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令和8年度の1級管工事施工管理技士 第二次検定で、施工計画テーマの経験記述に自信がない方へ。
「施工計画って具体的に何を書けばいいの?」「1級らしい大規模工事の計画とは?」「品質・工程・安全との違いがわからない」という声をよく聞きます。
1級管工事施工管理技士の施工計画では、大規模な設備工事における施工計画書の作成、仮設計画、機器搬入計画、施工方法の検討について、具体的に記述することが求められます。
この記事では、施工計画の出題傾向と経験記述の書き方、工種別の例文を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 施工計画の出題傾向と配点
- 施工計画と他のテーマ(品質・工程・安全)との違い
- 1級に求められる施工計画の視点
- 工種別の経験記述例文
- 高得点を取るためのポイント
施工計画の出題傾向
第一次検定での出題
第一次検定では、施工計画に関する問題が施工管理法の中で出題されます。
頻出テーマ
| テーマ | 出題頻度 |
|---|---|
| 施工計画書の記載事項 | 毎年出題 |
| 仮設計画 | 頻出 |
| 機器の搬入・据付計画 | 頻出 |
| 施工方法の選定 | 頻出 |
| 施工図の作成 | 時々出題 |
第二次検定での出題
第二次検定では、施工計画は経験記述のテーマとして出題されます。
経験記述のテーマローテーション
| 年度 | 出題テーマ |
|---|---|
| 令和6年度 | 施工計画 |
| 令和5年度 | 品質管理 |
| 令和4年度 | 工程管理 |
| 令和3年度 | 安全管理 |
| 令和2年度 | 品質管理 |
施工計画は3〜4年に1回の頻度で出題されており、直近では令和6年度に出題されました。令和8年度も出題される可能性があります。
施工計画の配点
経験記述の配点は第二次検定全体の約**40%**を占めます。
| 問題 | 内容 | 配点目安 |
|---|---|---|
| 問題1 | 経験記述(施工計画など) | 約40点 |
| 問題2 | 施工管理全般 | 約12点 |
施工計画テーマで高得点を取ることが、合格への近道です。
施工計画と他のテーマとの違い
施工計画は、品質管理・工程管理・安全管理と重なる部分がありますが、視点が異なります。
各テーマの違い
| テーマ | 視点 | 記述の中心 |
|---|---|---|
| 施工計画 | 事前の計画・検討 | 計画段階での検討内容と決定事項 |
| 品質管理 | 品質の確保 | 材料・施工・性能の品質管理 |
| 工程管理 | 工期の遵守 | 工程計画と進捗管理 |
| 安全管理 | 災害の防止 | 危険防止対策と安全教育 |
施工計画の記述ポイント
施工計画では、工事着手前の計画段階で検討した内容を記述します。
記述すべき内容
- 施工方法の選定と検討理由
- 仮設設備・揚重計画
- 機器搬入経路・方法の検討
- 施工図・製作図の作成
- 試運転調整計画
記述すべきでない内容
- 品質管理のための検査方法(品質管理テーマ)
- 工期短縮のための対策(工程管理テーマ)
- 労働災害防止対策(安全管理テーマ)
1級に求められる施工計画の視点
2級との違い
1級管工事施工管理技士の施工計画は、2級よりも総合的で複雑な計画立案が求められます。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | 中小規模の設備工事 | 大規模ビル、工場、複合施設 |
| 施工計画 | 単一工種の計画 | 複数工種の総合計画 |
| 機器搬入 | 一般的な搬入方法 | 大型機器の揚重計画 |
| 仮設計画 | 基本的な仮設 | 仮設設備(電気、給排水)の計画 |
| 調整 | 単独での施工 | 建築・電気との総合調整 |
1級で求められる施工計画の要素
1. 施工計画書の作成
- 工事概要、施工体制
- 施工方法、使用機材
- 品質管理計画、安全管理計画
- 工程表、施工図
2. 仮設計画
- 仮設電気設備
