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令和8年度の1級管工事施工管理技士 第二次検定で、工程管理テーマの経験記述やネットワーク工程表の問題に不安を感じていませんか?
「工程管理って何を書けばいいの?」「ネットワーク工程表の計算が苦手」「1級らしい大規模工事の例文を見たい」という声をよく聞きます。
1級管工事施工管理技士の工程管理では、大規模な設備工事における工期短縮の取り組み、他工種との工程調整、ネットワーク工程表の作成と管理について記述することが求められます。
この記事では、工程管理の出題傾向、ネットワーク工程表の計算方法、経験記述の書き方を詳しく解説します。
この記事でわかること
工程管理の出題傾向
第一次検定での出題
第一次検定では、工程管理に関する問題が施工管理法の中で出題されます。
頻出テーマ
第二次検定での出題
第二次検定では、工程管理は2つの形式で出題されます。
1. 経験記述のテーマとして
| 年度 | 出題テーマ |
|---|---|
| 令和5年度 | 品質管理 |
| 令和4年度 | 工程管理 |
| 令和3年度 | 安全管理 |
| 令和2年度 | 品質管理 |
| 令和元年度 | 工程管理 |
工程管理は2〜3年に1回の頻度で出題されており、令和8年度も出題される可能性があります。
2. ネットワーク工程表の計算問題
問題3として、ネットワーク工程表に関する計算問題が毎年出題されます。
工程管理の配点
| 問題 | 内容 | 配点目安 |
|---|---|---|
| 問題1 | 経験記述(工程管理の場合) | 約40点 |
| 問題3 | ネットワーク工程表 | 約12点 |
経験記述とネットワーク工程表を合わせると、工程管理関連で最大約52点(60%以上)の配点があります。
ネットワーク工程表の計算方法
ネットワーク工程表の基本用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アクティビティ | 作業を表す矢印 |
| イベント | 作業の開始点・終了点を表す丸印 |
| クリティカルパス | 最長経路(工期を決定する経路) |
| フロート(余裕日数) | 作業に許容される余裕時間 |
| ES(最早開始日) | その作業を最も早く開始できる日 |
| EF(最早完了日) | その作業を最も早く完了できる日 |
| LS(最遅開始日) | 工期に影響を与えずに開始できる最も遅い日 |
| LF(最遅完了日) | 工期に影響を与えずに完了できる最も遅い日 |
計算手順
ステップ1:最早開始日(ES)・最早完了日(EF)の計算(前進計算)
- 開始イベントのESを0とする
- 各アクティビティのEF = ES + 所要日数
- 後続アクティビティのES = 先行アクティビティのEFの最大値
ステップ2:最遅完了日(LF)・最遅開始日(LS)の計算(後退計算)
- 最終イベントのLF = EF(工期)
- 各アクティビティのLS = LF - 所要日数
- 先行アクティビティのLF = 後続アクティビティのLSの最小値
ステップ3:フロートの計算
- トータルフロート(TF)= LF - EF = LS - ES
- フリーフロート(FF)= 後続アクティビティのESの最小値 - EF
ステップ4:クリティカルパスの特定
- フロートが0のアクティビティを結んだ経路がクリティカルパス
計算例
以下のネットワーク工程表を計算します。
作業A:所要日数5日(1→2)
作業B:所要日数3日(1→3)
作業C:所要日数4日(2→4)
作業D:所要日数6日(3→4)
作業E:所要日数2日(4→5)
前進計算
| 作業 | ES | EF |
|---|---|---|
| A | 0 | 5 |
| B | 0 | 3 |
| C | 5 | 9 |
| D | 3 | 9 |
| E | 9 | 11 |
後退計算
| 作業 | LS | LF |
|---|---|---|
| E | 9 | 11 |
| C | 5 | 9 |
| D | 3 | 9 |
| A | 0 | 5 |
| B | 0 | 3 |
フロートとクリティカルパス
| 作業 | TF | クリティカル |
|---|---|---|
| A | 0 | Yes |
| B | 0 | Yes(D経由の場合) |
| C | 0 | Yes |
| D | 0 | Yes |
