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令和8年度の1級管工事施工管理技士 第二次検定で、安全管理テーマの経験記述に自信がない方へ。
「安全管理って具体的に何を書けばいいの?」「法令に基づいた記述の仕方がわからない」「1級らしい大規模工事の例文を見たい」という声をよく聞きます。
1級管工事施工管理技士の安全管理では、大規模な設備工事における労働災害防止対策、法令遵守の取り組み、リスクアセスメントについて、具体的な数値と法令根拠を交えて記述することが求められます。
この記事では、安全管理の出題傾向と経験記述の書き方、工種別の例文を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 安全管理の出題傾向と配点
- 1級に求められる安全管理の視点
- 管工事特有の危険作業と対策
- 工種別の経験記述例文
- 高得点を取るためのポイント
- よくある減点ポイントと対策
安全管理の出題傾向
第一次検定での出題
第一次検定では、安全管理に関する問題が施工管理法と法規の中で出題されます。
頻出テーマ
第二次検定での出題
第二次検定では、安全管理は経験記述のテーマとして出題されます。
経験記述のテーマローテーション
| 年度 | 出題テーマ |
|---|---|
| 令和5年度 | 品質管理 |
| 令和4年度 | 工程管理 |
| 令和3年度 | 安全管理 |
| 令和2年度 | 品質管理 |
| 令和元年度 | 工程管理 |
安全管理は3〜4年に1回の頻度で出題されており、令和8年度も出題される可能性があります。
安全管理の配点
経験記述の配点は第二次検定全体の約**40%**を占めます。
| 問題 | 内容 | 配点目安 |
|---|---|---|
| 問題1 | 経験記述(安全管理など) | 約40点 |
| 問題4 | 法規(安全関連含む) | 約12点 |
安全管理テーマで高得点を取ることが、合格への近道です。
1級に求められる安全管理の視点
2級との違い
1級管工事施工管理技士の安全管理は、2級よりも組織的・体系的な安全管理が求められます。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 対象工事 | 中小規模の設備工事 | 大規模ビル、工場、複合施設 |
| 安全管理体制 | 作業レベルの安全対策 | 現場全体の安全衛生管理体制 |
| 法令知識 | 基本的な規定 | 詳細な法令根拠の理解 |
| リスク管理 | 個別の危険対策 | リスクアセスメント・KY活動 |
1級で求められる安全管理の要素
1. 安全衛生管理体制の構築
- 安全衛生責任者の選任
- 協力会社を含めた安全衛生協議会の運営
- 安全パトロールの実施
2. リスクアセスメントの実施
- 作業ごとの危険有害要因の特定
- リスクの見積りと評価
- リスク低減措置の実施
3. 法令に基づく対策
- 労働安全衛生法・規則の遵守
- 特別教育・作業主任者の配置
- 各種届出・申請の実施
4. 教育・訓練の実施
- 新規入場者教育
- 危険予知(KY)活動
- 緊急時の避難訓練
管工事特有の危険作業と対策
1. 高所作業(天井内配管、屋上機器据付)
危険要因
- 脚立・足場からの墜落・転落
- 開口部からの墜落
- 資材・工具の落下
対策
- 足場の設置基準遵守(手すり高さ85cm以上)
- 安全帯(フルハーネス型)の使用
- 開口部への手すり・覆い設置
- 工具の落下防止措置(安全ロープ)
2. 酸素欠乏危険場所での作業(ピット、地下機械室)
危険要因
- 酸素欠乏による窒息
- 硫化水素中毒
対策
- 酸素欠乏危険作業主任者の選任
- 作業前の酸素濃度測定(18%以上を確認)
- 換気装置の設置
- 空気呼吸器等の備え付け
3. クレーン・揚重作業(大型機器の搬入・据付)
危険要因
- 吊り荷の落下
- クレーン転倒
- 作業者との接触
対策
- 玉掛け技能講習修了者の配置
- 吊り荷下への立入禁止
- アウトリガーの完全張出し
- 合図者の配置
