目次
令和8年度の1級造園施工管理技士 第二次検定を受験予定の方へ。
第二次検定で最も配点が大きく、合否を左右するのが経験記述です。配点は全体の約40%を占めており、ここでの得点が合格の鍵を握ります。
「何を書けばいいかわからない」「1級レベルの記述って何が求められる?」「造園工事ならではの書き方は?」という方のために、経験記述の書き方と対策を徹底解説します。
この記事でわかること
- 経験記述の出題形式と配点
- 工事概要の書き方(1級にふさわしい工事規模)
- 品質管理・工程管理・安全管理のテーマ別記述例
- 造園工事特有のポイント(植栽・芝張り・石積み等)
- 高得点を取るためのコツ
経験記述の出題形式
基本構成
経験記述は以下の構成で出題されます。
- 工事概要:工事名、工事場所、工期、工事内容、あなたの立場
- 技術的課題:工事で直面した技術的な課題
- 検討内容:課題に対して検討した対策
- 実施した対策と結果:実際に行った対策とその成果
出題テーマ
毎年以下の3テーマから1つが出題されます。
| テーマ | 出題頻度 | 造園工事での主なポイント |
|---|---|---|
| 品質管理 | 高い | 植栽の活着管理、芝生の品質確保、石積みの安定性 |
| 工程管理 | 高い | 植栽適期の確保、梅雨・台風時の工程調整 |
| 安全管理 | 中程度 | 高所での剪定作業、重機作業、供用中公園の第三者対策 |
3テーマすべてについて記述案を準備しておくことが鉄則です。
工事概要の書き方
1級にふさわしい工事規模
1級造園施工管理技士の経験記述では、大規模な造園工事を題材にすることが求められます。
適切な工事例
- 都市公園の新設・改修工事(面積1,000m2以上)
- 大規模マンション・商業施設の外構植栽工事
- 道路緑化工事(延長500m以上)
- 河川敷の緑地整備工事
- 官公庁施設の造園工事
- 公園のリニューアル工事(植栽更新・園路改修)
避けるべき工事例
- 個人住宅の庭づくり
- 小規模な花壇の整備
- 除草・剪定のみの管理作業
工事概要の記述例
工事名:〇〇中央公園整備工事
工事場所:〇〇県〇〇市〇〇町地内
工期:令和〇年4月~令和〇年11月(8ヶ月間)
工事内容:公園面積12,000m2の造成工事に伴う
植栽工(高木120本、中木250本、低木3,500株)、
芝生張り工(4,500m2)、園路工(延長850m)、
遊具設置工、修景施設工(石組み、せせらぎ水路)
あなたの立場:現場代理人
ポイント
- 面積・本数・延長などの具体的な数値を入れる
- 工事内容は複数の工種(植栽工、芝生工、石組みなど)を含める
- 「監理技術者」「現場代理人」など1級にふさわしい立場を記載
テーマ別の記述例
品質管理の記述例
技術的課題
本工事は、公園造成に伴い高木120本(ケヤキ40本、クスノキ30本、サクラ50本)を植栽する工事であった。施工時期が7月~9月の夏季にあたり、気温35度を超える日が続くことが予想された。高温と乾燥により植栽した樹木の活着率が低下するリスクがあり、発注者の要求する活着率95%以上を確保することが技術的課題であった。
検討内容
活着率を確保するため、以下の3点について検討した。
- 植栽時間帯の調整:日中の高温時間帯を避け、早朝または夕方に植栽作業を行う
- 養生方法の工夫:寒冷紗による遮光と、自動灌水装置の設置
- 土壌改良の実施:客土の配合比率の見直しと、保水剤の混入
実施した対策と結果
検討の結果、以下の対策を実施した。
植栽作業は午前6時~10時および午後4時~6時に限定し、日中(10時~16時)は養生作業に充てた。植栽直後に寒冷紗(遮光率50%)で樹冠部を覆い、根元にはバーク堆肥を厚さ5cmで敷き詰めて土壌の乾燥を防止した。さらに、自動灌水装置をタイマー制御(1日3回、各15分)で設置し、安定した水分供給を確保した。