| E | 0 | Yes |
この例では、A→C→EまたはB→D→Eがクリティカルパスとなり、工期は11日です。
試験でよく出る計算パターン
- クリティカルパスの特定:最長経路を求める
- 工期の計算:クリティカルパス上の所要日数の合計
- フロートの計算:特定の作業の余裕日数を求める
- 工期短縮:クリティカルパス上の作業を短縮した場合の新工期
- 作業の追加・変更:条件変更後のクリティカルパスと工期
1級に求められる工程管理の視点
2級との違い
1級管工事施工管理技士の工程管理は、2級よりも複雑で大規模な工程調整が求められます。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | 単一工種の設備工事 | 複数工種の総合的な設備工事 |
| 工程調整 | 単純な日程調整 | 建築・電気との複合調整 |
| 工程表 | バーチャート中心 | ネットワーク工程表必須 |
| 工期短縮 | 基本的な対策 | クリティカルパスを意識した対策 |
1級で求められる工程管理の要素
1. 総合的な工程計画
- 建築工事、電気工事との工程調整
- 機器搬入計画と揚重計画
- 試運転調整期間の確保
2. クリティカルパス管理
- 工期を左右する重要工程の特定
- クリティカルパス上の作業の重点管理
- 遅延時の影響分析と対策
3. 工程短縮の実践
- 並行作業の検討
- 作業員・機材の増員
- プレファブ工法の採用
4. 進捗管理と是正
- 週次・月次の進捗確認
- 遅延発生時の挽回計画
- 関係者との情報共有
工程管理の経験記述例文【工種別】
例文1:大規模オフィスビルの空調設備工事
想定される工事概要:地上20階建てオフィスビル、延床面積35,000平方メートル、工期18ヶ月
課題の背景
本工事は地上20階建てオフィスビルの空調設備工事であり、セントラル空調システムの施工を担当した。建築工事の内装工事と並行して空調機器の据付・配管工事を進める必要があり、工期18ヶ月の中で試運転調整期間2ヶ月を確保するためには、他工種との綿密な工程調整が重要な課題であった。
検討内容
工程管理上の課題解決について、以下の3点を検討した。
- 建築工事との取り合い部の工程調整方法
- 空調機器の搬入・揚重計画と据付工程の最適化
- 試運転調整期間を確保するための工程短縮策
実施した対策
建築工事との工程調整では、週1回の工程会議に加え、内装工事着手2週間前に設備配管の天井内施工を完了させる「先行施工ルール」を設定し、全関係者で共有した。これにより、内装仕上げ後の手戻りを防止した。
空調機器の搬入・揚重では、タワークレーンの使用可能期間が建築工事の外壁工事完了までに限られていたため、地上階から順次機器を搬入し、屋上の冷却塔・チラーは外壁工事完了前に揚重を完了させた。据付工事はフロアごとのチーム編成とし、複数フロアの並行施工により工期を3週間短縮した。
配管工事では、機械室内の主要配管をプレファブ工法で工場製作し、現場での溶接作業を削減した。これにより、機械室の配管工事を当初計画より2週間短縮することができた。
得られた結果
これらの工程管理により、空調設備工事は当初計画より1ヶ月早く完了し、試運転調整期間を2ヶ月から3ヶ月に延長することができた。十分な調整期間を確保できたことで、全フロアの温度制御を設計値通りに調整し、高い品質で引き渡すことができた。
例文2:複合商業施設の給排水設備工事
想定される工事概要:地上5階・地下1階の複合商業施設、延床面積15,000平方メートル、工期12ヶ月
課題の背景
本工事は複合商業施設の給排水設備工事であり、飲食テナント20店舗を含む施設であった。各テナントの内装工事が異なる時期に開始されるため、共用部の給排水配管を先行して完了させ、テナント工事の進捗に影響を与えない工程計画が重要な課題であった。
検討内容
工程管理上の課題解決について、以下の点を検討した。
- 共用部配管とテナント専有部配管の施工順序
- テナント工事との取り合い調整方法
- 施工図承認の遅れに対するリスク対策
実施した対策
共用部の給排水縦管・横引管は、テナント工事開始の2ヶ月前を完了目標に設定し、ネットワーク工程表でクリティカルパスを明確にした。クリティカルパス上の地下機械室配管工事は、作業員を当初計画の1.5倍に増員し、2交代制で施工を行った。
テナント工事との調整では、各テナントの内装工事開始予定を一覧表にまとめ、2週間ごとに更新した。テナント専有部への配管接続位置は事前にスリーブを設置し、テナント工事開始後速やかに接続できるよう準備した。