- 仮設給排水設備
- 仮設空調(必要な場合)
- 揚重設備(クレーン、エレベーター)
3. 機器搬入計画
- 搬入経路の選定
- 揚重方法の検討
- 搬入時期の調整
- 養生・保管方法
4. 施工方法の選定
- プレファブ工法の採用
- 現場施工と工場製作の分担
- 接合方法の選定
- 試運転調整方法
5. 関係者との調整
- 建築工事との取り合い調整
- 電気工事との協調
- 設計者との施工図承認
- 発注者との仕様確認
施工計画の経験記述例文【工種別】
例文1:高層ビルの空調設備工事(大型機器の搬入計画)
想定される工事概要:地上30階建てオフィスビル、延床面積50,000平方メートル、セントラル空調システム
課題の背景
本工事は地上30階建てオフィスビルの空調設備工事であり、屋上に設置する冷却塔(重量12トン)とチラー(重量15トン)の搬入計画が重要な課題であった。建物完成後は搬入経路が確保できないため、建築工事との工程調整を含めた施工計画の立案が必要であった。
検討内容
大型機器の搬入計画について、以下の3点を検討した。
- 搬入時期とタワークレーン使用可能期間の調整
- 搬入経路と揚重位置の選定
- 機器の分割搬入の可否と現場組立方法
実施した対策
搬入時期は、タワークレーンが使用可能な外壁工事完了前に設定し、建築工事の工程表と照合して搬入可能日を特定した。搬入日の3ヶ月前に機器を発注し、製造工程を管理して納期を確保した。
搬入経路は、地上から直接屋上に揚重するルートを選定した。タワークレーンの作業半径と定格荷重を確認し、15トンの吊り荷に対して十分な能力があることを確認した。揚重位置は、屋上の据付位置に最も近い場所を選定し、据付後の移動距離を最小化した。
チラーは重量15トンと大型であったが、分割すると現場での組立・気密試験が必要となるため、一体搬入を計画した。搬入前に道路使用許可を取得し、夜間搬入とした。吊り金具の取付位置は機器メーカーと事前に協議し、重心位置を考慮した吊り方を決定した。
得られた結果
施工計画に基づき、冷却塔・チラーの搬入を予定通り完了した。タワークレーン使用期限の2週間前に全ての大型機器を搬入でき、建築工事への影響もなかった。機器の損傷や手戻りもなく、当初計画通りの据付工事に移行できた。
例文2:複合商業施設の給排水設備工事(仮設計画)
想定される工事概要:地上6階・地下2階の複合商業施設、延床面積20,000平方メートル、給排水設備工事
課題の背景
本工事は複合商業施設の給排水設備工事であり、地下機械室の施工期間中は本設の給排水設備が使用できないため、現場事務所・詰所・仮設トイレへの給排水を確保する仮設計画が必要であった。また、配管の水圧試験に大量の水を使用するため、仮設給水設備の容量計画も重要な課題であった。
検討内容
仮設給排水計画について、以下の点を検討した。
- 仮設給水設備の容量と設置位置
- 仮設排水設備の処理方法
- 水圧試験用水の確保と排水方法
実施した対策
仮設給水設備は、敷地内に仮設受水槽(容量5立方メートル)と加圧ポンプを設置した。現場事務所、詰所、仮設トイレの使用水量を算定し、ピーク時の使用量に対して十分な容量を確保した。仮設配管は架空配管とし、凍結防止のため保温材を巻いた。
仮設排水設備は、汚水と雑排水を分離して処理する計画とした。仮設トイレは汲み取り式とし、手洗い・洗面の雑排水は仮設浸透桝で地下浸透させた。事前に行政への届出を行い、処理方法の承認を得た。
水圧試験用水は、1回の試験で約10立方メートルを使用するため、仮設受水槽からの供給に加え、散水車による補給も計画した。試験排水は沈砂槽で処理した後、雨水系統に放流する計画とし、水質基準を満足することを確認した。
得られた結果
仮設計画に基づき、工事期間中の給排水を滞りなく確保できた。仮設給水設備は最大需要時にも供給不足が発生せず、水圧試験も予定通り実施できた。仮設排水についても行政から指摘を受けることなく、適正に処理できた。
例文3:病院の設備更新工事(施工方法の選定)
想定される工事概要:総合病院の空調設備更新工事、病床数400床、稼働中施設での施工
課題の背景