客土には黒土と腐葉土を7:3の割合で配合し、保水剤(高吸水性樹脂)を1m3あたり500g混入した。植穴は根鉢の直径の1.5倍以上で掘削し、植付け後は水極めを十分に行った。
その結果、植栽後3ヶ月時点での活着率は97.5%(120本中117本活着)を達成し、発注者の要求する95%を上回ることができた。
工程管理の記述例
技術的課題
本工事は、〇〇市民公園のリニューアル工事で、工期は令和〇年4月から11月の8ヶ月間であった。5月中旬から6月にかけて梅雨時期と重なり、芝生張り工(4,500m2)の施工時期が降雨の影響を受けることが予想された。芝生工の遅れは後工程の遊具設置工や修景施設工(石組み)に影響するため、梅雨時期を考慮した工程管理により工期内に完成させることが技術的課題であった。
検討内容
- 工程の前倒し:芝生張り工を梅雨前に完了させるための工程再編
- 施工体制の強化:施工班の増員による作業効率の向上
- 雨天時の代替作業:降雨日には屋外作業を中止し、施設組立等の作業に切替
実施した対策と結果
芝生張り工の着手を当初計画より2週間前倒しし、4月20日から開始した。施工班を2班から3班に増員し、1日あたりの施工面積を150m2から225m2に向上させた。芝張り工法はべた張りを採用し、張芝後は転圧とたっぷりの散水を行い、活着を促進した。
また、雨天日には遊具の部材検査や修景施設の石材選定・仮組みを行い、晴天日は芝生工に集中する工程を編成した。毎週月曜朝に週間工程会議を開催し、天気予報をもとに翌週の作業計画を調整した。
ネットワーク工程表で各工種の関連を明確化し、クリティカルパス上の芝生張り工を重点管理した。
その結果、芝生張り工は予定より10日前倒しで5月末に完了し、全体工程も計画通り11月末に完工することができた。
安全管理の記述例
技術的課題
本工事は、供用中の公園内での改修工事であり、工事期間中も公園利用者(特に児童・高齢者)の通行があった。高木の移植作業ではラフテレーンクレーン(25t)を使用し、石積み工事ではバックホウ(0.45m3)を使用するため、重機作業中の第三者災害を防止することが技術的課題であった。
検討内容
- 立入禁止区域の設定:クレーン作業範囲に十分なバッファを設けた区域設定
- 作業時間帯の調整:公園利用者が少ない時間帯への作業集中
- 誘導員の配置:利用者の安全な迂回路への誘導
- 作業手順書の作成:重機作業の安全手順を明文化
実施した対策と結果
クレーン作業範囲に加え、外周5mのバッファゾーンを含めた立入禁止区域を設定し、単管バリケード(高さ1.2m)と「立入禁止」「工事中」の表示看板を設置した。クレーン作業は公園利用者が少ない平日の午前8時~12時に限定し、土日祝日のクレーン作業は中止とした。
立入禁止区域の四隅に誘導員を各1名(計4名)配置し、迂回路への安全誘導を行った。近隣住民への事前周知として、回覧板での告知と現場掲示板での工事予定表の掲示を行った。
バックホウによる石積み工事では、作業半径内の立入禁止を徹底し、旋回方向に誘導員を配置した。毎朝のKY(危険予知)活動で重機周辺の危険箇所を確認し、安全パトロールを週2回実施した。
その結果、工期8ヶ月間における公衆災害はゼロ件、労働災害もゼロ件で安全に完工することができた。
造園工事特有の経験記述ポイント
植栽工事のポイント
| 記述すべき内容 | 具体例 |
|---|---|
| 植栽の適期 | 「落葉樹は11月~3月の落葉期に移植」「常緑樹は梅雨前後が適期」 |
| 根巻き・根鉢 | 「根鉢の直径は幹周の5倍以上を確保」 |
| 支柱の設置 | 「高木には三本鳥居型支柱を設置」「杉丸太φ90mm、地上高2.5m」 |
| 水極め | 「植付け後、根鉢と周囲の土壌が密着するよう十分に水極めを実施」 |
| 客土 | 「黒土と腐葉土を7:3で配合した客土を使用」 |