4. 溶接・溶断作業
危険要因
- 火災・爆発
- 有害ガスの吸入
- 溶接光による眼障害
対策
- 火気使用許可の取得
- 消火器の配置
- 換気の実施
- 保護具(遮光面、皮手袋)の使用
5. 電動工具・回転機械の使用
危険要因
- 巻き込まれ
- 感電
- 切創
対策
- 漏電遮断器の設置
- アース(接地)の確実な実施
- 回転部への接触防止カバー
- 手袋の着用禁止(巻き込まれ防止)
安全管理の経験記述例文【工種別】
例文1:高層ビルの空調設備工事(高所作業対策)
想定される工事概要:地上25階建てオフィスビル、延床面積40,000平方メートル、空調設備工事
課題の背景
本工事は地上25階建てオフィスビルの空調設備工事であり、天井内配管工事と屋上機器据付工事において高所作業が多数発生した。作業員の墜落・転落災害を防止するため、高所作業の安全管理を重点項目として取り組んだ。
検討内容
高所作業の安全管理について、以下の3点を検討した。
- 天井内配管作業における脚立・ローリングタワーの安全な使用方法
- 屋上機器据付作業における墜落制止用器具の使用徹底
- 開口部・階段室における墜落防止措置
実施した対策
天井内配管作業では、高さ2m以上の作業には必ずローリングタワーを使用することとし、脚立の使用は高さ1.5m未満の軽作業に限定した。ローリングタワーは昇降設備を設け、キャスターのロックを作業前に確認するチェックリストを運用した。
屋上機器据付作業では、作業開始前に全作業員にフルハーネス型墜落制止用器具を貸与し、特別教育を実施した。屋上周囲には高さ1.1mの手すりを設置し、親綱を張って作業中は常時フックを掛ける「100%フック掛け」を徹底した。
開口部には手すりと巾木を設置し、夜間・休日は蓋で覆った。階段室の吹抜け部には親綱を設置し、配管作業時は墜落制止用器具のフックを掛けて作業することを義務付けた。毎朝の朝礼で高所作業の危険予知活動を行い、作業手順と安全対策を確認した。
得られた結果
これらの安全対策を徹底した結果、工期18ヶ月間で高所からの墜落・転落災害は発生せず、無事故で工事を完了することができた。安全パトロールでも「高所作業の安全対策が徹底されている」と元請からの評価を得た。
例文2:地下機械室の設備工事(酸素欠乏対策)
想定される工事概要:地下2階・地上12階建て複合施設、地下機械室の空調・給排水設備工事
課題の背景
本工事は地下2階の機械室における空調・給排水設備工事であり、換気が不十分な閉鎖空間での作業が多く発生した。地下機械室は酸素欠乏危険場所に該当する可能性があり、作業員の酸素欠乏症を防止するための安全管理が重要な課題であった。
検討内容
酸素欠乏危険作業の安全管理について、以下の点を検討した。
- 酸素欠乏危険場所の特定と作業主任者の選任
- 酸素濃度測定と換気の実施方法
- 緊急時の救助体制
実施した対策
作業開始前に地下機械室を酸素欠乏危険場所として特定し、酸素欠乏危険作業主任者(酸欠・硫化水素危険作業主任者技能講習修了者)を選任した。作業主任者は毎日の作業前に酸素濃度計で測定を行い、酸素濃度18%以上を確認してから作業を開始した。測定記録は専用の記録簿に記載し、保管した。
換気対策として、送風機(排気量30立方メートル/分)を設置し、作業中は常時稼働させた。地下2階から地上への換気ダクトを仮設し、新鮮な空気を供給する体制を整えた。
緊急時に備え、空気呼吸器2台と救命用具(担架、ロープ)を機械室入口に常備した。万一の酸素欠乏発生時の救助手順を定め、全作業員に周知するとともに、月1回の救助訓練を実施した。
得られた結果
酸素欠乏対策を徹底した結果、地下機械室での作業期間6ヶ月間において酸素欠乏症は発生せず、安全に工事を完了することができた。労働基準監督署の臨検でも「酸素欠乏対策が適切に実施されている」と認められた。
例文3:病院の設備更新工事(稼働中施設の安全管理)
想定される工事概要:総合病院の空調・給排水設備更新工事、病床数350床、工期24ヶ月
課題の背景
