順で行います。
1. 作業分解(WBS)
- 大項目→中項目→小項目に分解
- 各作業の所要日数を見積もり
- 作業間の前後関係を整理
2. 工程表の作成
- バーチャートまたはネットワーク工程表で作成
- マイルストーンを設定
- 関連工事との調整を反映
3. 工程表の配布・共有
- 現場事務所への掲示
- 関係者への配布
- 定期的な更新
進捗管理の方法
工程の進捗管理は、以下の方法で行います。
日常管理
- 毎日の作業報告確認
- 翌日の作業予定確認
- 作業員の出面管理
週間管理
- 週間工程会議の開催
- 進捗率の確認
- 翌週の工程調整
月間管理
- 月間工程会議の開催
- 出来高の確認
- 工程表の見直し
工程遅延への対応
工程に遅れが生じた場合は、速やかに対策を講じます。
短期的な対策
- 作業員の増員
- 残業・休日出勤の実施
- 機材・資材の追加調達
中期的な対策
- 作業手順の見直し
- 並行作業の実施
- 外注の活用
発注者への報告
- 遅延の原因と影響を報告
- 対策案を提示
- 必要に応じて工期変更を協議
あわせて読みたい
まとめ
令和8年度の2級電気工事施工管理技士試験に向けて、工程管理の重要ポイントをまとめます。
工程管理の基本
- バーチャートとネットワーク工程表の特徴を理解する
- ネットワーク工程表の計算(EST、LFT、TF)ができるようにする
- クリティカルパスの意味と特定方法を理解する
電気工事特有のポイント
- 建築工事への依存を理解し、適切な工程調整を行う
- 他設備工事との天井内・竪穴区画での調整を行う
- 電力会社との申込・協議のタイミングを把握する
試験対策のポイント
- ネットワーク工程表の計算問題は必ず出題される
- 工程管理用語の意味を正確に覚える
- 記述問題は具体的な調整内容を書く
工程管理は、電気工事を円滑に進めるための重要なスキルです。試験勉強を通じて身につけた知識は、実務でも必ず役立ちます。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
関連する資格ページ
監修・執筆
sekocan 編集部
施工管理技士の資格取得支援に特化した学習プラットフォーム。現役の施工管理技士や建設業界の専門家が監修した正確で実践的な情報を提供しています。