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令和8年度の1級管工事施工管理技士 第二次検定で、品質管理テーマの経験記述に自信がない方へ。
「品質管理って具体的に何を書けばいいの?」「1級らしい大規模工事の例文を見たい」という声をよく聞きます。
1級管工事施工管理技士の品質管理では、大規模な空調・給排水設備工事における材料品質の確保、施工精度の管理、性能確認試験について、具体的な数値を交えて記述することが求められます。
この記事では、品質管理の出題傾向と経験記述の書き方、工種別の例文を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 品質管理の出題傾向と配点
- 1級に求められる品質管理の視点
- 工種別の経験記述例文(空調・給排水・配管)
- 高得点を取るためのポイント
- よくある減点ポイントと対策
品質管理の出題傾向
第一次検定での出題
第一次検定では、品質管理に関する問題が施工管理法の一部として出題されます。
頻出テーマ
| テーマ | 出題頻度 |
|---|---|
| 品質管理の基本用語(QC7つ道具) | 毎年出題 |
| 検査・試験の方法 | 頻出 |
| 材料の品質基準 | 頻出 |
| 配管の試験(水圧試験、気密試験) | 頻出 |
| ISO 9000シリーズ | 時々出題 |
第二次検定での出題
第二次検定では、経験記述のテーマとして品質管理が出題されます。
経験記述のテーマローテーション
| 年度 | 出題テーマ |
|---|---|
| 令和5年度 | 品質管理 |
| 令和4年度 | 工程管理 |
| 令和3年度 | 安全管理 |
| 令和2年度 | 品質管理 |
| 令和元年度 | 工程管理 |
品質管理は2〜3年に1回の頻度で出題されており、令和8年度も出題される可能性があります。
品質管理の配点
経験記述の配点は第二次検定全体の約**40%**を占めます。
| 問題 | 内容 | 配点目安 |
|---|---|---|
| 問題1 | 経験記述(品質管理など) | 約40点 |
| 問題2〜6 | その他の記述問題 | 約60点 |
品質管理テーマで高得点を取ることが、合格への近道です。
1級に求められる品質管理の視点
2級との違い
1級管工事施工管理技士の品質管理は、2級よりも大規模で複雑な設備工事を対象とします。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | 中小規模の設備工事 | 大規模ビル、工場、病院など |
| 空調設備 | パッケージ空調中心 | セントラル空調、熱源システム |
| 給排水設備 | 基本的な配管工事 | 高層建築の揚水、大口径配管 |
| 品質管理項目 | 基本的な検査 | 総合試運転、性能検証 |
1級で求められる品質管理の要素
1. 材料品質の管理
- 機器・材料の受入検査
- 規格適合性の確認
- 保管・養生の管理
2. 施工品質の管理
3. 性能品質の管理
- 各種試験(水圧試験、気密試験)
- 試運転調整
- 総合性能検証
4. 記録と管理
- 品質管理記録の作成
- トレーサビリティの確保
- 検査成績書の整備
品質管理の経験記述例文【工種別】
例文1:大型空調設備工事(セントラル空調)
想定される工事概要:地上15階建て事務所ビル、延床面積25,000平方メートル、セントラル空調システム
課題の背景
本工事は地上15階建て事務所ビルのセントラル空調設備工事であり、冷凍機容量800RT、空調機30台を設置する大規模工事であった。空調機の据付精度と配管接続部の品質確保が、システム全体の性能を左右する重要な品質管理項目であった。
検討内容
空調設備の品質確保について、以下の3点を検討した。
- 空調機据付時の水平精度とアンカーボルトの施工管理
- 冷温水配管のフランジ接合部の品質確保
- 試運転調整における風量・温度の測定と調整方法
実施した対策
空調機の据付では、レベル計を用いて前後左右の水平を確認し、許容誤差3mm以内となるようライナープレートで調整した。アンカーボルトはケミカルアンカーを使用し、引抜き試験で設計荷重の150%以上を確認した。
冷温水配管のフランジ接合では、ガスケットの材質をEPDMとし、ボルトの締付けトルクを管理表に基づき対角線順に締め付けた。締付け完了後、水圧試験を1.5MPaで30分間実施し、漏れのないことを確認した。
試運転調整では、各吹出口の風量をダンパー開度で調整し、設計風量の90〜110%の範囲に収まることを風量計で確認した。室内温度は各フロア5箇所で測定し、設計温度26度に対して±1度以内となることを確認した。
得られた結果
これらの品質管理を実施した結果、空調機の据付精度は全台で許容値内を達成し、配管接続部からの漏水は皆無であった。試運転調整においても、全フロアで設計性能を満足し、引渡し後1年間の運用でも品質上の問題は発生しなかった。
例文2:高層建築の給水設備工事