芝張り工事のポイント
| 記述すべき内容 | 具体例 |
|---|---|
| 芝張り工法 | 「べた張り」「目地張り(目地幅3cm)」「市松張り」 |
| 芝草の種類 | 「コウライシバ(暖地型)」「ケンタッキーブルーグラス(寒地型)」 |
| 転圧・目土 | 「張芝後にローラーで転圧し、目土(川砂)を厚さ5mmで散布」 |
| 養生管理 | 「散水は朝夕2回、活着するまで4週間継続」 |
石積み・石組み工事のポイント
| 記述すべき内容 | 具体例 |
|---|---|
| 石積みの種類 | 「野面積み」「切込接ぎ」「玉石積み」 |
| 裏込め材 | 「裏込めに砕石(40-0mm)を30cm厚で充填」 |
| 根入れ | 「根入れ深さは石の高さの1/3以上を確保」 |
| 景石の据え方 | 「据え方の基本は『立てず寝かさず』」 |
経験記述で高得点を取るコツ
1. 具体的な数値を入れる
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| 多くの樹木を植栽した | 高木120本、中木250本を植栽した |
| 広い範囲の芝生を張った | 芝生4,500m2をべた張りで施工した |
| 遮光対策を行った | 遮光率50%の寒冷紗で樹冠部を覆った |
| 十分な散水を行った | 自動灌水装置で1日3回、各15分の散水を実施した |
2. 造園工事の専門用語を正しく使う
1級造園施工管理技士の記述では、以下の用語を正確に使うことが求められます。
- 活着:植栽した樹木が根付くこと
- 客土:外部から搬入した良質土壌
- 水極め:植栽後に水を流し込んで根鉢と土を密着させる方法
- 寒冷紗:遮光用のネット(遮光率で表記)
- べた張り:芝生を隙間なく張る工法
- 根巻き:移植時に根鉢を保護するために巻く資材(コモ、麻布)
- 三本鳥居型支柱:高木用の代表的な支柱形式
- 野面積み:自然石をそのまま積む石積み工法
3. 「課題→検討→対策→結果」の一貫性
検討した内容と実施した対策が矛盾しないよう注意してください。課題から結果まで一本の筋が通った記述が高評価を得ます。
4. 1級らしい管理レベルの記述
- 工程表(ネットワーク工程表)を用いた管理手法
- 週間工程会議の実施など組織的な取り組み
- 土壌分析データや気象データに基づく技術的判断
- 発注者・設計者との技術的な協議内容
経験記述の準備スケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 4ヶ月前 | 題材とする造園工事の選定(規模・工種を確認) |
| 3ヶ月前 | 3テーマの下書き作成(品質・工程・安全) |
| 2ヶ月前 | 下書きの推敲・修正(数値・用語の正確さを確認) |
| 1ヶ月前 | 暗記・手書き練習開始 |
| 2週間前 | 時間を計っての手書き練習(2時間45分以内) |
| 直前 | 最終確認・キーワードの最終暗記 |
まとめ
1級造園施工管理技士の経験記述は、配点約40%の最重要パートです。
合格のための4つのポイント
- 3テーマすべてを準備 - 品質管理・工程管理・安全管理のどれが出ても対応
- 具体的な数値を入れる - 面積、本数、%、工期など客観的なデータ
- 造園工事特有の内容を盛り込む - 植栽工事、芝張り工事、石積み工事の具体的な工法
- 手書きで何度も練習 - 時間内に読みやすく書けるように
事前準備を十分に行い、本番では書くだけの状態にしておくことが、合格への確実な道です。
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監修・執筆
sekocan 編集部
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