本工事は稼働中の総合病院における空調設備更新工事であり、患者への影響を最小限に抑えながら配管更新を行う必要があった。従来工法では騒音・振動・粉塵が発生するため、施工方法の選定が重要な課題であった。
検討内容
施工方法の選定について、以下の点を検討した。
- 配管更新における低騒音・低振動工法の選定
- 病室への影響を最小化する施工区画の設定
- 夜間・休日施工と通常施工の使い分け
実施した対策
配管更新では、従来の溶接接合に代えて、メカニカル継手(プレス式)を採用した。プレス式継手は専用工具で締め付けるだけで接合でき、溶接に比べて騒音・粉塵が大幅に低減できる。施工時間も短縮できるため、患者への影響を最小化できると判断した。
施工区画は、1フロアを4区画に分割し、1区画ずつ順番に施工する計画とした。施工中の区画は仮設間仕切りで隔離し、粉塵・騒音が隣接区画に伝わらないよう養生した。区画ごとの施工期間は2週間を目標とし、患者の移動を最小限に抑えた。
騒音・振動を伴う作業(既存配管の切断、アンカー打設)は原則として夜間(21時〜翌朝6時)に実施する計画とした。ただし、夜間施工には割増費用が発生するため、影響の小さい作業(配管敷設、保温工事)は日中に実施し、コストと工期のバランスを考慮した。
得られた結果
施工計画に基づき、配管更新工事を患者への影響を最小限に抑えて完了できた。プレス式継手の採用により、溶接作業が不要となり、火気使用に伴うリスクも低減できた。病院側からは「患者からの苦情がなかった」と高い評価を得た。
例文4:データセンターの冷却設備工事(試運転調整計画)
想定される工事概要:大型データセンター、サーバールーム面積4,000平方メートル、精密空調設備
課題の背景
本工事は大型データセンターの冷却設備工事であり、精密空調機40台と冷却水システムの試運転調整計画が重要な課題であった。サーバー稼働開始日が厳守される中、十分な試運転調整期間を確保し、設計性能を達成する施工計画が必要であった。
検討内容
試運転調整計画について、以下の点を検討した。
- 試運転調整に必要な期間と人員の算定
- 系統別の試運転順序と合格基準
- 不具合発生時の対応計画
実施した対策
試運転調整期間は、精密空調機40台の個別調整に3週間、冷却水システムの総合試運転に2週間、全体性能検証に1週間の合計6週間を計画した。調整担当者は、機器メーカーの技術者2名と自社の試運転担当者4名の6名体制とした。
試運転順序は、まず冷却水システム(冷凍機、冷却塔、ポンプ)を起動し、冷水供給が安定してから精密空調機の個別調整に移行する計画とした。精密空調機は、サーバールームを4ゾーンに分割し、ゾーンごとに順次調整を行った。合格基準は、吹出し温度±0.5度、室内温度±1度、相対湿度±5%と設定した。
不具合発生時の対応として、予備品(制御基板、センサー類)を現場に保管し、即座に交換できる体制を整えた。重大な不具合が発生した場合のエスカレーションルートを明確にし、機器メーカーの技術支援を迅速に受けられる体制を構築した。
得られた結果
施工計画に基づき、試運転調整を5週間で完了し、当初計画より1週間の余裕を持ってサーバー稼働開始日を迎えることができた。全ての精密空調機で合格基準を達成し、データセンターとして求められる環境制御性能を確保できた。
例文5:工場の配管設備工事(プレファブ工法の採用)
想定される工事概要:自動車部品工場、生産設備用冷却水配管、口径300mm以下、総延長2,000m
課題の背景
本工事は自動車部品工場の生産設備用冷却水配管工事であり、総延長2,000mの配管敷設を6ヶ月の工期内に完了させる必要があった。現場溶接作業を減らして工期短縮と品質確保を両立するため、プレファブ工法の採用を検討した。
検討内容
プレファブ工法の採用について、以下の点を検討した。
- プレファブ化する範囲と現場施工の範囲の切り分け
- 製作図の作成と寸法精度の確保
- 工場製作と現場施工の工程調整
実施した対策
プレファブ化の範囲は、直線部と定型の曲がり部を対象とし、現場での調整が必要なバルブ廻りと機器接続部は現場施工とした。プレファブ配管は、スプール番号を付けて製作し、現場での取付位置を明確にした。全体の約60%をプレファブ化することで、現場溶接作業を大幅に削減した。