想定される工事概要:地上25階建てタワーマンション、戸数200戸、直結増圧給水方式
課題の背景
本工事は地上25階建てタワーマンションの給水設備工事であり、直結増圧給水方式を採用した。増圧給水ポンプユニットから各住戸までの給水管が長距離となるため、配管の接合品質と水圧試験による漏水確認が重要な品質管理項目であった。
検討内容
給水設備の品質確保について、以下の点を検討した。
- ステンレス配管の接合方法と検査基準
- 系統別の水圧試験の実施方法
- 増圧ポンプの性能確認試験
実施した対策
ステンレス配管の接合はメカニカル継手を採用し、継手メーカーの施工基準に基づき、挿入長さマーキングの確認と専用工具による締付けを実施した。接合部は全数を外観検査し、マーキング位置での挿入確認とリングの噛み込みを目視確認した。
水圧試験は低層系統(1〜8階)、中層系統(9〜16階)、高層系統(17〜25階)に分けて実施し、各系統で試験圧力1.75MPaを10分間保持して圧力降下がないことを確認した。試験結果は系統ごとに記録し、写真とともに品質記録として保管した。
増圧ポンプの性能確認試験では、設計流量80L/minにおける吐出圧力が0.75MPa以上であることを確認し、インバータ制御による圧力一定運転が正常に機能することを検証した。
得られた結果
品質管理を徹底した結果、200戸すべての給水系統で漏水は発生せず、増圧ポンプの性能試験でも設計値を満足した。竣工後2年間の定期点検においても、配管接合部からの漏水や水圧低下の報告はなく、良好な品質を維持している。
例文3:病院の空調・給排水設備工事
想定される工事概要:地上8階建て総合病院、延床面積18,000平方メートル、手術室・ICU含む
課題の背景
本工事は総合病院の空調・給排水設備工事であり、手術室4室とICU10床を含む医療施設であった。手術室の空調は陽圧維持とHEPAフィルタによる清浄度確保が求められ、医療ガス設備は患者の生命に直結するため、最高レベルの品質管理が必要であった。
検討内容
医療施設の品質確保について、以下の点を検討した。
- 手術室空調の清浄度クラス達成と陽圧維持
- 医療ガス配管の気密試験と材料品質管理
- 給水設備の残留塩素濃度管理
実施した対策
手術室の空調では、HEPAフィルタ(0.3μm粒子に対して99.97%以上の捕集効率)を設置し、ダクト内部の清掃を徹底した後に据え付けた。試運転時にパーティクルカウンターで浮遊微粒子数を測定し、清浄度クラスISO 5(クラス100)を達成していることを確認した。室圧は廊下に対して+15Pa以上の陽圧を維持できることを差圧計で確認した。
医療ガス配管は銅管を使用し、接合はろう付けとした。配管内部の清浄度確保のため、施工中は配管端部をキャップで養生し、異物混入を防止した。気密試験は窒素ガスを用いて1.0MPaで24時間保持し、圧力降下がないことを確認した。
給水設備では、配管完了後に管内洗浄を実施し、末端蛇口での残留塩素濃度が0.1mg/L以上であることを確認した。
得られた結果
品質管理の結果、手術室4室すべてで清浄度クラスISO 5を達成し、陽圧維持も基準を満足した。医療ガス設備の気密試験は全系統で合格し、供用開始後もガス漏れは発生していない。給水設備も残留塩素濃度を維持し、医療施設として求められる水質を確保できた。
例文4:工場の給排水・配管設備工事
想定される工事概要:食品工場、延床面積12,000平方メートル、製造ライン用給水・排水設備
課題の背景
本工事は食品工場の給排水設備工事であり、製造ラインへの給水は食品衛生上の観点から水質確保が重要であった。また、排水設備はグリーストラップを経由した処理が必要であり、配管勾配の確保と接合部の水密性が品質管理上の重要項目であった。
検討内容
食品工場の設備品質確保について、以下の点を検討した。
- 給水配管の材質選定と内面の清浄度確保
- 排水配管の勾配管理と満水試験
- グリーストラップの設置精度と機能確認
実施した対策
給水配管はステンレス鋼管(SUS304)を採用し、配管内面の清浄度を確保するため、工場製作品は窒素封入状態で納品させた。現場での切断・接合後は配管内部を清水で十分に洗浄し、末端での残留塩素濃度0.1mg/L以上と一般細菌検査の基準適合を確認した。
排水配管はVP管を使用し、排水勾配は1/100以上を確保した。勾配はレーザーレベルを使用して各スパンで確認し、勾配測定記録を作成した。接合部はTS接合とし、接着剤の塗布量と挿入深さを管理した。施工完了後、満水試験を実施し、24時間後の水位低下がないことを確認した。
グリーストラップは設計容量500Lを設置し、水平精度をレベル計で確認した後、流入・流出管の接続高さが適正であることを確認した。
得られた結果
これらの品質管理により、給水設備は食品衛生法の基準を満足する水質を確保し、保健所の検査にも合格した。排水設備は満水試験で全系統合格し、グリーストラップも設計通りの処理能力を発揮している。工場稼働後1年間で排水詰まりや漏水の発生はなく、良好な品質を維持している。