施工図承認の遅れに備え、設計段階で確定している主要機器(受水槽、ポンプユニット)は先行発注し、承認遅延のリスクがある部分は調整しやすいフレキシブル継手を採用する計画とした。
得られた結果
工程管理の結果、共用部配管は予定通りテナント工事開始2ヶ月前に完了した。施工図承認が一部遅延したテナントについても、先行施工により影響を最小限に抑え、全テナントの開店予定日に間に合わせることができた。施設全体のオープンも予定通り達成し、テナントからの工程クレームは発生しなかった。
例文3:病院の設備更新工事(稼働中施設)
想定される工事概要:総合病院の空調・給排水設備更新工事、病床数300床、工期24ヶ月(フェーズ分け施工)
課題の背景
本工事は稼働中の総合病院における空調・給排水設備の更新工事であり、病院機能を停止させることなく工事を進める必要があった。手術室、ICU、一般病棟をフェーズ分けして施工するため、各フェーズの工程遅延は後続フェーズに連鎖し、工期延長につながるリスクがあった。
検討内容
稼働中施設の工程管理について、以下の点を検討した。
- フェーズ分け施工の最適な順序と期間設定
- 仮設設備による機能維持と本設備への切替工程
- 病院運営への影響を最小化する作業時間帯の設定
実施した対策
フェーズ分けは、患者移動の負担を考慮し、一般病棟(A棟→B棟)、外来エリア、手術室・ICUの順で実施した。各フェーズの工期にはバッファとして2週間を設け、前フェーズの遅延が後続に影響しないよう計画した。
仮設設備として、各フェーズの工事期間中は仮設空調機と仮設給水系統を設置し、病室の温度管理と給水を維持した。本設備への切替は、患者の少ない深夜帯(午前2時〜5時)に実施し、3時間以内に完了する手順を事前にリハーサルした。
騒音・振動を伴う作業(配管切断、アンカー打設)は外来診療時間外に限定し、工程表に作業可能時間帯を明記した。これにより、限られた作業時間内で効率的に施工を進めるため、作業手順を詳細に計画した。
得られた結果
フェーズごとのバッファと綿密な工程管理により、全フェーズを予定工期内に完了した。仮設から本設備への切替も全て予定時間内に完了し、患者への影響は最小限に抑えることができた。病院側からは「病院機能を維持しながら予定通り完了した」と高い評価を得た。
例文4:データセンターの冷却設備工事
想定される工事概要:大型データセンター、サーバールーム面積3,000平方メートル、精密空調設備、工期10ヶ月
課題の背景
本工事は大型データセンターの冷却設備工事であり、サーバー稼働開始日が厳守される中、精密空調機30台の据付・配管・試運転を10ヶ月で完了させる必要があった。海外製の精密空調機は納期が長く、機器納入の遅延が工期全体に影響するリスクがあった。
検討内容
データセンター工事の工程管理について、以下の点を検討した。
- 海外製機器の納期管理と早期発注
- 機器納入前に完了させる先行工事の範囲
- 試運転調整期間の確保と並行作業の検討
実施した対策
海外製精密空調機の納期は通常4ヶ月であったが、着工と同時に発注し、製造工程の進捗を月次で確認した。輸送は海上輸送から航空輸送に変更し、納期を2週間短縮した。これにより、機器納入後の据付・配管工事に6ヶ月を確保した。
機器納入前の先行工事として、基礎工事、電源配線、冷温水配管のヘッダーまでの施工を完了させた。機器搬入後は、据付と配管接続を並行して進められるよう、作業チームを機器据付班と配管接続班に分けて効率化した。
試運転調整は2ヶ月を計画したが、冷却システム全体の性能検証に時間を要する可能性を考慮し、空調機を10台ずつ3グループに分けて順次試運転を開始した。これにより、全台完了を待たずに問題点を早期発見・対処できる体制とした。
得られた結果
早期発注と輸送方法の変更により、機器は予定通り納入された。先行工事の完了と並行作業により据付・配管工事を予定通り進め、試運転調整も2ヶ月間で完了した。サーバー稼働開始日の1週間前に全システムの性能検証を完了し、納期を厳守することができた。
例文5:工場の生産設備配管工事
想定される工事概要:自動車部品工場、生産ライン用冷却水・圧縮空気配管、工期8ヶ月(工場稼働継続)
課題の背景
本工事は稼働中の自動車部品工場における生産設備用配管の新設工事であり、工場の生産ラインを停止させずに既設配管への接続工事を行う必要があった。生産計画との調整が必須であり、接続工事は年末年始の計画停止期間に集中して実施する計画とした。