本工事は稼働中の総合病院における設備更新工事であり、患者・来院者・医療スタッフの安全確保と、工事作業員の安全確保を両立させる必要があった。医療施設特有の感染症リスクや、患者の避難困難性を考慮した安全管理が重要な課題であった。
検討内容
稼働中病院での安全管理について、以下の点を検討した。
- 患者・来院者と工事エリアの動線分離
- 感染症リスクへの対策(粉塵、騒音の管理)
- 緊急時(火災、地震)の避難計画
実施した対策
患者・来院者と工事エリアの動線分離では、工事エリアを仮囲いで完全に区画し、出入口は専用の搬入口を使用した。工事関係者は専用通路を使用し、患者動線との交差を禁止した。搬入口には警備員を配置し、第三者の工事エリア立入りを防止した。
感染症リスク対策として、配管切断・溶接作業時は養生シートで囲い、粉塵・ヒュームの飛散を防止した。集塵機を設置し、作業後は清掃を徹底した。騒音・振動を伴う作業は外来診療時間外(17時以降)に限定し、やむを得ず診療時間内に実施する場合は病院と事前協議した。
緊急時の避難計画では、病院の防災計画と整合した工事関係者用の避難経路を定め、全作業員に周知した。月1回の避難訓練に工事関係者も参加し、患者避難の妨げにならないことを確認した。火気使用時は消火器を2本以上配置し、火気監視員を配置した。
得られた結果
これらの安全対策により、工期24ヶ月間で患者・来院者への安全上の問題は発生せず、工事作業員の労働災害もゼロで完了した。病院側からは「患者の安全を最優先に考えた工事管理」と高い評価を得た。
例文4:工場の配管設備工事(火気使用対策)
想定される工事概要:化学工場、生産設備用配管工事、溶接作業多数
課題の背景
本工事は化学工場内での生産設備用配管工事であり、可燃性物質を取り扱うエリア近傍での溶接・溶断作業が多数発生した。火災・爆発災害を防止するため、火気使用作業の安全管理が最重要課題であった。
検討内容
火気使用作業の安全管理について、以下の点を検討した。
- 火気使用許可制度と作業前確認の徹底
- 可燃物の除去と防火養生の実施
- 火気監視と消火準備
実施した対策
火気使用作業は、工場の火気使用許可制度に基づき、毎日作業前に許可申請を行った。申請時に作業場所、作業内容、時間、防火対策を記載し、工場の安全担当者の承認を得てから作業を開始した。
作業前に、溶接箇所から半径10m以内の可燃物を除去し、除去できない設備は防炎シートで養生した。床面にも防炎シートを敷き、火花の落下による火災を防止した。可燃性ガスが滞留する可能性がある場所では、作業前にガス検知器で可燃性ガス濃度を測定し、爆発下限界の25%未満であることを確認した。
溶接作業中は、専任の火気監視員を配置し、火花の飛散状況と周囲の異常を監視した。消火器(ABC粉末10型)を作業場所から5m以内に2本配置し、火気監視員はその位置を常に把握した。作業終了後は30分間の残火確認を行い、火気監視員が異常なしを確認してから退場した。
得られた結果
火気使用対策を徹底した結果、工期10ヶ月間で火災・爆発事故は発生せず、安全に工事を完了した。工場の安全監査でも「火気管理が徹底されている」と評価され、工場内での継続的な工事受注につながった。
例文5:大型機器の搬入・据付工事(クレーン作業対策)
想定される工事概要:地上10階建てオフィスビル、屋上チラー(重量8トン)の据付工事
課題の背景
本工事は地上10階建てオフィスビルの屋上にチラー(重量8トン)を据え付ける工事であり、100トン吊りラフテレーンクレーンによる揚重作業が必要であった。クレーン転倒と吊り荷落下による重大災害を防止するため、クレーン作業の安全管理が重要な課題であった。
検討内容
クレーン作業の安全管理について、以下の点を検討した。
- クレーン作業計画の作成と届出
- 地盤養生とアウトリガー設置の確認
- 玉掛け作業と合図の徹底
実施した対策
クレーン作業計画書を作成し、使用クレーン、作業半径、吊り荷重量、ワイヤーロープの選定を明記した。定格荷重の80%以内で作業することとし、作業半径と揚程を考慮して100トン吊りクレーンを選定した。作業計画書は元請と協力会社で共有し、全員が作業手順を理解した。