製作図は、現場実測に基づいて作成し、寸法精度±5mm以内を目標とした。製作前に設計者の承認を得るとともに、工場検査で寸法確認を行った。現場との接続部には調整代としてフランジ接合を採用し、多少の寸法誤差にも対応できるようにした。
工程計画は、製作図作成と工場製作を現場施工と並行して進めるスケジュールとした。プレファブ配管は、現場への搬入2週間前に工場製作を完了させ、塗装・梱包した状態で保管した。搬入は週1回のペースで計画的に行い、現場での保管スペースを最小化した。
得られた結果
プレファブ工法の採用により、現場溶接作業を従来工法の40%に削減でき、工期を1ヶ月短縮できた。工場製作により溶接品質も安定し、水圧試験での不合格箇所はゼロであった。現場作業員の負担も軽減され、安全面でも効果があった。
施工計画の記述で高得点を取るコツ
1. 「計画段階」の検討であることを明確にする
施工計画では、工事着手前の計画段階での検討内容を記述します。
良い記述例:
施工計画段階で、機器搬入方法について3つの案を比較検討し、最適な方法を選定した。
2. 選定理由を明確にする
施工方法や搬入方法を選定した理由を記述することで、計画の妥当性を示します。
良い記述例:
プレス式継手を採用した理由は、溶接作業に比べて騒音・粉塵が少なく、稼働中の病院での施工に適していると判断したためである。
3. 具体的な数値を入れる
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 機器重量 | 大型機器を搬入した | 重量15トンのチラーを搬入した |
| 期間 | 試運転期間を確保した | 試運転期間6週間を確保した |
| 数量 | 配管をプレファブ化した | 全体の60%(1,200m)をプレファブ化した |
4. 他工種との調整を記述する
1級では、建築・電気工事との総合的な調整が求められます。
記述すべき内容
- 建築工事の工程との調整
- 搬入経路の確保(建築工事との調整)
- 施工図の承認手続き
5. 計画と結果を対比させる
計画通りに施工できたことを記述し、計画の有効性を示します。
良い記述例:
施工計画に基づき、大型機器の搬入を予定通り完了した。計画段階で搬入経路と揚重方法を詳細に検討したことで、手戻りなく施工できた。
よくある減点ポイントと対策
減点1:他のテーマの内容になっている
NG例:「施工計画として、品質管理のため全数検査を実施した」(品質管理の内容)
対策:施工計画は「計画段階の検討」「施工方法の選定」「仮設計画」「搬入計画」に関する内容を記述する
減点2:選定理由が記述されていない
NG例:「プレファブ工法を採用した」
対策:なぜその方法を選定したのか、理由を明記する
減点3:1級らしい内容になっていない
NG例:「小規模な住宅の設備工事の施工計画を立てた」
対策:大規模な建築物での施工計画経験を記述する
減点4:具体性に欠ける
NG例:「施工方法を検討した」
対策:どのような選択肢を比較し、どのような基準で選定したかを具体的に記述する
まとめ
1級管工事施工管理技士の施工計画は、大規模設備工事における計画段階の検討内容を具体的に記述することが求められます。
記述のポイント
- 「計画段階」の検討であることを明確にする
- 施工方法や搬入方法の選定理由を記述する
- 具体的な数値(重量、期間、数量など)を入れる
- 他工種(建築・電気)との調整内容を記述する
- 計画と結果を対比させて、計画の有効性を示す
施工計画の主な内容
- 施工計画書の作成
- 仮設計画(電気、給排水、揚重設備)
- 機器搬入計画(経路、方法、時期)
- 施工方法の選定(プレファブ工法など)
- 試運転調整計画
この記事で紹介した例文を参考に、自分の実務経験に基づいた記述案を複数パターン用意しておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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