検討内容
稼働中工場の工程管理について、以下の点を検討した。
- 生産ラインへの影響を最小化する施工順序
- 計画停止期間(10日間)での接続工事の完了
- 停止期間延長リスクへの備え
実施した対策
施工順序は、新設配管の敷設を生産エリア外から進め、生産ライン直上の配管敷設は生産終了後の夜間(21時〜翌朝5時)に限定した。これにより、日中の生産活動に影響を与えずに8割の配管敷設を完了させた。
年末年始の計画停止期間10日間で行う既設配管との接続工事は、ネットワーク工程表を作成してクリティカルパスを特定し、接続箇所ごとの作業手順と所要時間を詳細に計画した。作業員は通常の1.5倍に増員し、接続班・配管班・試験班の3チーム体制で24時間シフトを組んだ。
停止期間延長リスクへの備えとして、接続工事で問題が発生した場合の代替工法と必要資材を事前に準備した。また、毎日の進捗会議で工程の遅延を早期検知し、即座に対策を講じる体制を整えた。
得られた結果
計画停止期間10日間で予定していた接続工事を8日間で完了し、2日間の余裕を持って生産再開を迎えることができた。新設配管の性能試験も問題なく完了し、生産ラインは計画通り年明けから稼働を再開した。工場側からは「生産計画への影響なし」と評価された。
工程管理の記述で高得点を取るコツ
1. ネットワーク工程表・クリティカルパスに言及する
1級の工程管理では、ネットワーク工程表の知識を示すことが重要です。
良い記述例:
ネットワーク工程表を作成し、クリティカルパス上の機械室配管工事を重点管理した。
2. 具体的な数値を入れる
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 工期短縮 | 工期を短縮した | 工期を3週間短縮した |
| 増員 | 作業員を増やした | 作業員を1.5倍の15名に増員した |
| 期間 | 十分な期間を確保した | 試運転調整期間2ヶ月を確保した |
3. 他工種との調整を記述する
1級では、建築・電気工事との総合的な工程調整が求められます。
記述すべき内容
- 週次の工程会議での調整
- 先行施工ルールの設定
- 取り合い部の施工順序
4. 工期遅延リスクへの対策を示す
工程管理の本質は「遅延を防止し、遅延発生時に挽回すること」です。
記述すべき内容
- リスクの特定(機器納入遅延、承認遅れなど)
- 事前の対策(早期発注、バッファ期間の設定)
- 遅延発生時の対応計画
5. 結果を定量的に示す
対策の効果を数値で示すことで、説得力が増します。
良い記述例:
これらの対策により、当初工期より1ヶ月早く完了し、試運転調整期間を2ヶ月から3ヶ月に延長することができた。
よくある減点ポイントと対策
減点1:工程管理の内容になっていない
NG例:「工程短縮のため、品質管理を徹底した」(品質管理の内容)
対策:工程管理は「工程計画」「進捗管理」「工期短縮」「他工種調整」に関する内容を記述する
減点2:1級らしい内容になっていない
NG例:「小規模な住宅の設備工事で工程を管理した」
対策:大規模な建築物(ビル、工場、病院など)での工程管理経験を記述する
減点3:具体的な対策が不明確
NG例:「工程短縮に努めた」
対策:並行作業、増員、プレファブ工法など、具体的な短縮策を記述する
減点4:結果が記述されていない
NG例:「以上の対策を実施した」(結果の記述がない)
対策:対策により工期がどうなったか、数値を含めて記述する
まとめ
1級管工事施工管理技士の工程管理は、大規模設備工事における工程計画と管理の取り組みを具体的に記述することが求められます。
記述のポイント
- ネットワーク工程表・クリティカルパスの用語を使用する
- 具体的な数値(工期短縮日数、増員数、期間)を入れる
- 他工種(建築・電気)との工程調整を記述する
- 工期遅延リスクへの対策を示す
- 結果を定量的に示す
ネットワーク工程表の計算
- 前進計算で最早開始日・最早完了日を求める
- 後退計算で最遅開始日・最遅完了日を求める
- フロートを計算してクリティカルパスを特定する
この記事で紹介した例文と計算方法を参考に、しっかり対策を進めましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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