例文5:冷凍・冷蔵倉庫の冷却設備工事
想定される工事概要:大型冷凍冷蔵倉庫、冷凍室-25度、冷蔵室5度、延床面積8,000平方メートル
課題の背景
本工事は大型冷凍冷蔵倉庫の冷却設備工事であり、冷媒配管の施工品質と冷凍機の性能確保が重要であった。特に冷媒配管は漏れが発生するとシステム全体の性能低下と環境への影響につながるため、溶接品質と気密試験の管理を重点項目とした。
検討内容
冷却設備の品質確保について、以下の点を検討した。
- 冷媒配管の溶接品質管理と検査方法
- 冷媒システムの気密試験と真空引き
- 冷凍機の性能試験と温度到達確認
実施した対策
冷媒配管の溶接は、JIS溶接技能者資格を持つ作業員のみが施工することとし、溶接部は全数を外観検査した。重要箇所(分岐部、機器接続部)はカラーチェックによる非破壊検査を実施し、欠陥がないことを確認した。
気密試験は窒素ガスを使用し、設計圧力の1.5倍である3.5MPaで24時間保持した。圧力降下は0.05MPa以内を合格基準とし、全系統で基準を満足することを確認した。その後、真空ポンプで-0.1MPa以下の真空度を達成し、8時間保持して真空度の維持を確認した。
冷凍機の性能試験では、冷凍室が-25度、冷蔵室が5度に24時間以内で到達することを確認し、その後の温度維持が±2度以内であることを検証した。
得られた結果
溶接品質管理と気密試験の徹底により、冷媒漏れは皆無であった。冷凍機の性能試験でも設計温度への到達と安定した温度維持を確認し、1年間の運用で冷媒補充の必要は発生しなかった。
品質管理の記述で高得点を取るコツ
1. 具体的な数値を必ず入れる
品質管理では、数値による裏付けが重要です。
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 水圧試験 | 適切な圧力で試験した | 1.75MPaで10分間保持した |
| 温度 | 設計温度を達成した | 設計温度26度に対し±1度以内を確認 |
| 清浄度 | クリーンな状態を確保した | 清浄度クラスISO 5(クラス100)を達成 |
2. 1級らしい大規模工事の内容を記述する
1級の経験記述では、大規模工事にふさわしい内容が求められます。
1級らしい記述のポイント
- 建物の規模を明記(地上〇階、延床面積〇平方メートル)
- 設備容量を記載(冷凍機〇RT、ポンプ〇L/min)
- 複雑なシステムの管理(複数系統、中央監視連動)
3. 管工事特有の専門用語を正しく使用する
品質管理でよく使う専門用語を正確に使いましょう。
- 水圧試験:配管の耐圧性と水密性を確認する試験
- 気密試験:冷媒配管などの気密性を確認する試験
- 満水試験:排水配管の水密性を確認する試験
- 真空引き:冷媒配管内の空気と水分を除去する作業
- フラッシング:配管内の異物を洗い流す作業
4. 検査・試験方法を具体的に記述する
品質管理では「どのように確認したか」が重要です。
- 水圧試験で1.5MPaを30分間保持して確認した
- パーティクルカウンターで浮遊微粒子数を測定した
- 風量計で各吹出口の風量を測定し、設計値との差異を確認した
5. 因果関係を明確にする
「課題→対策→結果」の流れを明確に記述します。
テンプレート:
〇〇という品質要求があったため、△△の管理が重要であった。そのため、□□という対策を実施した。その結果、◇◇という品質を確保することができた。
よくある減点ポイントと対策
減点1:1級らしい内容になっていない
NG例:「小規模な住宅の給水配管工事を行った」
対策:大規模な建築物(ビル、工場、病院など)の工事経験を記述する
減点2:数値が曖昧または不正確
NG例:「適切な圧力で水圧試験を実施した」
対策:必ず具体的な数値(〇MPa、〇度、〇L/min)を記述する
減点3:品質管理以外の内容が混在
NG例:「品質確保のため、作業員の安全教育を実施した」(安全管理の内容)
対策:品質管理は「材料品質」「施工精度」「性能確認」に関する内容のみを記述する
減点4:対策と結果の関連が不明確
NG例:対策を実施した(結果の記述がない)
対策:対策を実施した結果、どのような品質が確保できたかを具体的に記述する
まとめ
1級管工事施工管理技士の品質管理は、大規模設備工事における品質確保の取り組みを具体的に記述することが求められます。
記述のポイント
- 1級らしい大規模工事(ビル、工場、病院など)の経験を選定する
- 材料品質・施工精度・性能確認の視点で記述する
- 具体的な数値(圧力、温度、風量、清浄度など)を必ず入れる
- 管工事特有の専門用語を正しく使う
- 検査・試験方法を具体的に記述する
この記事で紹介した例文を参考に、自分の実務経験に基づいた記述案を複数パターン用意しておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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