クレーン設置場所の地盤は事前に地耐力調査を行い、必要に応じて敷鉄板(22mm厚)を敷設した。アウトリガーは4本すべてを最大張出しとし、設置後にクレーンオペレーターと監視員がダブルチェックで確認した。
玉掛け作業は、玉掛け技能講習修了者が担当し、ワイヤーロープの損傷確認、吊り角度(60度以内)、重心位置を確認してから吊り上げた。合図者は無線機を使用してクレーンオペレーターと連絡を取り、明確な合図で作業を進めた。吊り荷下は立入禁止区域とし、カラーコーンとバリケードで区画した。
得られた結果
クレーン作業の安全対策を徹底した結果、8トンのチラー揚重作業を含む全てのクレーン作業を無事故で完了した。元請の安全パトロールでも「クレーン作業の安全管理が徹底されている」と評価を得た。
安全管理の記述で高得点を取るコツ
1. 法令根拠を明記する
1級の安全管理では、法令に基づいた対策であることを示すことが重要です。
記述すべき法令例
- 労働安全衛生法
- 労働安全衛生規則
- クレーン等安全規則
- 酸素欠乏症等防止規則
良い記述例:
労働安全衛生規則第518条に基づき、高さ2m以上の作業場所には手すりを設置した。
2. 具体的な数値を入れる
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 高さ | 高所作業対策を実施 | 高さ2m以上の作業に安全帯を使用 |
| 酸素濃度 | 酸素濃度を確認した | 酸素濃度18%以上を確認した |
| 消火器 | 消火器を配置した | 消火器(ABC粉末10型)を2本配置した |
3. 安全管理体制を記述する
1級では、組織的な安全管理体制の構築が求められます。
記述すべき内容
- 安全衛生責任者の選任
- 作業主任者の配置
- 安全パトロールの実施
- KY活動の実施
4. リスクアセスメントに言及する
近年はリスクアセスメントの実施が重視されています。
良い記述例:
作業開始前にリスクアセスメントを実施し、高所作業の墜落リスクを特定した。リスク低減措置として、手すりの設置と墜落制止用器具の使用を決定した。
5. 結果を「無災害」で締めくくる
安全管理の最終目標は無災害です。結果として災害がなかったことを明記しましょう。
良い記述例:
これらの安全対策を徹底した結果、工期18ヶ月間で労働災害は発生せず、無事故で工事を完了することができた。
よくある減点ポイントと対策
減点1:安全管理の内容になっていない
NG例:「安全のため、品質管理を徹底した」(品質管理の内容)
対策:安全管理は「労働災害防止」「法令遵守」「安全教育」に関する内容を記述する
減点2:法令根拠が示されていない
NG例:「高所作業対策を実施した」
対策:労働安全衛生法・規則などの法令に基づく対策であることを明記する
減点3:具体的な対策が不明確
NG例:「安全に配慮して作業を行った」
対策:具体的な安全対策(手すり設置、保護具使用、換気実施など)を記述する
減点4:1級らしい内容になっていない
NG例:「個人で安全に注意して作業した」
対策:組織的な安全管理体制(作業主任者選任、安全パトロール、KY活動など)を記述する
まとめ
1級管工事施工管理技士の安全管理は、大規模設備工事における組織的な安全管理の取り組みを具体的に記述することが求められます。
記述のポイント
- 法令根拠(労働安全衛生法・規則など)を明記する
- 具体的な数値(高さ、濃度、人数など)を入れる
- 安全管理体制(作業主任者、安全パトロールなど)を記述する
- リスクアセスメントの実施に言及する
- 結果を「無災害」で締めくくる
管工事特有の危険作業
- 高所作業(天井内配管、屋上機器据付)
- 酸素欠乏危険作業(ピット、地下機械室)
- クレーン作業(大型機器の揚重)
- 火気使用作業(溶接、溶断)
この記事で紹介した例文を参考に、自分の実務経験に基づいた記述案を複数パターン用意しておきましょう。
令和8年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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